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ハタヨーガプラディーピカーの18アーサナ簡単解説

ハタヨーガプラディーピカーの18アーサナ簡単解説

数百年前から伝わる18種類のアーサナを現代ヨガポーズと比較

体を主に扱う、現代ヨガの元になったハタヨガ。

現代のヨガポーズ(アーサナ)の多くは、この100年程度の間に作られたものが多いと言われていますが、では昔から行われているアーサナとはどんなものがあるのか。

ハタヨガの重要な教典とされるハタ・ヨーガ・プラディーピカーの第1章で示されている18のアーサナについて、日本語訳の引用と、現代ヨガでどのように行われているかなど簡単な解説を書いていきます。

ハタ・ヨーガ・プラディーピカーの概要については下記の記事に書いてあります。

≫ハタ・ヨーガ・プラディーピカーのアーサナ一覧

日本語訳は下記書籍から引用しました。
≫ヨーガ根本教典/佐保田鶴治

この記事の目次

スヴァスティカーサナ

1章19節「コムラ(腓)とフトモモの間に両方の足をしっかりとはさんで、カラダをまっ直ぐに立てて安坐する。これがスヴァスティカ(吉祥)体位である」

足が温かいので冬にもオススメな、「あぐら」のひとつ。
スヴァスティカは卍の意味でもあり、脚を組んでいる状態が卍のように見えます。

≫ヨガのあぐら一覧

ゴームカーサナ

1章20節「右のクルブシを左のシリの下にしき、同様に左のクルブシを右のシリの下にしく。これがゴームカ(牛面)体位である。」

少し訳が異なる場合もあるようです。この訳に従えば、スネをクロスする正座のような形のようです。

現代の一般的なゴームカーサナは、肩の柔軟性を高める動きも加えられています。

≫ゴームカーサナ

ヴィーラーサナ

1章21節「一方の足を他方のモモの上にしっかりとすえ、一方のモモを他方の足の下にしく。これはヴィーラ(英雄)体位である。」

この訳に従えば、半跏趺坐(アルダパドマーサナ)のような形になります。

現代の一般的なヴィーラーサナとは異なります。

≫ヴィラーサナ(割座)

クールマーサナ

1章22節「両方の足のクルブシで、互いちがいにコーモンを圧して正座する。ヨーガ学者たちはこれをクールマ(亀)体位とよんでいる。」

足首のあたりをクロスした正座の形のようです。

現代の一般的なクールマーサナとは全く異なります。

≫クールマーサナ

クックターサナ

1章23節「パドマ(蓮華)体位をしてから、ヒザとモモの間に両手をさしこみ、それを地上に立てて、カラダを宙に浮かす。これはクックタ(にわとり)体位である。」

これは現代のアシュタンガヨガなどで行われているクックターサナと同じようです。

ウッターナ・クールマーサナ

1章24節「上記のクックタの体位のバンダ(ひきしめ)をしたままで、両腕でもってクビを巻いて、亀のかっこうをして上向きにねる。これがウッターナ(上向き)・クールマ体位というものである。」

現代ヨガのガルバピンダーサナで転がっているときのような形のようです。

ダヌラーサナ

1章25節「両足のオヤユビを両手でつかみ、両方の耳に向って、弓を引くかっこうをする。これがダヌス(弓)体位とよばれるものである。」

現代ヨガのアーカルナ・ダヌラーサナ(弓を耳へ引くポーズ)がこれにあたりそうです。

マツェンドラーサナ

1章26節「右足を左のモモのつけ根に引きつけ、左足は右ヒザの外側におき、それを(右手)でつかんで上体をねじる。これが聖者マッチャナータの説いた体位である。」

現代ヨガで人気のねじりポーズ、アルダマツェンドラーサナはこれを簡単にしたものです。
ここで示される形は、アルダマツェンドラーサナに半蓮華座を加えた形で、プールナ(完全な)マツェンドラーサナなどと呼ばれます。

≫アルダマツェンドラーサナ

パスチモッターナーサナ

1章28節「床上に両脚を棒のようにまっ直ぐにそろえてのばし、両方の手のヒトサシユビを二本の足ユビ(足のオヤユビとヒトサシユビ)に引っかけ、ヒザの上に前額をつけて、そのままじっとしている。これをパシチマターナ(背中をのばす)体位という。」

この訳では指のつかみ方が少しだけ異なりますが、ほぼ現代のパスチモッターナーサナと同じです。

≫パスチモッターナーサナ

マユラーサナ

1章30節「両方のテノヒラを地上につけ、両腕のヒジの上にヘソの両側をあてがい、カラダを宙に浮かして、棒の如くまっ直ぐに保持する。この体位はマユーラ(孔雀)とよばれる。」

現代ヨガのマユラーサナと同じようです。

≫マユラーサナ

シャヴァーサナ

1章32節「死体のようなかっこうで仰臥するのがシャヴァ(しかばね)体位である。この体位はハタ・ヨーガの実習からくる疲労をとり去り、心のリラックスをもたらす。」

現代ヨガのレッスンでほぼ必ず最後に行われる、シャヴァーサナが示されています。

シッダーサナ1

1章35節「左足のカガトを会陰部にあてがい、右足のカガトをしっかりと性器の上方(下腹部)にすえる。アゴを胸のあたりにしっかりと引きつけ、上体をまっ直ぐに縦、諸感覚を外界の対象から内方へ引っこめ、視線をこらして眉間(みけん)を凝視せよ。これこそ解脱の障害を断ち切るところの、シッダ(大師、達人)とよばれる体位である。」

