心身の軸を整え、芯を強くする。瞑想法(観想法)の「センタリング」について解説します。
先に紹介した「グラウンディング」と一緒に行われることも多いので、そちらも参考にしてみてください。
センタリングとは
センタリング(centering)の言葉としての意味は、何かを「真ん中に置く」「中央に寄せる」といったニュアンスです。
レイアウト・デザインの業界でも要素を空間の真ん中に置くといったことで使われますし、スポーツなどでも中央にボールを送るといった意味でよく使われます。とても広い分野で使われる言葉のため、ここでは瞑想法としてのセンタリングを、「センタリング瞑想」と呼ぶことにします。
センタリング瞑想とは「意識・感覚を中心に集める」という瞑想法です。意識を向けたところに気(エネルギー)が集まるため、心身の中心軸がしっかり整っていくなどの効果があります。「中心」とはどこなのか、どんな形なのかによって、いろいろなやり方のバリエーションがあります。
センタリング瞑想の効果・目的
- 心身の軸を整え、流れるエネルギーを強くする
- 惑わされず、やるべきことに気づいて実行する力が高まる
- 心身の安定性が高まる
- 宇宙とつながり、エネルギーや閃きが得られる
意識を向けたところに「気(エネルギー)」が流れるという原則は度々紹介していますが、この瞑想法ではセンターへ意識を向けて、そこにエネルギーが流れることになります。
これはセンターだけにエネルギーを集中させて周りはおろそかにするということではなく、センターに適切なエネルギーが行き渡って活性化されると、そこから周りの臓器などへ適切に分配され、全体のバランスがとれるようになっていくというイメージです。
センターがうまく機能していないと、適切な分配ができずに偏りが生まれ、滞って過剰になる場所と、欠乏する場所に分かれてしまい、それぞれに特有の症状が現れてきます。
本来は意識せずとも(潜在意識的に)センターが機能しているわけですが、人は行動や感覚によって偏りが生まれるため、センターがうまく機能しなくなってしまっていることが多いです。そのため、一旦意識を集中してセンターを活性化して思い出すことで、その後しばらく、できれば常に、センターが潜在意識レベルで機能しているようにしていくのが目的と言えるかと思います。
「センター」をどのような場所・形でイメージするかによって、センタリングには様々なやり方がありますが、体の中心線が頭頂から宇宙へ向かって伸びているイメージを用いることが多いです。
やり方によっていろいろな解釈ができますが、グラウンディングが地球とつながるイメージだとしたら、センタリングは主に宇宙とつながるイメージがメインになり、グラウンディングとセンタリングを合わせて行うと地球と宇宙をつなぐことになるため、双方のエネルギーや意志が体に流れることになります。
以下で紹介する私の「基本的なやり方」では、その両方を行うイメージになりますが、先にグラウンディングからやっておくと、より明確にイメージしやすいかと思います。
センタリング瞑想のやり方
「中心」のイメージにはどんな形状(点・線・面)を用いるか、またどこに中心を置くかによって、センタリング瞑想法にはいろいろなバリエーションが生まれます。
ひとまず基本的なやり方を説明し、それからバリエーションについて考えてみます。
センタリングを行う姿勢
立って行っても、座って行っても可能です。座る場合は椅子でもあぐらでも大丈夫です。
背骨は直立していたほうが良いでしょう。なるべく全身が力まず偏りのないように、姿勢を維持できるようにしておきます。
センタリングの基本的なやり方
体の中心を縦に貫くラインをイメージします。
そのラインは、座っているなら骨盤底から、立っているなら両足の間の地面から、頭頂へ向かってまっすぐ通っています。
体の中を通るラインがイメージできたら、そのラインが頭頂から宇宙へ向かって伸びているようにイメージします。
そのラインの下の方は、地球の中心とつながり、宇宙と地球が自分の体を通してつながっているイメージになります。
中心線を通して宇宙と地球へ、自分の中の滞っているエネルギーを返してから、新たなエネルギーをいただき、双方からのエネルギーがハートで合流して体を満たしていくようにイメージします。
