アシュタンガヨガのプライマリーシリーズ全体(フルプライマリー)のアーサナ内容・順番を紹介します。
ハーフプライマリーの記事を読み終わってから来た方は、フルプライマリー後半のアーサナから読み始めてください。
「ハーフプライマリー」は、太陽礼拝Aからナヴァーサナ(舟のポーズ)までを行って、ウルドゥヴァダヌラーサナ(上向きの弓のポーズ・ブリッジポーズ)からウップルティヒまでの「エンディングシークエンス」を行う流れです。
ハーフプライマリーとフルプライマリーの違いは、ナヴァーサナとウルドゥヴァダヌラーサナの間に12ポーズほど追加されるということになります。「フル」といっても、倍の長さになるわけではありません。
プライマリーシリーズは「ヨガ・チキッツァ(ヨガセラピー、ヨガ療法)」とも呼ばれ、解毒や浄化を目的とし、その後に続くレベルの高いアシュタンガヨガシリーズへの入り口として、心身の準備を整える流れとなります。
プライマリーシリーズの効果としては主に、前屈と股関節回転の柔軟性を高め、体力・筋力・集中力をつけていきます。
アシュタンガヨガは全部で6レベルに分けられ、プライマリーはアシュタンガヨガの中で最初のシリーズ。プライマリーがしっかりできていないと先に進むことはできません。人によっては、ハーフプライマリーだけでも数年、あるいは一生を費やすこともありますが、人と比べることなく、焦らず取り組んでみましょう。
これまで解説記事を書いたアーサナには写真とリンクが貼ってあります。今後、解説記事を書いたらリンクを増やしていきますので、たまにチェックしに来てみてください(≫更新日順のアーサナ解説一覧)。
この記事では、前半のハーフプライマリーの部分は、アーサナの順番だけ記載してあります。ハーフプライマリーのポーズ解説は下記の記事を参考にしてください。
≫アシュタンガヨガ(ハーフプライマリー)のシークエンス内容・順番
アシュタンガヨガ(アシュタンガヴィンヤサヨガ)とは
「アシュタンガヨガ」とは、呼吸に合わせて流れるように動いていく「ヴィンヤサヨガ(フローヨガ)」と呼ばれるヨガのひとつで、一般にヨガスタジオで行われているアシュタンガヨガの正式名は「アシュタンガ・ヴィンヤサ・ヨガ(アシュターンガ・ヴィンヤーサ・ヨーガ)」と呼びます。
「アシュタンガヨガ」そのものの意味は「8支則のヨガ」などと訳され、非暴力(自分にも他人にも苦痛を生まないようにする)といった哲学的なことから始まる8支則を実践していくヨガです。
アシュタンガヴィンヤサヨガでは、順番が決められたアーサナを呼吸に合わせてつなげていき、基本的にそれぞれ5呼吸ずつキープして次のアーサナ(左右があるアーサナは、反対側)へ進みます。
うまくできなくても執着しない、うまくできても慢心しない、「今」に集中して進んでいきます。
始めのマントラ
一般的なクラスでは、最初にアシュタンガヨガのマントラを唱えます。私のクラスでは、ご希望がない限りは唱えません。
参考:アシュタンガヨガの始めのマントラの正しい発音と意味を考察
オーム
omワンデー グルーナーン チャラナーラウィンデー
vande gurūṇāṁ caraṇāravindeサンダルシタ スワートマ スカーワボーデー
sandarśita svātma sukhāvabodheニヒシュレーヤセー ジャーンガリ カーヤマーネー
niḥśreyase jāṅgalikāyamāneサンサーラ ハーラーハラ モーハシャーンティエイ
saṁsāra hālāhala moha-śāntyaiアーバーフ プルシャーカーラン
ābāhu puruṣākāraṁシャンカ チャクラーシ ダーリナム
śankhacakrāsi dhāriṇamサハスラ シラサン シュウェータン
sahasra śirasaṁ śvetaṁプラナマーミ パタンジャリム
praṇamāmi patañjalimオーム
om
アシュタンガヨガの太陽礼拝
スーリヤナマスカーラA(太陽礼拝A) 3〜5回
スーリヤナマスカーラB(太陽礼拝B) 3〜5回
立位のアーサナ
ウッティタトリコーナーサナ
パリヴリッタトリコーナーサナ
ウッティタパールシュヴァコーナーサナ
パリヴリッタパールシュヴァコーナーサナ
坐位のアーサナ
(ハーフヴィンヤサ)
ジャンプバック
チャトランガダンダーサナ
ウルドゥヴァムカシュヴァナーサナ(アップドッグ)
アドムカシュヴァナーサナ(ダウンドッグ)
ジャンプスルー
アルダバッダパドマパスチモッターナーサナ
トリアンガムカエーカパーダパスチモッターナーサナ
ジャーヌシルシャーサナA
ジャーヌシルシャーサナB
