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「クンダリニー・タントラ」を読む【14】第1章 5節:クンダリニー覚醒に至る10の道

「クンダリニー・タントラ」を読む【14】第1章 5節:クンダリニー覚醒に至る10の道

様々な道の中から、自分の文化・環境に合った道を選ぶ

「KUNDALINI TANTRA(クンダリニー・タントラ)/Swami Satyananda Saraswati(スワミ・サティヤナンダ・サラスワティ)著」を読み進めていく形で、クンダリーニヨガの概要を紹介していきます。

「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)

用語:クンダリニー(クンダリーニ)
用語:チャクラ
用語:ナディ(ナーディー)

これらは今は誰もが見えるもの・感じ取れるものではないので、扱うのが難しい分野ではありますが、心身の改善のためにも、ヨガのポーズや瞑想を洗練させるためにも、そしてさらなる進化のためにも、これらの「見えないもの」も注意深く研究して、気づきを磨いていくと良いかと思います。

参考:クンダリニーヨーガ(クンダリーニヨガ)の研究まとめ

今回は、第1章の5節、クンダリニー覚醒に至る10種類の方法の概要を示した部分です。

以下、引用部分の太字強調は私が個人的に重要と思ったところを示したものです。

この記事の目次

クンダリニー覚醒に至る10の道

サティヤナンダ氏はクンダリニー覚醒に至る道として、以下の10種類の方法があり、それぞれ単独あるいは組み合わせて実践されることもあると説明しています。

  1. Awakening by birth(生まれながらの覚醒)
  2. Mantra(マントラ・真言)
  3. Tapasya(タパーシャ)
  4. Awakening through herbs(薬草)
  5. Raja yoga(ラージャヨーガ)
  6. Pranayama(プラーナーヤーマ)
  7. Kriya yoga(クリヤーヨーガ)
  8. Tantric initiation(イニシエーション)
  9. Shaktipat(シャクティパット)
  10. Self-surrender(自己放擲)

それぞれの方法の概要について述べられ、その中でもクリヤーヨーガは現代社会に適しており最もシンプルで実践的な行法であるとし、この本ではクリヤーヨーガの行法を中心に具体的な実践の道が示されることになります。

この項では各方法についてそこそこ詳しく解説されていますが、結局はクリヤーヨーガをオススメすることになるので、それぞれについては簡単に読み進めていきます。

1. 生まれながらの覚醒

生まれながらにクンダリニーが部分的あるいは完全に覚醒した子供が存在し得て、そういった人物は天才あるいは神の化身のように振る舞うという話は先にも述べられましたが、ここでは、そういった子供がどのようにして生まれるのかという話が説明されています。

Through the practices of yoga you can transform the quality of your genes. If genes can produce artists, scientists, inventors and intellectual geniuses, then why not awakened kundalinis? You have to transform the quality of your sperm or ova by firstly transforming your whole consciousness. Neither drugs nor diet will transform your genes, but if you change your consciousness, you can then effect the elements of the body and ultimately change the quality of the sperm and ova. Then you will have children with awakened kundalinis. They will become the yogis and spiritual masters of the house who set things right for you.

さらりと衝撃的なことが書かれていますが、ヨーガの実践によって人の遺伝子、精子や卵子の性質が変わり、子供が生まれたときのクンダリニー覚醒につながると説明されています。遺伝子は食生活や薬物などによっては変わらないが、意識の変化によって変えることができるといいます。子供をつくる予定のある人々は、その子供がより覚醒に近い状態になるようにトライするべきであるとも述べられています。

学校でよく習う遺伝の法則としては、「獲得形質は遺伝しない」というものです。しかし、意識の変容は遺伝子をも変える可能性があり、それは生まれてくる子供に影響を与えるといいます。

2. マントラ・真言

The second method of awakening kundalini is through steady regular practice of mantra. This is a very powerful, smooth and risk-free method, but of course it is a sadhana which requires time and a lot of patience. First you need to get a suitable mantra from a guru who knows yoga and tantra, and who can guide you through your sadhana. When you practise the mantra incessantly, it develops in you the vision of a higher force and enables you to live amidst the sensualities of life with indifference to them.