リラックスして呼吸しながら、数分間〜気持ち良いだけ長く続けます。
必ずしも呼吸とイメージを合わせて行う必要はありませんが、最初のうちは呼吸とともに吐く息でエネルギーが出ていき、吸う息でエネルギーがハートに入ってくる、というようにイメージするのも良いです。
全方向からハートへセンタリングするやり方
体の真ん中を縦に貫くラインをイメージしたら、次に前後からハートを通るラインをイメージし、さらに左右からもハートを通るラインもイメージし、3軸6方向からハートで交差するようにイメージします。
「自分が宇宙の中心である」というイメージをして、6方向へのラインを通じてハートから宇宙全体へエネルギーを放ち、宇宙全体からハートへとエネルギーが流れ込む、双方向の流れをイメージします。
リラックスして呼吸しながら、数分間〜気持ち良いだけ長く続けます。
センタリング瞑想のバリエーション
中心(センター center)を考えるとき、形状・微細さ(周波数帯)・次元などによって、様々なセンタリング瞑想のバリエーションが生まれてきます。
意識を向けたところに気(エネルギー)が流れるため、適切なセンターを選ぶと良いでしょう。間違ったセンターを選んでしまうと、エネルギーを浪費してしまったり誤った機能を強めてしまうこともあるので、違和感を頼りにして自分に合ったものを選ぶか、信頼できる師匠に教わるのが良いかと思います。
「点」「線」「面」のそれぞれの形状について、どんなバリエーションがあるか考えてみます。
点のセンター
センターを点として考える場合、たとえば丹田やハートや脳下垂体などをセンターとして考えることが多いでしょう。チャクラにも通じる考え方になります。
センタリング瞑想として行うとしたら、そのセンターの点へ向かってエネルギーを集めたり、不要なエネルギーを放出したり、といったイメージで行います。
点のイメージを用いる場合は、中心線上にある点ということが多いかと思います。中心線をスシュムナー、その上の点をチャクラとして捉えるなら、主な点としては骨盤底、丹田、臍の奥または鳩尾(太陽神経叢)、心臓、喉、眉間の奥、頭頂、という7つのチャクラが考えられます。
参考:チャクラに関する研究まとめ2 〜チャクラの構造と位置〜
あるいは、体の外の点をイメージすることもあるでしよう。頭上30cmあたりのところ、地球の真ん中、太陽(太陽系の真ん中)、宇宙の真ん中など、いろいろなやり方が考えられます。
また、物質空間の点としてだけでなく、別の微細な周波数帯や、別の次元、過去や未来、パラレルワールドなど、それぞれ意識して集中することで効果や意味は異なるものになるかと思います。
線のセンター
線として考える場合は、まず体を縦にまっすぐ貫くラインがイメージできます。これがセンタリング瞑想で一番よく使われるイメージかと思います。それに加えて、上記やり方の2番目の例のようにハートを前後・左右に貫くラインなども用いられることがあります。
小周天やクンダリニーヨーガの行法などでは体の前後の真ん中を通るラインをイメージすることもありますが、これもセンタリングのバリエーションと言えるかもしれません。これはナディや経絡にも通じ、アーユルヴェーダや東洋医学・気功・仙道に関連する技法ということにもなるでしょう。
また、頭頂から宇宙へ昇っていく中心線をイメージしたとき、それは具体的にどこにつながっているのか?という疑問が浮かぶこともあるでしょう。これもいくつかバリエーションがありそうです。
宇宙の中心、宇宙の果て、銀河系の中心、太陽(太陽系の中心)などが考えられますが、一体それはどこなんだ?と考え始めると雑念になってしまいますので、自分にとってしっくりくるものを選ぶと良いでしょう。
他にはたとえば、遥か上空、地球を包む透明の球体上にグリッドがあり、アカシックレコードが蓄積されていて、そこに接続するというイメージもできます。地球を包む一回り大きな球体をイメージすれば良いので、これは具体的に視覚化しやすいかと思います。
あるいはその中心線の先は物理的にはつながっておらず、ワームホールのような点を通って別次元の宇宙の創造主へつながっているといったイメージもあり得ます。
