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瞑想・マインドフルネスの効果1:不調を改善する
以下のような不調を抱えている人は、瞑想の実践が、改善のきっかけとなる可能性がある。
- 慢性的に疲れている、寝ても寝足りない、エネルギーが足りない。
- 自分はなにがしたいのかわからない。
- 他人と自分を比べてしまう。
- 集中力がない。すぐいろんなことを考えてしまう。
- 寝付きが悪い、眠りが浅い。
- その他、世の中に対して、あるいは自分の心身に対して、なにか違和感がある。
瞑想・マインドフルネスの効果2:能力を高める
瞑想は、脳の使っていなかった部分が目覚め、本来備わっている能力を引き出すきっかけになる。
- 集中力を高める。
- 洞察力を高める。
- 直感が働くようになる。
- 疲れにくくなり、エネルギーが湧いてくる。
- 今までなかった能力や感覚などが目覚める。
瞑想・マインドフルネスの原理
ムダな思考や行動はエネルギーを浪費するので、なるべくムダを省くことで、必要な活動にエネルギーが向けられる。
なにが「ムダ」なのか?それを判断するには、「今やるべきこと」に気づく必要がある。
ただし「ムダ」は「不要」ではなく、それもまた乗り越えるべき経験とも考えられる。様々な障害や誘惑に対して、どのように対処するのかということを経験するのが人生であるとも言える。
さて「今やるべきこと」とはなにか?
今やるべきことに気づくためには、自分を含めた世界全体、全ての過去の結実であり全ての未来の種を持つ「今」という瞬間を、出来るだけ深く広く洞察する力が必要である。
「今やるべきこと」に気づくことができると、自然とそこに向かうためのエネルギーが湧いてきて、心身も整い始める。他人から見れば苦行のようなライフワークを生き生きとやっているような人は、そのようなエネルギーを自然に利用している。
これらの原理をふまえて、「集中と洞察の練習」をする。
マインドフルネスとはすなわち気づきの力・洞察力であり、物事のありのままの本質に気づくことが、良き方向への変化の始まりとなる。
気づきの力・洞察力を磨くことが、マインドフルネス瞑想の主な目的となる。
「自分を高めてくれる対象」に、一定時間集中する、というのが一般的な瞑想法である。「集中対象の選び方」や「瞑想の時間」は様々であり、座ってじっとしているだけではなく、多種多様なやり方がある。自分に合った瞑想法を選べるように、いろいろなやり方を試してみれば良い。
雑念が湧いても、集中対象に戻ってくるという練習を繰り返すことで、集中力と洞察力は高まっていく。最初はうまくできなくても、練習を重ねることで必ず上手になっていく。
瞑想の基本的なやり方
瞑想の概要
自分を高めてくれる集中対象を選び、一定時間それに集中する。
「瞑想」という言葉には様々な定義があるが、ここでは、「集中が途切れず連続している状態」を瞑想と定義する。それには人それぞれに合った練習が必要であり、練習することで上手に集中が途切れないようになっていく。
集中を途切れないようにして、雑念へエネルギーが向かわないようになれば、「今やるべきこと」へエネルギーが向くようになる。自然と心身が整い、活気が湧いてくる。
雑念が湧いたり、姿勢が崩れたり、内外からの刺激があったりして集中が途切れても、心乱されず、集中対象に戻って瞑想の練習を続ける。
雑念は、ふつうは湧いてくるものであり、雑念が湧いたからダメというわけではない。むしろ、雑念が湧くことは、集中するための練習の機会と思えば良い。練習を重ねれば、心の切り替えがとても上手くなる。
湧いてきた雑念に対して、心乱されず、また押さえつけようともせず、自然にその思考から離れ、集中対象へと戻ることができるようになれば、その雑念は次第に湧いてこなくなる。
集中対象には、たとえば「呼吸」や「姿勢」を選ぶ。
参考:ヨーガスートラ解説 1.33-1.39 〜集中・瞑想する対象の選び方〜
基本的な坐法
背骨が自然な形でなるべく垂直に立ち、長時間座っていられる姿勢であれば、椅子や座布団を用いても良いし、坐法はなんでも良い。
呼吸に集中する瞑想(一例)
姿勢良くリラックスして座り、呼吸に集中する。
「5秒吸って→5秒止めて→5秒吐いて→5秒止める」
を1セットとして、5分間ほど続ける。
浅い呼吸をやめて、1呼吸に10秒以上かけるだけで、脳の働きは変わってくる。
ふだん深い呼吸を妨げていたものはなにか、心の状態や呼吸筋の動きなどを注意深く観察しながら行う。
姿勢に集中する瞑想(一例)
背骨がなるべく垂直に立つようにリラックスして座り、できるだけ深い呼吸をしながら、姿勢に意識を向けてみる。
「全身くまなく、50%ずつ力が入っている状態」を目指して、体中を観察しながら力が偏っているところを探し、体全体に均一に意識が分布するようにしていく。
意識を「部分」に向けた時点で、偏りは始まる。なるべく「全身」に意識を向けるようにしていってみる。
ふだんどの部分に偏りがあったか、心のストレスがかかったときに無意識に力が入ってしまっていた部分はないか、注意深く全身を、内部まで含めて観察しながら行う。
雑念への対処法
雑念とはなにか
雑念は、内外からの刺激によって生まれる心の波立ちである。
