骨盤周りを柔軟にし、瞑想にも適している坐法のひとつ。
「バドラーサナ」あるいは「吉祥坐」と呼ばれているポーズはいくつかあり、ハタヨーガプラディピカーで示されているバドラーサナは、現代のバッダコーナーサナやゴーラクシャーサナのような形で、別のアーサナを表しているようです。
ここでは、以下の書籍でサッチャナンダ氏がバドラーサナと呼んでいるアーサナを紹介します。
バドラーサナの主な効果
- 大腿四頭筋など脚の前側全体のストレッチ
- 股関節内旋の柔軟性UP
- 骨盤調整
- 足首の歪み調整・柔軟性UP
バドラーサナの禁忌・注意点
太ももの筋肉・膝・足首などを痛めている方は避けましょう。
自分の柔軟性に合わせて、脚を開く角度をせまくしたり、お尻の下に畳んだ毛布を敷くなどして調整します。
バドラーサナのやり方
1)正座(ヴァジュラーサナ)で坐り、膝をできるだけ開きます。
2)足をお尻のすぐ横に置けるように股関節を内回しして、可能であればお尻は床におろします。骨盤が後ろに倒れないように、姿勢をキープします。両足の親指同士が軽く接するところまで膝が開けるようにしていきます。
バドラーサナを深める方向性
- お尻が床につけられるように、股関節・足首を柔軟にする。
- 膝をなるべく開き、親指同士が接するようにする。
- 姿勢をキープして、できるだけ長い時間坐っていられるようにする。
バドラーサナのコツ・練習法
太もも前側の筋肉(大腿四頭筋)をストレッチ
まずは膝をしっかり曲げる必要があります。そのために、太もも前をストレッチしておきます。
下記のような形(半分の割座)でストレッチするのが効果的です。仰向けが難しければ、立って壁に手をつきながら行う形(体育などでよくやっていた形)でも良いでしょう。
股関節内旋・足首底屈を柔軟に
バトラーサナは、割座から膝を開いた形です。膝を開くことによって、太もも周りでストレッチされる筋肉が微妙に変化します。
膝を開き、親指同士が接するようにしていくためには、股関節を内旋する柔軟性と、足首を伸ばす(底屈)柔軟性がより必要になります。
割座(ヴィラーサナ)や陰ヨガのサドルポーズなどで練習すると良いでしょう。
アーサナ中の股関節・膝関節の修正動作
股関節を内回ししてアーサナに入りますが、気を抜いていると、
- 股関節が内回しされすぎてしまう(「お姉さん座り」に近づいていく)
- 膝の曲がりがあまくなって、腿裏とふくらはぎの間に隙間ができる(かかとがお尻から離れる・足の親指同士が離れる)
といった崩れた形になりやすいので、股関節を外回し方向に抵抗を加えて+膝をしっかり曲げることによって、かかとがお尻のすぐ横にあり膝がしっかり曲がった形がキープできるようにしましょう。理想的には意識せずにこの形になるようにしていきますが、崩れてしまううちは少し意識しながら行うように練習します。
カウンターポーズも合わせて練習
股関節を外回しするアルダシッダーサナや、シューレースポーズ、アグニスタンバーサナなどを合わせて練習すると、バランスよく股関節周りを柔軟にしていき、骨盤の偏りを防ぐことができます。
アジャスト例(インストラクター向け)
- 背中側に座り、骨盤が倒れないことを優先して、骨盤を左右から両手で支えて直立するように導く。
- お尻が床についていない場合は、ブロックやブランケットなどをお尻の下に置く。
- 足首が変に曲がっているようであれば、まっすぐ伸ばす(底屈)するように導く。
シークエンス例
- 一度脚をほどいて長座(ダンダーサナ)の形にしてから、片脚はアルダシッダーサナの形、もう片方はバドラーサナの形にして、サイタリヤーサナにつなぎます。
- 同様に片脚を蓮華座の形にしてツイストすると、バラドヴァージャーサナにつながります。膝を痛めないように、一度脚をほどいて長座にもどってから行うと良いでしょう。
- より強力に大腿四頭筋をストレッチするベーカーサナなどにつなげます。
アーサナ名の表記バリエーション
【日】バドラーサナ、吉祥坐
【梵】Bhadrasana
【英】Gracious Pose