「KUNDALINI TANTRA(クンダリニー・タントラ)/Swami Satyananda Saraswati(スワミ・サティヤナンダ・サラスワティ)著」を読み進めていく形で、クンダリーニヨガ(クンダリニーヨーガ)の概要を紹介していきます。
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今回は、第1章の2節後半です。
クンダリーニヨガの研究については、以下のページにまとめてあります。
クンダリニーを表す「蛇」のシンボル
3回半とぐろを巻いて眠っている蛇
most commonly, kundalini is illustrated as a sleeping serpent coiled three and a half times.
クンダリニーは、「3回半とぐろを巻いて眠っている蛇」として描かれることが多いです。
ちなみにserpentとsnakeの違いは、serpentは主に大蛇や毒蛇を表すようです。クンダリニーはよく「serpent power」と表されます。
世界中で扱われてきた「蛇の力」
インド以外でも、世界の様々な文化圏で「蛇の力」が描かれてきました。これは世界中でクンダリニーが認識されていたということを表していると、サティヤナンダ氏は主張しています。
実際のところ、「蛇」の捉え方は様々です。たとえばマリア像はよく蛇を踏み潰していますが、キリスト教における蛇は「原罪」「誘惑」「邪悪」あるいは脱皮を繰り返すことから「死と再生」など様々な意味を持っているようです。
蛇あるいは竜が自らの尾をくわえて輪を描くウロボロスも、様々な文化圏で用いられてきたイメージです。ウロボロスは「永続性」「循環性」「円運動」などの意味を表しています。

日本では、蛇は吉兆や長寿・健康を表すことが多いようです。「鬼が出るか蛇が出るか」という言葉では、蛇は仏の化身として扱われています。
「3回半のとぐろを巻いている」の意味
…the 3 1/2 coils signify the total experience of the universe and the experience of transcendence.
「3回半のとぐろを巻いている」というイメージはよく知られていますが、なかなかはっきりと説明されている文献が少なく、これも様々な意味が込められているかもしれません。ここでは、比較的はっきりといくつかの意味が説明されています。
まず「3」の意味として以下のようなものが説明されています。
- 3回「Om」のマントラ(真言)を唱えること・3回分の時間(過去・現在・未来を表す)
- 3つのグナ「タマス・ラジャス・サットヴァ」
- 3つの意識状態「覚醒・睡眠・夢を見ている状態」
- 3つのタイプの経験「主観的経験(非物質的な)・肉体的経験(物質的な)・経験が無い状態」
次に「1/2」の意味としては、以上のような3つの状態を超越したものを表すようです。覚醒しているわけでもなく、睡眠しているわけでもなく、夢を見ているわけでもない超越的な状態。つまり通常認識可能な3つと、それらを超越した、通常認識できない1/2を合わせることで「全て」を表しているということかと思います。
ここで示された意味以外にもいろいろな解釈があるでしょう。言葉で表してもよくわからないですが、そのような状態は言葉で表現できるものではないのでしょう。禅が教えるように、ただただ「経験せよ」ということです。
クンダリニーを覚醒させられるのは、どんな人か
誰でもクンダリニーは覚醒させられる
Not only saints and sadhus, but poets, painters, warriors, writers, anyone can awaken their kundalini.
クンダリニーは、聖者や修行者しか覚醒できないかというと、そうではないといいます。どんな人間でも覚醒させられる可能性を持っており、覚醒させることで、どんな職業にでもなることができるといわれます。
クンダリニーは、自己表現のためのエネルギーであり、それを覚醒させることは人生をつくる上で非常に重要です。アインシュタインが相対性理論をつくったり、音楽家が素晴らしい音楽をつくったりするのも、クンダリニーというクリエイティブなエネルギーによるものであると述べられています。
クンダリニーは、自己表現のためのエネルギー
Everybody, whether householder or sannyasin, must remember that awakening of kundalini is the prime purpose of human incarnation.