特定の刺激に対して強く反応してしまったりする、人それぞれ異なる「心の癖」が存在する。たとえば過去の記憶、未来への不安、特定の対象への執着などがある。
つまり雑念は「心の癖」すなわち「慢性化した偏り」が表面化したものであり、癖を根本的になおすためには湧いてこなければならないものである。
雑念に対して敵意や自己嫌悪を抱いてしまうことは執着が生まれてしまって逆効果であり、雑念が湧いてきたときは心の癖を直す好機であると捉えると良い。
体にたまった毒素が、表面化して一度病気として現れることで抜けていくという流れと同じである。表面化させずに溜め込んでいると、あとで大きな病気として現れてしまう。組織の問題なども同じであろう。
雑念に対して、あれこれぐるぐる考えてしまうと、雑念へエネルギーを与えてしまうことになる。考えず、よけておいて、「今やるべきこと」に集中を戻すということが雑念への上手な対処である。
無理に押さえつけるわけでもなく、忘れようとするわけでもなく、現れたものに対して悩まされず平然としていられるようにするということである。
雑念への上手な対処ができるようになると、それは次第に湧いてこなくなり、より深いところにあった癖に関する雑念が湧いてくるようになっていく。
そうやって、心も体も、深いところにある癖を少しずつ表面化させながらなおしていく。
雑念への対処法の例としては、以下のようなものがある。
- ラベリング
- 思考を切り替えるサインを決めておく
- イメージを用いる
ラベリング
雑念が湧いてきたら、これは「雑念」とラベルを貼って、いったんよけておく。
ラベルの言葉は、自分なりに決めて良いが、あまり頭を使わずにさっと貼れるものを用意しておくと良い。
「過去」「今じゃない」「不要」など。
言葉を用いたラベリングは、有効な場合もあれば、言葉に対して執着してしまって余計な思考が働きはじめてしまう場合もある。今の自分に合わないと思う場合は、別の方法を使うようにする。
思考を切り替えるサインを決めておく
「これをやったら、もう考えない。今やるべきことをやる。」というサインを決めておく。
「微笑む」「手のひらの真ん中を押す」「指をこすりあわせる」「頭の中で呪文を唱える」など。
イメージを用いる
雑念を表すイメージを、粉々にして風で吹き飛ばしたりきれいな水に流したりするようなイメージを用いる。
たとえば過去の記憶が湧いてきたら、その映像を一時停止して、画面が粉々になって風で吹き飛んでいくようなイメージをするなど。
洞察力を高める
「マインドフルネス」はすなわち「気づき」であり、「研ぎ澄まされた洞察力」である。
洞察力は本来備わっているものであり、他人から授かるものではない。
それを邪魔しているものを、手放していくようにする。
洞察力を邪魔するもの
- 誤解や思い込み
- 錯覚
- 記憶
- 眠気やエネルギー不足
- 知識
参考:ヨーガスートラ解説 1.5-1.6 〜「心の作用」の分別〜
知識を手放す
物事の本質を見抜くためには、本来知識は必要ない。
ただ、本質にたどりつくために、なにか道具やメソッドが必要である場合もある。地面を掘って埋蔵金を探すには、掘るための道具と技術が必要かもしれない。
しかし、目的と手段が混同されてしまうことはよくあることである。
本質に近づくところまできたら、その道具に執着せず、手放すことである。最後の関門を通るとき、知識への執着が邪魔をする。
補足・雑記
自分を高めてくれる集中対象例
- 呼吸
- 姿勢
呼吸の深め方
まずは、なるべくたくさん吐ききることを目指す。
吐くことで呼吸筋に意識が通るようになる。
そして腹式呼吸・胸式呼吸・完全呼吸を使い分けられるようにしていく。
呼吸を深めるメリット
「呼吸なんて普通にできているんだから、やり方を習うものではない」という思い込みがあるが、実際にしっかり深い呼吸ができている人はとても少なく、深い呼吸のメリットは非常に大きい。
筋肉を内側からマッサージし、肩こり腰痛頭痛や眼精疲労などを改善する。神経の働きを高め、脳や内分泌腺、消化器や生殖器など内臓全般の働きを高める。
姿勢の整え方
なるべく頭頂を高いところに、偏りをなくし、力みをなくす。全身に均一に負担が分散し、均一に力が50%入っているようにする。
姿勢を整えるメリット
印象がよくなり、内臓や神経の働きも良くなる。集中力が乱されにくい。正しいアラインメントは柔軟性を高める、怪我をしにくくし、日常生活を楽にし、スポーツの能力を高める。
瞑想のレベルを測る
瞑想を深めるにあたって、それぞれの段階・状態に合った、適切な行法・指導法が用いられるのが良いであろう。
瞑想の段階を測るための指標の例を紹介する。
≫ヨーガスートラ(ラージャヨーガ・アシュターンガヨーガ)における、サマーディの段階
参考記事
- 瞑想の効果を、脳(意識)の使われ方から考察
- 瞑想のやり方(始め方・続け方・深め方)メモ
- サマタ瞑想とは? 〜雑念を払う「止」の瞑想〜
- ヴィパッサナー瞑想とは? 〜心乱されず本質を観る〜
- マインドフルネス瞑想の流れ・練習法
参考文献
「自分を変える気づきの瞑想法」アルボムッレ・スマナサーラ (著)
「正しく理想的な姿勢を取り戻す 姿勢の教科書」竹井 仁 (著)