マントラ(真言)を唱える行法は、強力でリスクも少ない方法として用いられています。しかしそれはとても長い期間を要し、忍耐を要すると説明されています。

師匠から自分に合ったマントラを授かるところから始め、それをひたすら唱え続けます。その音が生み出す振動が脳に浸透し、粗大な体から微細な体まで浄化していくといいます。

メロディをつけて歌う形で唱える、キールタンという形式をとることもできます。

マントラヨーガと関連する方法として、チャクラごとに対応したビージャマントラを唱えるナーダヨーガというやり方もあります。

用語:ビージャ(ビジャ) bīja

3. タパーシャ

タパーシャ(タパス)は、アシュタンガヨーガ(8支則)のニヤマにも入っている概念です。「苦行」などと訳されることが多いですが、そもそもの意味は「熱を加えて、不純物を除く」といったようなニュアンスです。

用語:タパス(タパ) tapas

Tapasya is an act of purification. It should not be misunderstood to involve standing naked in cold water or snow, or observing foolish and meaningless austerities.

When you want to eliminate a bad habit, the more you want to get rid of it, the more powerful it becomes. When you abandon it in the waking state, it appears in dreams, and when you stop those dreams, it expresses itself in your behavior or manifests in disease. This particular habit must be destroyed at its psychic root, not only at the conscious level. The samskara and vasana must be eliminated by some form of tapasya.

タパーシャは、よく誤解されるように寒風の中を裸で立ち続けるような「苦行」ではなく、「浄化」の過程であると説明されています。

悪い癖や習慣を断ち切っていく道ですが、それは物質的な次元だけでなく意識レベルから変えていく必要があります。それらを生じさせる原因、潜在意識にもアプローチしていきます。

用語:サンスカーラ(サムスカーラ)
用語:ヴァーサナー

Tapasya is a very, very powerful method of awakening which everybody cannot handle.

これは非常に強力な方法ですが、なかなか万人に向けてオススメできる道ではないようです。

4. 薬草による覚醒

The fourth method of awakening is through the use of specific herbs. In Sanskrit this is called aushadhi, and it should not be interpreted as meaning drugs like marijuana, LSD, etc. Aushadhi is the most powerful and rapid method of awakening but it is not for all and very few people know about it. There are herbs which can transform the nature of the body and its elements and bring about either partial or full awakening, but they should never be used without a guru or qualified guide. This is because certain herbs selectively awaken ida or pingala and others can suppress both these nadis and quickly lead one to the mental asylum. For this reason, aushadhi is a very risky and unreliable method.

ハーブといってもドラッグなどとは異なるもので、それは確かに速やかにクンダリニーを一時的あるいは恒久的に覚醒させることができるけれども、適切な師匠の指示がないかぎり用いるべきではなく、とてもリスクが高いやり方であると説明されています。

とてもあやしいやり方ではありますが、その方法は確かに伝承されており、存在しているといわれます。

たとえばカルロス・カスタネダ氏と師匠のドンファンのやり取りの中にも、そのようなものが使用されている様子が描かれています。

「呪術の体験―分離したリアリティー (1974年)」カルロス・カスタネダ (著)

5. ラージャヨーガ

The fifth method of inducing awakening is through raja yoga and the development of an equipoised mind. This is the total merging of individual consciousness with superconsciousness. It occurs by a sequental process of concentration, meditation and communion; experience of union with the absolute or supreme.

ヨーガスートラが示すラージャヨーガも、クンダリニー覚醒のひとつの道であるといわれます。

ラージャヨーガでは、集中・瞑想・三昧の実践を通して、真我と一体化し、心の波立ちの無い状態を目指します。

All the practices of raja yoga, preceded by hatha yoga, bring about very durable experiences, but they can lead to a state of complete depression, in which you do not feel like doing anything. The raja yoga method is very difficult for most people as it requires time, patience, discipline and perseverance. Concentration of mind is one of the most difficult things for modern man to achieve.

しかしラージャヨーガの道は、その効果は長く続くものではあるけれども、その過程において抑うつ的な心の状態に陥ることもあり、また心を安定させ集中することを忍耐強く長期間行う必要があるため、現代人にとって非常に難しいものであると説明されています。

6. プラーナーヤーマ

The sixth method of awakening kundalini is through pranayama. When a sufficiently prepared aspirant practises pranayama in a calm, cool and quiet environment, preferably at a high altitude, with a diet only sufficient to maintain life, the awakening of kundalini takes place like an explosition. In fact, the awakening is so rapid that kundalini ascends to sahasrara immediately.