そもそもこの世に生を受けた目的として、クンダリニーを覚醒させることは最重要なものであるといいます。
卵が先かニワトリが先か、といった話のようにも聞こえますが、クンダリニーを覚醒させることで、自己表現のためのエネルギーが湧いてきて、それに最適な職業に就くことができる、というのであれば、たしかにそれは人生において非常に重要なことです。
元から表現が自然と湧いてくるし自分に最適な職業もわかっているという人は、もともとクンダリニーがある程度覚醒しているということになるのでしょう。
自分が何をしたらいいのかわからない、何に向いているのかわからない、といった人は、クンダリニーが眠っているのかもしれません。たしかに今の時代、そういう人は結構多いような気はします。だからこそクンダリニーヨーガは、ひとつの重要な変化のきっかけになるかもしれません。
クンダリニー覚醒によって、どのような変化が起こるか
執着から離れる
When kundalini wakes up your mind changes and your priorities and attachments also change. All your karmas undergo a process of integration.
クンダリニー覚醒によって、必ずしも一般的な社会活動や道徳観や宗教観などが大きく変わるわけではないようです。それよりも、経験や知覚の質が大きく変わっていきます。それに伴って、物事の優先順位や執着するものなどが変わっていきます。
インドで哲学を学んでいるときも、先生のスワミジがよく「attachment 執着」という言葉を使っていました。執着は多くの雑念を生み、やるべきことに気づく眼を曇らせます。
カルマが統合されていく
また、ここで「カルマ」という概念が出てきます。クンダリニー覚醒によって、カルマが統合されていくというように述べられています。カルマは今生において何をなすべきかということに大きく関わりますので、クンダリニー覚醒によって力強く自己表現をするようになるという前項の話と関係しています。
後のチャクラに関する行法などでもまたカルマが出てきますので、ここでは一端を示すに留められています。
用語:カルマ karman
心も体も変化する
When kundalini awakens, the physical body actually undergoes many changes. Generally they are positive, but if your guru is not cautious, they can be negative also.
心の変化だけでなく、体にもいろいろな変化が起こるといわれます。ほとんどの場合それは良い変化ですが、もし師匠がしっかり教えてくれる人でない場合、良くない変化が起こってくる場合もあると警告されています。
クンダリニーの覚醒によって、全ての細胞が生まれ変わり、声も変わり、体の匂いも変わり、ホルモン分泌も変わっていくといいますが、この分野での科学的な調査はまだ始まったばかりである、と説明されています。
クンダリニー覚醒の目的
崇高な目的のために覚醒すべし
クンダリニー覚醒を目指す上で、「なぜ覚醒させたいのか」という目的がとても重要です。
一般的に、ヨーガスートラなどでも「超能力が目覚めるのは付随的なものであり、その獲得を主目的として執着してはならない」ということが警告されていますが、ヨーガ実践者の中では十分に常識として知られているため、ここでサティヤナンダ氏は「超能力獲得を目指したいならどうぞお好きなように、あなたの運命をたどりなさい」という軽い感じで流しています。
そうではなく崇高な目的のためにクンダリニーヨーガが行われるのであれば、邪魔するものは全く無いだろう、と述べられています。
参考:ヨーガスートラ解説 3.36-3.38 〜超自然的な知覚を得る?〜
高いレベルで、心身を扱えるようになっていく
Once the great shakti awakens, man is no longer a gross physical body operating with a lower mind and low voltage prana. Instead, every cell of his body is charged with the high voltage prana of kundalini.
クンダリニー覚醒は、人の肉体や心や精神を急速に進化させ、低いレベルの心や低いボルテージ(電圧を表す言葉ではありますが、「波動」などと表現する人もいるでしょう)のエネルギーによって肉体を操っていたときの人間ではなくなり、神性が高まっていくと述べられています。
ここまで、クンダリニーヨーガに取り組む上での重要な心構えなどのヒントが述べられてきました。結構長くなってしまいましたが、序盤なので結構丁寧に読んできました。
そんな余計な前置きはいいから行法を教えてくれ!という人も多いかもしれません。私もこういう本を読むとき、最初はそんな感じで行法の章だけかいつまんで読んだりしていました。
しかし振り返ってみると、こういった序章部分などに、重要なヒントが含まれていたような気がします。
次節から、チャクラやナディといったクンダリニーヨーガの「生理学」についての概説が始まります。
次記事:「クンダリニー・タントラ/サティヤナンダ(著)」を読む【8】第1章 3節-1:クンダリニーの生理学
前記事:「クンダリニー・タントラ/サティヤナンダ(著)」を読む【6】第1章 2節前半:クンダリニーとは何か
参考文献
「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)
「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)