どのイメージがしっくり来るかは、人それぞれ異なりますので、雑念が湧かないような、自分にとって分かりやすいイメージを用いるのが良いかと思います。
面のセンター
面のイメージはセンタリング瞑想法として使われることは少ないかもしれませんが、スポーツでの能力向上や、ヨガポーズを深める上で、身体意識を高めるためにとても有効です。
面として考える場合は、解剖学ではよく使われる言葉ではありますが、体を左右に分ける矢状面、前後に分ける前額面、上下に分ける水平面といったものがあります。
これらは必ずしも体の真ん中にあるとは限らない(たとえば水平面などは特に体のどこでも輪切りにできる)のですが、とくに矢状面を真ん中においた場合は左右を均等に分けるセンターの面として有効なイメージになります。
その他、センタリング瞑想に関連する瞑想法と「形」の力
世の中には数々の瞑想法がありますが、センターへの意識を高めるものも多く、これらはセンタリング瞑想のバリエーションとも考えられます。
たとえば以前紹介した辻麻里子氏のゼロポイント図形を使った瞑想法や、ドランヴァロ・メルキゼデク氏のマカバ瞑想は、ハートのセンターの意識を高めるのにとても有効です。
ゼロポイント図形の瞑想とは、円錐状の渦がハートに向かって、6方向から流れ込んでいるような図形をイメージする瞑想法です。
私の頭に浮かんだ以下の図形にも近いものがありますが、これがxyz軸の3方向に向かっているイメージです。
ドランヴァロ・メルキゼデク氏のマカバ瞑想とは、体をちょうど包むような大きさの2つの正四面体が交差するようなマカバスターをイメージし、2つの正四面体が互いに逆方向に回転するようなイメージで行う瞑想法です。呼吸法と手のムドラーも組み合わせて行われます。親指と人差指を結ぶチンムドラーの形から始まり、一呼吸ずつ、親指に接する指をかえていきます。
Amazon:フラワー・オブ・ライフ 第2巻― 古代神聖幾何学の秘密/ドランヴァロ・メルキゼデク (著)
参考:研究の軌跡_20250601 「3」の安定性・神聖幾何学
また、トム・ケニオン氏のハトホルの書の幾何学ワークで示されているような、脳のセンターを意識する瞑想法などもあります。脳のセンターとしては、具体的には脳下垂体や松果体などに集中する瞑想法もよく行われ、これらの内分泌腺はチャクラに関係しています。
ハトホルの幾何学ワークとは、頭の外側に点をイメージし、その点が頭を中心にして回っている様子を視覚化する瞑想法です。その回転軸を少しずつずらしていって、最終的に軸が360°回転して戻って来るときには球を描いていることになります。これによって、普段は気にしていないことの多い「頭の中心」の意識が非常に高まります。
Amazon:新・ハトホルの書 ― アセンションした文明からのメッセージ/トム・ケニオン (著)
これらの瞑想法に共通するのは、幾何学図形・立体・動きを、イメージの明確化のために用いているということです。
「形」の持つ力は、イメージの力を高め、そして心身の変化にもつながると言えるかと思います。
0次元の点、1次元の線、2次元の図形、3次元の立体、4次元の動き、5次元の可能性…と、多次元のイメージができるようになっていくと、さらに多くの方面からエネルギーのやり取りができるようになっていきます。
センタリング瞑想のコツ
センタリングのコツは、グラウンディングなどのイメージによる瞑想法と共通するところが多いです。
以下のコツについては、グラウンディングの記事で解説しています。
- イメージを明確にする
- 集中する
- 行う前後の心身を観察し、変化に気づく
センタリング瞑想は、グラウンディング瞑想に比べると、上記で紹介したように、センターのイメージのバリエーションがとても多く考えられます。
そのため、コツとしては今の自分に合った適切なセンターのイメージを用いるということかと思います。
信頼できる師匠がいれば自分に合ったものを選んでもらうのが良いですが、独習でどんなイメージを選んだらいいか分からない場合は、まずはシンプルに自分の真ん中を、骨盤底から頭頂まで貫くラインをイメージするだけでも十分な効果があります。
より微細な気づきが磨かれてきたら、そのラインの頭頂からつながる先などをイメージできるようにしていくと良いかと思います。