プラーナーヤーマは非常に強力な行法ですが、適切な環境で行う必要があったり、バンダの使い方に習熟しておく必要があったり、肉体を浄化しておく必要があったり、心や感情の状態を整えておく必要があったりといった、多くの準備を要するといわれます。

またその実践は正確に行われなければならず、危険性も多く含んでいるため、しっかりと指導を受ける必要もあります。そういったことを踏まえて、これも万人にすすめられる行法ではないと説明されています。

7. クリヤーヨーガ

The seventh method of inducing awakening is kriya yoga. It is the most simple and practical way for modern day man as it does not require confrontation with the mind.

ここまでクンダリニー覚醒に至るいくつかの道を挙げてきましたが、サティヤナンダ氏はこのクリヤーヨーガが最も現代人に適したものであろうと説明しています。

純粋で清らかな人々にはラージャヨーガが適しているかもしれませんが、騒がしく複雑で心の安定が難しい人々にとっては、クリヤーヨーガが最も効果的であるといいます。

When you practise kriya yoga, kundalini doesn’t wake up with force, nor does it awaken like a satellite or as a vision or experience. It wakes up like a noble queen. Before getting up she will open her eyes, then close them again for a while. Then she’ll open her eyes again, look here and there, turn to the right and left, then pull the sheet up over her head and doze. After some time she will again stretch her body and open her eyes, then doze for a while. Each time she stretches and looks around she says, ‘Hmmm’. This is what happens in kriya yoga awakening.

マントラヨーガはとても長い期間を要し、適切な薬草では速やかに覚醒するがとてもリスキーであり、プラーナーヤーマは強力であるが準備が必要であるなど、その覚醒の仕方には様々な激しさ・速さなどが述べられています。ここではクリヤーヨーガによる覚醒の仕方が説明されていますが、「高貴な女王が、二度寝三度寝しながらまどろみの中でゆっくり目覚める」といったようなニュアンスが示されています。

クリヤーヨーガによるクンダリニー覚醒は、爆発的に一気に目覚めるのではなく、行ったり来たりを繰り返しながら、時には壮大な気持ちになるけれども時には全てが無意味なようにも思えたり、波を繰り返しながら目覚めていくというように描かれています。

8. イニシエーション

This eighth method of awakening kundalini through tantric initiation is a very secret topic. Only those people who have transcended passions, and who understand the two principles of nature, Shiva and Shakti, are entitled to this initiation. It is not meant for those who have urges lurking within them or for those who have a need for physical contact. With the guidance of a guru, this is the quickest possible way to awaken kundalini.

密教的な教えの中には「イニシエーション」というものがよく見受けられます。「加入」「仲間入り」といった意味の言葉ですが、宗教などにおいては「秘儀参入」といった訳され方をします。

本当にその資格がある人ならば、師匠の指示の元に覚醒は速やかに起こると言われますが、なんとも怪しく判断の難しい分野の話です。

However, who is qualified for this path? Few people in this world have completely transcended the sexual urge and overcome their passions.

一体誰が、その道を行けるのか?一体誰がその道を導けるのか?うかつに誰もが手を出せる道ではないのは明らかです。

神智学の人々やダスカロスなどもイニシエーションについては真剣に扱っています。具体的には、なにかの誓いを立てるなどの儀礼を経て、チャクラの目覚めなどを伴う心の変化が起こります。

「イニシエーション」アリス・ベイリー (著)

ダスカロスの教えでは7つの誓いをすることになっていますが、それは以下の本などでも解説されています。

「クジラと泳ぐ ダスカロスと真理の探究者、その教えと実践」ダニエル・ジョセフ (著)

9. シャクティパット

The ninth method of awakening is performed by the guru. It is called shaktipat. The awakening is instant, but it is only a glimpse, not a permanent event. When the guru creates this awakening you experience samadhi.

シャクティパットという言葉は、オウム関連で知った人も多いかと思います。

師匠の助けによって、一時的に覚醒を垣間見せるもので、その効果は長続きしないようです。垣間見せることによって、そういう世界があるのだということを認識させるということでしょう。

This shaktipat is conducted in the physical presence or from a distance. It can be transmitted by touch, by a handkerchief, a mala, a flower, a fruit or anything edible, depending on the system the guru has mastered. It can even be transmitted by letter, telegram or telephone.

It is very difficult to say who is qualified for this awakening.

