心を落ち着ける・余計な滞ったものを排出する・新たな力が湧き上がる、といった効果のある瞑想法(観想法)として比較的ポピュラーな「グラウンディング(グランディング)」について解説します。
グラウンディングとは
「グラウンディング(グランディング・Grounding)」という言葉は、様々なものを表すために使われています。
ためしに今検索してみたところ、最近では「AIが言葉や概念を、具体的なものや実際の世界と結びつけて理解する能力」もグラウンディングと呼ぶようです。
言葉としては、地面(グラウンド)に足をつける・根を下ろすといった意味合いで使われることが多く、「アースする(電気を地面に逃がす)」といった意味にも使われます。
ここでは、瞑想法としてのグラウンディングを説明しますが、イメージとしては言葉通り「大地・地球と繋がる」という感じです。そのイメージが、心身に良い効果をもたらします。
グラウンディングの効果
- 余計な滞ったエネルギーを流す
- 新たなエネルギーを湧き上がらせる
- 心身の安定感を高める
グラウンディングは、地球の中心に向かって「根を下ろす」というイメージで行います。
植物の根には、「幹や枝葉を支えて安定感を高める」という役割もありますが、「地中から水や栄養を吸い上げる」という役割もあります。
それらに加えて瞑想法のグラウンディングでは、「余計なエネルギーをアースして地中に逃がす」というイメージも重要です。
補瀉の考え方からすると、余計なエネルギーを逃がすほうが先に行われ、新たなエネルギーを吸い上げるほうが後ということになるかと思います。
参考:なかなか治らない痛みなどに、「虚実」「補瀉」を意識して適切な治療をする
また、スポーツなどでも「地球の中心を意識して立つ」というイメージが、適度に脱力して立つことができ、いざというときに素早く動ける、といった物理的なメリットにもつながります。高岡英夫氏などはこのイメージをよく用いています。
グラウンディングのやり方
同じグラウンディングという名前がついていても様々なやり方がありますが、例として紹介します。
姿勢とイメージ
立ち姿勢・椅子に座った姿勢で行う場合は、足の裏をしっかり地面につけて、足裏から根が生えるイメージで行います。足裏のどこから生えるようにするかは、特に細かく言及されることは少ないですが、気の出入りを意識するとすれば湧泉のあたりをイメージするのが良いかと思います。
あぐらの姿勢でグラウンディングを行う場合は、骨盤底から根が生えるイメージで行うのも良いでしょう。
グラウンディングの基本的な流れ
足裏または骨盤底から生えた根が、地球の中心へ向かって伸びていきます。
体はリラックスして、しっかりした意志を持って根を伸ばしていきます。その根はエネルギー体なので、硬い岩盤なども快適にすり抜けていきますし、溶岩も熱くはありません。
地球の内部は、真っ暗ではなく、温かい光に満ちた世界をイメージしてください。中心はひときわ明るく白い光に包まれています。根を通じて、その中心とつながります。
伸ばした根を通して、体の全体から余計なエネルギーを地球へ返すイメージをします。
その後、地球から新たなエネルギーをいただいて、根を通して吸い上げていくイメージをします。
吸い上げたエネルギーは、足裏または骨盤底から体を満たし、各部分を活性化しながら頭頂まで達します。
グラウンディングのバリエーション
余計なエネルギーを返すときの流れとして、頭頂から体全体をスキャンしながらエネルギーを流すイメージを加えても良いでしょう。
あるいは、余計なエネルギーを頭頂から放出するというイメージで行う場合もあります。
「根を生やして地球の中心とつながる」というイメージは共通ですが、エネルギーの流れについては、自分でしっくりくるイメージを用いると良いでしょう。
エネルギーの下降と上昇を、呼吸と合わせて行っても良いでしょう。その場合、吐くときにエネルギーを下降させ、吸うときにエネルギーを吸い上げます。
ただ、地球の中心までは結構な距離があるので、難しい場合は呼吸と合わせなくても大丈夫です。その場合は、自然な呼吸を続けながら行います。
どんな場所でも行えますが、裸足で土の上で行うと、より効果が高まります。
グラウンディングの原理の考察
グラウンディングは、「イメージで作った根」を地球の中心へ向かって伸ばしていく行法ということになりますが、どんな原理で作用しているのかを考察してみます。
神智学的に言えば、この根はメンタル体(意志・思考の体)が主体となって作られます。地球を感じ取ろうという意図が加わるなら、そこにアストラル体(感覚・感情の体)も随伴しているような状態で伸びていきます。それらの形状は、肉体やエーテル体(気の体)に比べて変幻自在です。
参考:神智学大要 第1巻 エーテル体/アーサー・E・パウエル(編) 仲里 誠桔(訳)|書籍紹介
メンタル体は意志に従って動き、形を変えていきながら、内外に影響を与えます。メンタル体の根が地球の中心と出会い、そこで地球(のメンタル体)とエネルギーのやり取りをして、肉体などに溜まった余計なエネルギーを地球に返し、地球から新たなエネルギーをもらって、肉体などへ行き渡らせているという流れと思われます。ちなみにその行き渡らせるゲートになっているのがチャクラだとするなら、各チャクラの開発も行っておくと、よりその効果は高まるということになります。
さらに考察すると、その余計なエネルギーというのは何なのか。これは私達が物質世界で得た「経験」のエネルギーなのかと思います。執着してしがみついていると、滞って肉体にも影響が現れますが、惜しげなく手放して地球に返すことで、地球やそこに生きる生命たちに新たな経験知をもたらすということになるのだと思われます。地球は、そのために私達をつくって、いろいろな経験をさせているのかもしれません。
また、グラウンディングによって地球のメンタル体に触れてエネルギーをいただいてくるわけですが、その際に地球の意志にも触れることになるでしょう。そのため、地球による癒やしとともに、大きなひらめきなどがあるかもしれません。
グラウンディングのコツ
イメージを明確にする
グラウンディングはイメージの力でエネルギーをコントロールする技法のため、イメージがより明確であるほど効果が高まります。
最初のうちは、おぼろげなイメージでも良いので、回数を行っていくうちにイメージを明確にしていくと良いでしょう。自分でスケッチを描いてみても良いかもしれません。
集中する
なるべく雑念・煩悩がないように、集中して行うようにしましょう。
内外の刺激や雑念が邪魔をしてきても、そこにグルグルとらわれずに、すぐに集中対象であるイメージに戻るようにしましょう。
こんなのが効果あるのかな?といった「疑」もまた、煩悩の一つです。
イメージの力で心と体は作られていて、イメージからエネルギーを得ることができる、という仕組みに気づき、信じて集中するということが大切です。
行う前後の心身を観察し、変化に気づく
どんな行法やスポーツでも、続けて行っていくモチベーションになるのは、「変化が実感できる」ということかと思います。
イメージや集中がうまくいかないうちは小さな変化かもしれませんが、たとえ1〜2分でも行えば必ず変化があるはずです。
「なんか元気になった」など、少しでもポジティブな変化に気づければ、また行うモチベーションになるかと思います。なんとなく行って終わりにするのではなく、終わったあとの心身を観察して、変化に気づけるようにしていくと良いでしょう。
同様なイメージによる回復法として、軟酥の法なども参考にしてみてください。