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「クンダリニー・タントラ」を読む【15】第1章 6節-1:クンダリニーヨーガの準備

「クンダリニー・タントラ」を読む【15】第1章 6節-1:クンダリニーヨーガの準備

未知の世界へ、いかにして踏み出すか

「KUNDALINI TANTRA(クンダリニー・タントラ)/Swami Satyananda Saraswati(スワミ・サティヤナンダ・サラスワティ)著」を読み進めていく形で、クンダリーニヨガ(クンダリニーヨーガ)の概要を紹介していきます。

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今回は、第1章の6節の冒頭、クンダリニーヨーガの行法に入る前の準備や注意点に関する部分です。

(引用部分の太字強調は私が個人的に重要と思ったところを示したものです。)

クンダリーニヨガの研究については、以下のページにまとめてあります。

参考:クンダリニーヨーガ(クンダリーニヨガ)の研究まとめ

用語:クンダリニー(クンダリーニ)チャクラナディ(ナーディー)

この記事の目次

クンダリニーヨーガの始め方

Without a guru you can practise any form of yoga, but not kundalini. This is an extremely powerful system. Kundalini yoga does not start suddenly or with fits. You don’t have to make any substantial changes in your way of life, but you must begin to practise. Do not start with advanced practices; for some time you should train and prepare the physical body, then go to the mind and gradually explore the deeper levels. Before commencing the practices which bring about the actual awakening of kundalini, you must prepare yourself step by step on the physical, mental and emotional planes. If you are patient and prepare correctly, awakening of kundalini will definitely take place.

ここでクンダリニーヨーガを始める際の注意点が挙げられています。箇条書きにすると、以下のようになります。

  • 他のヨーガとは異なり、クンダリニーヨーガの実践には適切な師匠が必要である
  • クンダリニーヨーガは突然に、あるいは発作的に始まるものではない
  • 日常の生活様式に変化を加える必要はないが、実践を始めるべきである
  • 高度な行法から始めるべきではなく、徐々に深めていくべきである
  • クンダリニー覚醒の実践を始める前に、肉体的、精神的、感情的な面で段階的に準備を進めていくべきである

この「クンダリニー・タントラ」で紹介されているクンダリニーヨーガは、出家したり洞窟にこもったり、生活の大半を修行に費やしたりなどはせずに、一般的な社会人が実践を始められるようにつくられています。

クンダリニーヨーガを始めたからといって、仕事をやめなくてはならなくなったりはせず、今まで通りの生活をしながら、できる範囲で始めていくことができるようになっています。

ただ、高度な行法などは脳や意識に作用する強力なものがあるため、適切な師匠に教わりながら段階的・密教的(マンツーマン)に進めていくのが適しているということでしょう。

師の必要性、師が見つからない場合

密教的なヨーガにおいては、必ず師匠の必要性が言及されています。

しかし師匠に教わらなければ進めてはならないのだとしたら、密教の教えの一部を文章にして公開している意味はあるのでしょうか。

そこには密教の道へ一歩踏み出すための重要なヒントが含まれている場合もあるでしょうし、書籍を元に自力で始めてみたけれどやっぱり師匠が必要だ!と気づくようになっていたり、その道への入り口としての役割があるのでしょう。

Therefore, if you want to follow the path of kundalini yoga, it is absolutely essential to have a guru with whom you feel intimate. Many people say the guru is within, but are they able to communicate with him, understand him and follow his intricate instructions? If so, it is possible to proceed with this internal guidance, but few people have such a relationship with the inner guru. They need an external guru first. He will connect them with the inner guru. If you have a guru he will help you to prepare for kundalini awakening, he will be there if you need any advice and he will guide you through the crisis of awakening.

