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ダンテス・ダイジ氏の「ニルヴァーナのプロセスとテクニック」

ダンテス・ダイジ氏の「ニルヴァーナのプロセスとテクニック」

マントラ禅、丹田禅、クンダリニー・ヨーガ、只管打坐、自分に合った道を選ぶ

この記事の目次

ダンテス・ダイジ氏の著作と講話録

ダンテスダイジ氏の著作「ニルヴァーナのプロセスとテクニック」の中には、ニルヴァーナへ至るための4種類の冥想行が記されています。

その中にクンダリニー・ヨーガが含まれているので、今回はクンダリニーヨーガ研究の一環として、他の書籍紹介の記事とは異なる形式になりますが、ダンテス・ダイジ氏のことも含めて紹介します。

ニルヴァーナとは

「ニルヴァーナ」は日本語では「涅槃」と呼ばれ、「繰り返す再生の輪廻から解放された状態」あるいは「煩悩を滅し尽くした状態」などを表します。「モークシャ(解脱)」と同義に扱われることもありますが、仏教とヒンドゥー教、宗派などによって解釈が異なります。

世界中で様々な宗教などによって涅槃へ至るための行法が作られてきたわけですが、この著作でも4種類の行法が示されており、自分に合ったものを選びなさいということになるのでしょう。

どんな人にオススメの本?

煩悩・雑念を減らすために瞑想を行っている人にとっては、ヒントが得られるかもしれません。ただ、危険性も伴う行法も含まれるため、初心者の方はまだ無理に手を出さず、別の基本的な瞑想を練習していくのが良いかもしれません。

今回は概要だけ紹介し、具体的な行法のやり方までは書きません。興味のある方は、弟子の渡辺郁夫氏のサイトや講話集も参考にしながら、慎重に学びを進めてみてください。

弟子の渡辺郁夫氏のサイトを参考に、学びを進める

渡辺郁夫氏は、まず講話録「十三番目の冥想」を読み、ダンテス・ダイジ氏に精神に関心を寄せた人が、「ニルヴァーナのプロセスとテクニック」の行法を行っていくのが良いとしているようです。

講話録には、とても穏やかに早稲田大学の若者たちに語っているダンテス・ダイジ氏の人柄が表れています。

外部参考:渡辺郁夫氏のサイト「総合冥想部門」

Amazon:ニルヴァーナのプロセスとテクニック/ダンテス ダイジ (著)

Amazon:十三番目の冥想 (雨宮第慈講話録)

ちなみに講話録はAmazonなどで高額で売られていますが、渡辺氏のサイトで直接注文するか、置いている本屋も記されているのでそこで買うと良いでしょう。私もそれがきっかけでその本屋を初めて訪ね、お気に入りになりました。

ダンテス・ダイジ氏について

ダンテス・ダイジ氏は、本名は雨宮第二、別名で雨宮第慈などを名乗り、ダンテスは過去世での名前のようです。

曹洞禅・臨済禅、古神道、道教、クンダリニーヨーガなど様々な道を修めた超宗派の人物で、Wikipediaでは「タントラ・ヨーガ・グル」「坐禅老師」と紹介されています。

37歳で世を去り、また著作がオウム真理教に影響を与えたとか教祖と関わりがあってやり方を厳しく咎めたなど、様々な評判のある人物ですが、自分の宗教をつくって大々的に広めたりするような活動をしておらず個人指導がメインだったようです。

著作は今回紹介する「ニルヴァーナのプロセスとテクニック」を除いてはすべて亡くなった後に公開されたもので、一般向けには難解な表現も多く、いまのところは一部の人々にしか知られていないようです。

ダンテス・ダイジ氏の著作に私がたどり着いた経緯

研究の軌跡にもかなり前に書きましたが、現代ヨガにおける「ハタヨガ」というものを調べはじめ、古典的な「ハタヨーガ」は密教と深い関係があることが分かり、そこからチベット密教などを調べていたときに、ダンテス・ダイジ氏や中沢新一氏の書籍に巡りあったという流れです。

最初はこういった本を読むのは怖い気もしましたが、勇気を出して気づきを磨きながら研究を進めていきました。

そしてクリシュナムルティや神智学といったところとつながり、ダンテス・ダイジ氏も著作を推薦していたという佐保田鶴治氏や本山博氏ともつながりました。

佐保田鶴治氏の本は、ハタヨーガプラディーピカーゲーランダサンヒターの研究などでとてもお世話になり、本山博氏の設立した根府川道場には度々伺わせていただいています。

参考:研究の軌跡「クリシュナムルティとダンテス・ダイジ」

ダンテス・ダイジ氏の4種の行法と注意点

「ニルヴァーナのプロセスとテクニック」に記されている4種の行法は、以下の通りです。

  • マントラ禅
  • 丹田禅
  • クンダリニー・ヨーガ
  • 只管打坐

この本には、行法の説明と、背景となる原理の説明や、ダンテス・ダイジ氏の詩や自伝的な随筆が並んでいます。

原理の部分については、ハタヨーガ(クンダリニーヨーガ)神智学の知識を持っておくと、より分かりやすいかと思います。

詩の部分はなかなか自由な感じで、混乱をもたらすかもしれません。

淡々と行法を説明してくれる本ではなく、詩と随筆が突然はさまって書体が変わっていたり、知覚を刺激するような構成になっています。

冒頭の「本書を読むにあたって」の注意書きには、文章を自己流に解釈して進めるよりも、正しい師匠に直接教わるべしと記されています。このあたりは「クンダリニー・タントラ」や「ハタヨーガプラディーピカー」などの密教の教えと同様です。

