前屈に関する筋肉を一気にストレッチできるポーズ。
「パダ(パーダ):足」「ハスタ:手」というなんともざっくりした名前ですが、私もお気に入りのポーズで、パダハスターサナを練習することででだいぶ前屈が深まりました。
ここでは、アシュタンガヨガなどで行われるパダハスターサナを解説します。
シヴァナンダヨガにおける同名のパダハスターサナは、一般的な現代ヨガではウッターナーサナと呼ばれる前屈ポーズです。
この記事の目次
パダハスターサナ(パーダハスタアーサナ)の効果
座り仕事・PC仕事で固まりやすい部分を一気に伸ばす
座り仕事をしていると、裏ももやお尻は常に緊張していて固まっていきます。
裏もも(ハムストリングス)とお尻を伸ばすには、基本的には前屈の運動が有効です。
しかし、坐って前屈するポーズは重力が上手く使えず、普通にやっていてもなかなか深まりません。
筋肉を伸ばすときは、以下の2点を意識すると良いでしょう。
- 重力をうまく使う
- 引っ張り合う力を使う
これらをうまくつかったポーズが、ヨガには多く見られます。
パダハスターサナは、座り仕事・PC仕事で固まりやすい裏ももやお尻、手首や腕や肩、脇や腰などを一気に伸ばすことができ、さらに上半身は逆転のポーズなので頭や首の血流を改善してスッキリします。
オフィスなど、手を床につけられない場所では、腕で脚を抱えながら前屈するウッティタジャーヌシルシャーサナなどを代わりに行うと良いでしょう。
パダハスターサナ(パーダハスタアーサナ)の禁忌・注意点
ハムストリングス・大臀筋・ふくらはぎなど脚裏の筋肉や、手首を痛めている場合は避けましょう。
高血圧・血栓症などの方は、パスチモッターナーサナなど坐位の前屈を行うようにしましょう。
パダハスターサナ(パーダハスタアーサナ)のやり方
ドリシュティ(視点):鼻先
1)ターダーサナから、足幅を15〜20cmくらいに開きます。膝は曲がって構いませんので、お腹を太ももにつけるように前屈します。
2)手首の根元に足指が来るように、手の甲を下にして、手全体を足裏で踏みます。カカト重心にならないよう足指の付け根にしっかり体重をかけ、手は逆に少し抵抗するようにして、足と手で引っ張り合います。
肘は軽く外に張り、足で踏む力を疲れのたまった手首〜脇や腰まで伝えて伸ばしていきます。
3)頭は頭頂を床に近づけていき、背骨の間が1個1個空いていくように力をぬいて伸ばします。頭が下がると同時にお尻を高くしていき、裏ももを伸ばしていきます。
4)吸いながら少し起き上がり、目線を斜めへ。
5)吐きながらまず手を腰に当てて、吸いながら起き上がります。(吐く息で手を腰に当ててすぐ起き上がるという形もあるようです。)
パダハスターサナ(パーダハスタアーサナ)を深める方向性
- お腹を太ももに近づける(骨盤を前傾する)
- 頭頂を低く、顔を脚に近づけるというよりは胸を足の甲へ近づける
- 耳と肩の間のスペースを広げる(肩をすくめない、首を長くする)
パダハスターサナ(パーダハスタアーサナ)のコツ・練習法
手足で引っ張り合い、拮抗する力を使いながら前屈を深める
パダハスターサナの特徴は、手を足で踏むことです。この意味を考えると、手・腕の力を使って前屈を深めることができるというところに、この前屈ポーズの特徴があると思います。
そのため、ただ踏んでいるのではなく、手は上へ持ち上げようとする、足は手をしっかり踏んで下へ押し付けようとする、その力を拮抗させながら前屈を深めていくと効果的です。
手の甲をしっかり接地する
手の甲が中途半端に浮いていると、手足で引っ張り合う力をうまく使えません。
膝が曲がってもいいので、手首近くまでしっかり接地して、手のひら全体を足で踏む形を作ってから、膝を伸ばしていくと良いでしょう。
首・肩をリラックス
猫背・ストレートネックの方は、ふだんアゴが上がっていて首の後ろに力を入れる癖があることが多いです。
首の後ろの力を抜いて背骨を伸ばし、肩の力を抜いて首を長くして、顔をスネの方へ向けて近づけていきます。
お尻を高く、頭を低く
立位前屈ポーズはすべてこれが基本です。
お尻(正確には坐骨)を上へ向けていき、頭のてっぺんを床に近づけていきます。
背中を丸めるだけでは、ハムストリングスが伸びません。背中は、全体がゆるやかに丸くなる程度にして、骨盤からしっかり前へ倒していくようにしましょう。
前屈を深める上では、腸腰筋の使い方が重要ですので、以下の記事も参考にしてみてください。
参考:腹横筋と腸腰筋を使うコツ 〜姿勢を整える・深く前屈するために、とても重要な筋肉〜
アジャスト例(インストラクター向け)
- 膝を伸ばして行うやり方と、膝を曲げてお腹を太ももにくっつけてから膝を伸ばしていくやり方があるので、必要に応じて用いる。背中が丸まりすぎている人には、後者のアプローチをまず行ってみると効果的な場合がある。
- 背中側から、骨盤を左右から支えて前傾の動きをサポートする。坐骨を上へ向けていき、股関節をシャープに曲げる動きを導く。
- ストレートネックや猫背の人は首の後ろに力が入っている場合が多いので、やさしく後頭部・首・肩あたりに触れて、首を下方向へ伸ばすのを導く。
- 肩をすくめすぎている人は、僧帽筋のあたりに触れて、肩を上へ(肩甲骨下制方向)・上腕を外へ少し押し、耳と上腕の間にスペースを作るのを導く。
シークエンス例
- ウッターナーサナを準備ポーズとして行います。
- アシュタンガヨガでは、親指をつかんで前屈するパダングシュターサナの後に行います。
- ウッティタジャーヌシルシャーサナの前後に行うのも良いでしょう。
アーサナ名の表記バリエーション
【日】パダハスターサナ、パーダハスターサナ、パダハスタアーサナ、パーダハスタアーサナ
【梵】Pada Hastasana
【英】Hand To Foot Pose