一般的なシッダーサナに、のどを締めるジャーランダラバンダと、眉間を凝視するシャンバビムドラーを加えた形になっています。

会陰の上にあるムーラダーラチャクラ(第1チャクラ)、下腹部の奥にあるスヴァディシュターナチャクラ(第2チャクラ)、のどのヴィシュッダチャクラ(第5チャクラ)を刺激する重要な坐法とされます。

シッダーサナ2

1章36節「左足のカガトを性器の上方(下腹部)にあてがい、他方のカガトをさらにその上に重ねて、シッダ体位をなしてもよい。」

会陰の刺激をなくして、スヴァディシュターナチャクラへの集中を高める坐法となりそうです。

この節のあと、7節にわたってシッダーサナの説明や賛美が述べられ、シッダーサナの重要性が際立ちます。

パドマーサナ1

1章44節「左モモの上に右足をのせ、右モモの上に左足をのせ、背後からまわした両手でしっかりと両足のオヤユビをつかんで、アゴを心臓のあたりにあてて鼻頭を凝視する。この体位はパドマ(蓮華)とよばれ、行者たちの病患を消す。」

現代ヨガではバッダパドマーサナと呼ばれる形に、ジャーランダラバンダが加わっています。
シッダーサナと並んで重要なアーサナとして扱われています。

パドマーサナ2

1章45〜46節「足の裏を上向きにして、深く交差した両脚をモモの上におき、両方のモモの中間(交差した足首の上に)でテノヒラを上向きにして両手をかさねる。そして、両方の視線を鼻頭にそそぎ、舌のさきをしっかりと門歯(上列)の根本につけ、アゴを胸部にあてて、ゆっくりと気を引きあげる。」

手の形は、仏教の瞑想でよく用いられる法界定印の形のようです。
ジャーランダラバンダが加わっています。

パドマーサナ3

1章47節「両手を前で重ねあわせ、ことさらに固くパドマ体位を組み、深くアゴを胸にうずめて、心に『かのもの』(タット)を思念しながら、くりかえしてアパーナ気を上に引き上げ、吸い込んだプラーナ気を下方へかよわせることによって、ひとはシャクティの助けを得て、無比な悟りを得る。」

見た目上の形は前述の2と同じですが、バンダや内部エネルギーの流れ、観想するものなどの指示があります。

「かのもの」とは宇宙意思ブラフマンのことで、自分とブラフマンがひとつであるということを悟ることを目指す不二一元論に基づいた瞑想です。

ヨーガ・スートラは二元論(サーンキャ哲学)に基づいており、ハタ・ヨーガ・プラディーピカーは随所に不二一元論に基づいた記述が見られ、このあたりも重要な違いとして扱われます。

シンハーサナ

1章50〜51節「両足のクルブシを陰嚢の下、会陰の両側につける。右側には左足のクルブシを、左側には右足のクルブシをあてる。両テノヒラをそれぞれの側のヒザにおき指をひろげ、口を大きく開け(舌を長く外に出し)、精神を統一して鼻頭を凝視する。」

足の組み方、手の置き方、目線の方向はいくつかバリエーションがありますが、現代ヨガでも行われている「ライオンのポーズ」です。

バドラーサナ

1章53〜54節「両方のクルブシを陰嚢の下、会陰の両側につける。左のクルブシを左側に、右のクルブシを右側に、そして相接している両脚を両手でもって、動かぬようにしっかりとしめつける。これがバドラ(吉祥)体位という。この体位はあらゆる病気をなおす。」

バッダコーナーサナの足の上に坐るような形で、股関節や足首の柔軟性をかなり必要とします。現代ヨガではあまり行われていないようです。

アーサナの目的について

ハタ・ヨーガ・プラディーピカーで示されているアーサナは以上18種類。

ハタ・ヨーガ・プラディーピカーより1100年ほど前に編纂されたヨーガ・スートラでは「快適で安定していること」としか書かれていなかったアーサナの扱いは、大きく変化しています。

では、そもそもこれらのアーサナは、どんな目的で考え出されたものだったのでしょうか?

現代の人々がヨガのアーサナをする目的は、体を柔らかくしたい、やせたい、インナーマッスルを鍛えたいなど様々であると思います。

ハタ・ヨーガ・プラディーピカーで述べられているアーサナの主目的は、「ナディ(気道)の清掃」と言われています。

1章56節「われわれは気道を清掃する方法であるムドラー等の生気に関する作法を修練しなければならない。それは上述した体位法、いろいろなクンバカ(止息)法、ならびにムドラーとよばれる諸操作から成っている。」

ハタ・ヨーガでは、肉体(粗雑身)をとりまくエネルギー体(微細身)のようなものがあると定義し、アーサナやプラーナーヤーマなど数々の手法は、肉体ではなくそのエネルギー体に働きかけるものであるとされています。

肉体が整って柔らかく美しくなっていくのは、その副産物にすぎないということです。

むしろ肉体に執着していては、アーサナはうまく行えません。

では気道をキレイにしたらどうなるのか?といった話は第2章以降に書かれていますので、いずれ解説したいと思います。

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