ジャーヌシルシャーサナC
マリーチアーサナA
マリーチアーサナB
マリーチアーサナC
マリーチアーサナD
フルプライマリー後半のアーサナと順番
「ブジャ」は肩・腕、「ピダ(ピーダ)」は圧迫する、の意味。
両腕で全身を支えて、両肩を脚で挟み込むようにして、額かアゴを床に置きます。5呼吸キープ。
ポーズから抜けるときは、両脚を伸ばしてティッティバーサナ、膝を曲げて二の腕に乗せてバカーサナを通過して、ジャンプバックでハーフヴィンヤサに入ります。
スプタクルマーサナ
「クルマ(クールマ)」は亀、「スプタ」は眠っている、の意味。
両腕を脚の下に入れて前屈するクルマーサナ、5呼吸キープ。
そのまま手を背中に回してつかみ、両足を頭の後ろにもってくるスプタクルマーサナ、5呼吸キープ。
ポーズから抜けるときはブジャピーダーサナと同じようにティッティバーサナ→バカーサナを通過します。
「ガルバ」は子宮、「ピンダ」は胎児の意味。
蓮華座を深く組んで、膝とふくらはぎの間に両腕を通し、両手は頬にあてます。この形がガルバピンダーサナ。5呼吸キープ。
そこから手をひたいにもっていって背中を丸め、ゴロンゴロン転がりながら体の向きを変えていき、9回転するうちに1周して前に戻ってきます。
「クックタ」は鶏の意味。
ひたいにあてていた手を床におろして体を持ち上げます。5呼吸キープ。
「バッダ」はとらわれた・つかんだ、「コナ(コーナ)」は角の意味。
両足の裏をあわせて合蹠、かかとを鼠径部に近づけ、両膝は後ろへ引き下へおろしていきます。足裏は本を開くように開きます。
背中を伸ばしたまま前屈し、額かアゴを床におろしていき、5呼吸キープ。
次に、背中を丸めてアゴを足の上におろしていき、5呼吸キープ。
「ウパヴィシュタ」は坐った、「コナ(コーナ)」は角の意味。
坐って開脚して前屈します。両手は両足の外側を持ちます。5呼吸キープ。
吸いながら両脚を開いたまま持ち上げて、腰で全身を支えます。目線は空へ。5呼吸キープ。
ジャンプスルーから仰向けになり、腰を持ち上げて足を頭の先の床におろして開脚し、足の親指を持ちます。5呼吸キープ。
親指をつかんだまま、吸いながら両脚と上半身を持ち上げて、坐骨で全身を支えている状態を通ってから、両脚を床におろします。ふわっと降りるためには、降りる瞬間にかかとを突き出してふくらはぎで着地するようにします。
「パダングシュタ」は足の親指の意味。
ジャンプスルーから仰向けになり、片脚をまっすぐ正面に持ち上げて足の親指をつかみ、吐きながら上半身を脚のほうへ引き上げます。足を上げていない側の手は、上げていない脚の鼠径部をおさえておきます。5呼吸キープ。
吸いながら上半身を床に戻し、吐きながら上げている脚を外に開き目線は逆方向へ。5呼吸キープ。
吸いながら目線と脚を正面に戻し、吐きながら一度上半身を脚に近づけて、吸いながら上半身をおろし、吐きながら手を足から離して脚を伸ばし、仰向けに戻ります。逆側も行います。
「チャクラ」は車輪の意味。
仰向けのポーズからハーフヴィンヤサへ入る場合は、後ろでんぐり返しのようなチャクラーサナで起き上がってきます。
ハラーサナのような形から、両手を頭の横の床につき、少し手で持ち上げるようにしながら背中を丸め、足先を頭の先へ運んでいくようにしてゴロンとでんぐり返しします。
首を痛めやすいので、不安な場合はチャクラーサナを行わないで前へ起き上がってハーフヴィンヤサに入りましょう。
「ウバヤ」は両方の意味。両足を揃えて親指をつかむポーズ。
ジャンプスルーから仰向けになり、腰を持ち上げて両脚をそろえて伸ばしながら足先を頭の先の床におろします。足の親指を手でつかみます。
吸いながら脚と上半身を持ち上げて、腰だけ接地している状態で、腕は伸ばしてV字になります。目線は空へ。5呼吸キープ。
「ウルドゥヴァ(ウルドヴァ)」は上方向、ムカは「顔」の意味。
ジャンプスルーから仰向けになり、腰を持ち上げて両脚をそろえて伸ばしながら足先を頭の先の床におろします。足を外側から手でつかみます。
吸いながら脚と上半身を持ち上げて、腰だけ接地している状態で、体を二つに折りたたみます。目線は空へ。5呼吸キープ。
吸って腕を伸ばしてV字になり、ポーズから抜けます。
「セツ」は橋、「バンダ」はロックするなどの意味。
仰向けから、少しカエルのように膝を曲げながら外に開き、足の外側を床につけます。いくつかのイージーバージョンがあります。両手をついて体を支えるか、肘をついて体を支えるなどして胸を高く上げて喉を開き、頭頂を床につけ、可能であれば両手を胸の前でクロスします。胸を手の中へ、斜め上へ持ち上げていくようにイメージします。5呼吸キープ。