オウムでは眉間を刺激することで行っていたようなイメージがありますが、シャクティパットはいろいろな方法で行うことができるようです。遠隔地にアプローチすることもできたり、ハンカチや花などの物によって行うこともあるようです。

しかし、誰が本当にそれをできるのか?具体的な方法は秘密にされていることが多く、これも判断が難しいところです。

先日伝記を書籍紹介したラーマクリシュナも、弟子に対してサマーディを垣間見せることを行っていたようです。

参考:インドの光 聖ラーマクリシュナの生涯/田中嫺玉(著)|書籍紹介

OSHO(バグワン・ラジニーシ)も、具体的な方法についてはあまり説明していませんが、シャクティパットの意義について解説しています。

「奇跡の探求 2: 講和録」OSHO (著)

10. 自己放擲

We have discussed the nine established methods of awakening kundalini, but there is a tenth way – don’t aspire for awakening. Let it happen if it happens: “I am not responsible for the awakening, nature is accomplishing everything. I accept what comes to me.” This is known as the path of self-surrender, and in this path, if you have a strong enough belief that your kundalini will indeed awaken, twenty thousand years can pass in the twinkling of an eye and kundalini will awaken instantly.

クンダリニー覚醒を熱望することなく、それがいつか起こることだけを信じて、起きるに任せるという姿勢で待つというやり方もあります。

完全に全てを委ねるという姿勢でいれば、たとえ2万年の転生を繰り返しても苦ではないということです。このような喩え話はインテグラル・ヨーガにも書かれています。

参考:インテグラル・ヨーガ (パタンジャリのヨーガ・スートラ)/スワミ・サッチダーナンダ(著)|書籍紹介

「どのくらい修行をすれば、覚醒に至りますか?」という問いに対し、「この樹についている葉を数え終わったときにできるだろう」と師匠が答え、それに対して「そんな途方もない作業はできない!」という弟子にはいつまでも覚醒は訪れず、「いつかは終わるとわかっているなら、よろこんでやりましょう!」という弟子には速やかに覚醒が訪れる、といった話です。

しかし、そこまで雑念を捨てて割り切れる人がどれだけいるでしょうか。

それぞれの覚醒による変化の特徴

When the awakening of kundalini takes place, scientific observations have revealed different effects.

ここまで、覚醒への道の種類と、その覚醒の激しさや速度の違いについても解説されてきました。その違いは、科学的にも測定することができるといいます。

Karma yoga and bhakti yoga are considered comparatively safe and mild methods of awakening, but the tantric methods are more scientific than the non-tantric methods, because in tantra there is no scope for suppression or dispersion of energy. In non-tantric methods there is antagonism – one mind wants it and the same mind is saying no. You suppress your thoughts, you want to enjoy, but at the same time you think “No, it is bad.”

カルマヨーガやバクティヨーガといった非密教的な道では、心の葛藤があり、正しいと思っていることでもなかなか表現・実践には至らないことがあります。それに対して密教的な道はより科学的であり、エネルギーを抑圧・分散してしまうことなく行を進めていくことができると説明されています。

参考:ヨガの大分類(ジュニャーナ・バクティ・カルマ・ラージャ)〜体を動かすヨガ・それ以外のヨガ〜

I am not criticizing non-tantric methods. They are the mild methods which do not bring you any trouble. They are just like beer – you drink a little bit and nothing happens, drink four to ten glasses and not much will happen. But tantric methods are like LSD, you have a little and it takes you right out. If something is wrong, it is wrong; if something is right, it is right.

非密教的な道では、その変化はビールのような弱い酒を飲むときのように穏やかに訪れ、1杯飲んでもあまり変化はなく、数杯飲んだところで酔っ払い始めますが、それでも大きな変化は起こらない、というように説明されています。しかし密教的な道は薬物のように少量でも大きな変化をもたらし、良い道であれば良い結果を速やかにもたらし、悪い道であれば悪い結果がただちに現れるといわれます。

どちらを否定するというわけではなく、それぞれに特徴があるということです。

とはいえこの本は「タントラ」を扱う本なので、密教的な行法、つまり本来は師匠に個人的に教わるべき行法が中心に紹介されていくことになります。

次記事:「クンダリニー・タントラ/サティヤナンダ(著)」を読む【15】第1章 6節-1:クンダリニーヨーガの準備

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参考文献

「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「密教ヨーガ―タントラヨーガの本質と秘法」本山 博 (著)

「クンダリニー」ゴーピ・クリシュナ (著), 中島巌 (翻訳)

「Asana Pranayama Mudra Bandha 英語版」Swami Satyananda Saraswati (著)

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高橋陽介

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