師匠は「自分の内にいる」という人々もいます。その内なる師とコミュニケーションすることがもしできるのなら、修行を進めていくことができるかもしれません。

しかしそれができる人は稀で、それができるようになるまでは外から教えを与えてくれる師匠が必要であると述べられています。

The relationship between guru and disciple is the most intimate of relationships; it is neither a religious nor a legal relationship. Guru and disciple live like an object and its shadow. The guru is the best thing in spiritual life, and if you have a guru you are very fortunate. However, it is sometimes difficult to find a guru. If you haven’t a guru, you can cultivate a mental picture of him, try to feel his guidance and continue practising faithfully. You will surely succeed.

師匠と弟子は、単に先生と生徒というだけでなく、親子あるいはそれよりも親密で愛のある関係性になるといいます。そんな人物を探すのはなかなか難しいことで、見つけた人はとても幸運だということでしょう。

もし適切な師匠が見つからない場合は、その姿を心に鮮明に思い浮かべ、その人物からの教えを受けることをイメージしながら信心深く実践を続けることで、成就に至るであろうと説明されています。

内なる師からの教えを受けるのと同様に、これもなかなか難しいことかもしれませんが、師匠が見つからない場合はそのようにすべしという道も示されています。

どのくらいの時間がかかるか

Preparation is not the job of one lifetime. Man strives spiritually life after life. In fact, this body is given to you only for that purpose. For eating, sleeping and sexual interaction a human body is not necessary, so in our lower stages of evolution we had an animal body. However, even with this human body, we still have animal in us, so these natural urges follow us. Let them, but remember, this body is not for their fulfillment alone.

まずヨーガの理論は、輪廻転生を元にしています。そしてゴールに至るためには、いくつもの生を要する場合があるということを前提にしています。

この人間の体は、なんのために授けられたのか?食べるため、寝るため、性行為をするためなどであれば、人間の体ではなく動物の体でも十分です。もちろん人間にも動物的な部分が含まれており、それらの欲求は日常的に現れてきます。それはそれとして、人間として重要なことは「意識」の使い方であると説明されています。

Man is aware of his awareness and he does not only think, he knows that he thinks. The evolution of his awareness has been going on life after life.

人間は、考えることができるだけでなく、自分が何を考えているのかに気づくこともできます。そういった気づきの経験を、いくつもの生を続けながら積み重ねていくことができるといいます。

前の生までで積み重ねたことは次の生にも持ち越され、そこからまた学びが始まります。それは同じ親から生まれたきょうだいでも異なっているといいます。

However, if you are eager to awaken kundalini and the chakras, you should not be in a hurry. Set apart twelve years of your life for this purpose. This is not to say that the awakening cannot be brought about within one, two or three years – it can be. Total awakening can even take place in a month, or the guru can give you awakening in one day, but you will be unable to hold and sustain the awakening.

クンダリニーやチャクラの覚醒を目指すのであれば、焦ることなく、12年の時をかけて行うべしと示されています。

これは覚醒に12年がかかるというわけではなく、覚醒自体はすぐに起こる可能性もあるが、準備が整っていなければそれを維持し活用していくことができないということのようです。

愛する人との死別に耐えられないような弱い心を持っているようでは、クンダリニーの絶大な力を維持することはできないといいます。そのため12年は、覚醒そのものではなく覚醒を維持するための準備に費やすべきであると説明されています。

12年という時、長いと思うかもしれません。しかし、それこそ前節で述べられていたように2万年ほどもかけて何度も転生を繰り返さなければ達成できなかったことが、12年で済むとしたらどうでしょうか。

次記事:「クンダリニー・タントラ/サティヤナンダ(著)」を読む【16】第1章 6節-2:どのように修行を進めるか

前記事:「クンダリニー・タントラ/サティヤナンダ(著)」を読む【14】第1章 5節:クンダリニー覚醒に至る10の道

参考文献

「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「密教ヨーガ―タントラヨーガの本質と秘法」本山 博 (著)

「クンダリニー」ゴーピ・クリシュナ (著), 中島巌 (翻訳)

「Asana Pranayama Mudra Bandha 英語版」Swami Satyananda Saraswati (著)

男性ヨガインストラクター 高橋陽介の写真

by 高橋陽介

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