ポーズから抜けるときは、斜め下(足のほう)へ胸をおろしていき仰向けに戻り、チャクラーサナへつなぎます。
エンディングシークエンス
ハーフプライマリーと同じ、エンディングシークエンスを行います。
ブリッジを5呼吸ずつ3回行います。ポーズから抜けるときはチャクラーサナを行います。
強い後屈のブリッジを行ったあと、前屈のパスチモッターナーサナで中和します。ゆっくり10呼吸キープ。
サーランバ・サルヴァンガーサナ(ショルダースタンド・肩立ち)
ハラーサナ
カルナピーダーサナ
ウルドゥヴァパドマーサナ
ピンダーサナ
マツヤーサナ(パドママツヤーサナ)
ウッターナパーダーサナ
慣れていれば、ウッターナパダーサナのあとはチャクラーサナで抜けます。
シルシャーサナ(ヘッドスタンド・頭立ち)
バラーサナ(チャイルドポーズ)
バッダパドマーサナ(ヨガムドラー)
パドマーサナ
ウップルティヒ(トーラーサナ)
ウップルティヒからハーフヴィンヤサを行い、サマスティティヒまでもどり、終わりのマントラを唱えます。
終わりのマントラ
一般的なクラスでは、最後にアシュタンガヨガのマントラを唱えます。私のクラスでは、ご希望がない限りは唱えません。
オーム
omスワスティ プラジャービヤハ パリパーラヤンターン
svasti prajābhyaḥ paripālayantāṁニャーイェーナ マールゲーナ マヒーン マヒーシャーハ
nyāyena mārgeṇa mahīṁ mahīśāḥゴー ブラーハマネー ビャハ シュバマストゥ ニティヤン
go-brāhmaṇebhyaḥ śubhamastu nityaṁローカーハ サマスターハ スキノー バワントゥ
lokāḥ samastāḥ sukhino-bhavantuオーム シャーンティ シャーンティ シャーンティヒ
om śānti śānti śāntiḥ
シャヴァーサナ
終わりのマントラのあと、太陽礼拝Aを1回(ダウンドッグは5呼吸キープせず)行って、仰向けの休息のポーズ、シャヴァーサナへ向かいます。
アシュタンガヨガ・フルプライマリーの参考動画
現代のアシュタンガヴィンヤサヨガをまとめた、シュリ・K・パタビ・ジョイスさんがフルプライマリーのレッドクラスを行っている動画を参考にすると良いと思います。
いきなりこの人達のマネをしなくても大丈夫です。簡単バージョンのポーズを選んだり、アーサナ間に入れるハーフヴィンヤサ(チャトランガダンダーサナ〜ダウンドッグの流れ)の回数を調整したりして、自分のレベルに合わせて練習していきましょう。
フルプライマリーの練習法
フルプライマリー後半(ハーフプライマリー後)の最初のポーズ、ブジャピダーサナは早速なかなか難しいポーズです。
完璧に行うには、バンダの使い方が大切で、ジャンプスルーの練習も必要ですし、パスチモッターナーサナを深めてハムストリングスを伸ばして肩の上に脚を乗せられるように柔軟性を高めておく必要があります。
アーサナはしっかりひとつずつ、順番に習得していくのが良いでしょう。
たとえばブジャピダーサナを飛ばして後回しにしようとしても、次のクルマーサナ・スプタクルマーサナやガルバピンダーサナはさらに難しいです。順番を飛ばさず、ひとつひとつできるようにしてから次にトライするようにしましょう。
ハーフプライマリーがしっかりできるようになってきたら、ナヴァーサナの後ろにブジャピダーサナからひとつひとつ追加していくようにします。
もし独習しているときに、できないアーサナに出会ったら、無理して次を進めずそこで終わりにしてエンディングシークエンスを行ってその練習は終わりにするのも良いでしょう。
自分の成長が分かりやすくハマりやすい反面、先に進みたくなってしまって、怪我をしてしまう人もとても多いアシュタンガヨガ。
人と比べず、自分としっかり向き合いながら進んでいきましょう。
難しいポーズに出会ったら、無理せずハーフプライマリーに戻ってみてください。見落としていたことなど、また新しい発見があると思います。
≫アシュタンガヨガ(ハーフプライマリー)のシークエンス内容・順番
フレアプラスのアシュタンガヨガベーシックのクラスでは、基本的にはハーフプライマリーの内容で、参加者の方々のレベルに合わせてポーズ数を調整してレッスンを行っています。
プライベートクラスでは、習得されたいポーズを集中してレッスンすることもできます。オンラインレッスンでいくつかのアーサナを集中してお教えすることも可能です。壁にあたっている方や疑問を感じることのある方は、ご相談ください。