以下、4種の行法の概要を紹介します。

マントラ禅

自分に合ったマントラ(真言)を選び、全身全霊で唱える行法。

「マントラヨーガ」との違いは、チャクラへの集中なども全く行わず、ただマントラを精一杯唱えるということであると示されています。

そこには誠意、真心、信頼といったものが込められ、効果・見返りを期待してのマントラや信愛(バクティ)なきマントラには効果はない、といいます。

参考:バクティヨーガとヨガの種類一覧

丹田禅

丹田呼吸により、下腹部に気力を充満させる行法。

スワディシュターナチャクラを開き、生命力・意志力・不動心・沈着冷静な判断力などが効果として現れると示されています。

クンダリニー・ヨーガ

この本の中では最も多くの分量が割かれている行法で、それに伴う自伝や詩も多く並んでいます。詩は、読んでいるとアタマがおかしくなる人もいるかもしれません。気づきを磨いて読めば、高度な知覚が養われそうです。

原理の説明には、神智学と共通する微細身の解説などが比較的シンプルに示されています。

行法としては、マハームドラーやヨーニムドラーなどを用いて、スシュムナーに意識を通すやり方がいくつか示されていて、サティヤナンダ氏のクンダリニー・タントラと共通する部分もあれば、通す気道やチャクラの詳細な位置が異なっているなどの違いもあるようです。

私も研究の中で挙げていますが、クンダリニーヨーガではやはり「死」というものが重要な要素として現れます。幽体離脱とも異なるさらに突き抜けた「上昇」が、図も用いて描かれています。

行法として文字で読む分にはシンプルですが、危険を伴うため、正しい師匠に教わりながら進めるのがやはり良いでしょう。

ダンテス・ダイジ氏は、この行法をインドのババジ直系のクンダリニー・ヨーガであるとしています。その場合、ヨガナンダ氏やユクテスワ氏などとも関係があるということになるかと思います。こういった行法はもともと公にはされず師匠から直接教わるものだったようですが、ババジから伝わったという行法を示している書籍は他にも近年いくつか見られるようになってきたようで、世界の状態を鑑みてそういった情報が開示されるべきであると解釈する流れもあるようです。

Amazon:ババジのクリヤーヨーガ関連の書籍

只管打坐

曹洞宗の坐禅による、ニルヴァーナに至る行法です。ただただ坐るべし、という行法ですが、そこからどのようにニルヴァーナに至っていくのかという過程が、段階を踏んで説明されています。

「只管打坐の効果」の1つ目に「どうでもいい。」と突き放したように書きつつ、ステップを7つに分けて一応説明してくれたりしています。

坐法や呼吸なども細かく指示されていて、この情報を頼りに坐禅を始めることもできそうではありますが、やはり「正しい師匠に全面的に従うべし」と書かれています。

正しい師匠を見つける

この本の狙いとしては、冒頭の注意書きはしっかり確認した上で、4種の行法の中から自分に合った道を選び、それぞれの道の正しい師匠について修行をすすめるべしということかと思います。

渡辺氏もサイトの中で以下のように説明しています。

私の所には、独修は危険とあるがこの行を修めるにはどこに行けばいいのかという質問がよくあった。私は禅なら禅寺へ、ヨーガなら本山博氏の所へと答えた。佐保田鶴治と本山博のヨーガの本はダイジが勧める参考書の一つだったが、佐保田鶴治氏は一九八六年に八十七歳で逝去しておられた。二十五年経ち本山博氏もすでにご高齢である。

現在は本山博氏もすでに亡くなられているため、今は誰を推薦されているのかはわかりませんが。

良き師匠を見つけるのは、やはり密教的なヨーガを深める上では重要なようです。

その出会いは、自分の準備ができたときに、自然に訪れるとも言われます。

参考:師匠の必要性・見つからない場合について

「ニルヴァーナのプロセスとテクニック」の目次・構成・購入先

  • 本書を読むにあたって
  • 編者序文
  • 第一章 マントラ禅
  • 第二章 丹田禅
  • 第三章 クンダリニー・ヨーガ
  • 第四章 只管打坐
  • 終わりに

Amazon:ニルヴァーナのプロセスとテクニック/ダンテス ダイジ (著)

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by 高橋陽介

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