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「クンダリニー・タントラ」を読む【5】第1章 1節:クンダリニーを飼いならすべし

「クンダリニー・タントラ」を読む【5】第1章 1節:クンダリニーを飼いならすべし

「飼いならす」という表現に秘められたヒント

「KUNDALINI TANTRA(クンダリニー・タントラ)/Swami Satyananda Saraswati(スワミ・サティヤナンダ・サラスワティ)著」を読み進めていく形で、クンダリーニヨガの概要を紹介していきます。

「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)

用語:クンダリニー(クンダリーニ)
用語:チャクラ
用語:ナディ(ナーディー)

これらは今は誰もが見えるもの・感じ取れるものではないので、扱うのが難しい分野ではありますが、心身の改善のためにも、ヨガのポーズや瞑想を洗練させるためにも、そしてさらなる進化のためにも、これらの「見えないもの」も注意深く研究して、気づきを磨いていくと良いかと思います。

参考:クンダリニーヨーガ(クンダリーニヨガ)の研究まとめ

今回は、第1章の1節です。

以下、引用部分の太字強調は私が個人的に重要と思ったところを示したものです。

この記事の目次

不意に訪れる覚醒

第1章1節のタイトルは、「Ye Man, Tame the Kundalini」となっています。

Yeは古い英語で「汝ら」といった意味のようです。

ここで、「Tame」という言葉を用いている意味を考えてみると、サティヤナンダ氏がクンダリニーをどのように捉えているかを考える上で役立つかと思います。

Tame(テイム)は、「飼いならす」「制御する」「従わせる」といった意味の動詞です。ちなみに彼は「Taming the Kundalini」という本も書いています。こちらは弟子への個人的なアドバイスが時系列で書かれているものです。密教とはそのようにマンツーマンで伝えられるべきものであり、それを文章として読んでそのまま真似しても意味がないことも多いですが、そこには多くのヒントも含まれています。

クンダリニーは「蛇の力」「シャクティ」などと呼ばれることもあり、その力は「人の意志とは無関係に動き出す」可能性を持っています。そのため心身を傷つける可能性もあり、注意深く準備した上で「飼いならす」必要があるのです。

本節では、サティヤナンダ氏が少年時代に「不意にクンダリニーが覚醒したと思われる経験」が、いくつか書かれています。

When I was six years old I had a spontaneous spiritual experience during which I became completely unaware of my body for quite a long time.

I was sitting quietly when suddenly, without any effort, my mind turned inwards. I immediately saw the whole earth with its oceans, continents, mountains and cities, crack into pieces.

Sometime later I had another experience while sitting on the banks of the Ganga. I was thinking of some mundane things when my mind spontaneously started going in and in. Suddenly I felt as if the earth was slipping from under me and the sky was expanding and receding. A moment later I experienced a terrible force springing from the base of my body like an atomic explosion.

これらの経験に共通するのは、「突然」「思いがけずに」起こっているということや、「肉体」を離れて「内的経験」をしているといったことのようです。また、それらは通常の体や心ができる経験とは異なり、とてもパワフルで、予知のような超常的なイメージを伴ったりするようです。

クンダリニー覚醒時の感覚

クンダリニー覚醒時には、「思いがけず」いろいろな感覚が心と体に巻き起こります。

その経験は人それぞれ、覚醒時の心身の状態などによって異なるようですが、サティヤナンダ氏もその一端を説明しています。

こういった情報は、クンダリニーについて全く知らない状態で見ると、ただの幻覚や幻視のようにも見えるかもしれません。しかし、その一端をつかみかけたときに改めて見ると、とても重要なヒントを含んでいることがわかってきます。

I felt that I was vibrating very fast, the light currents were terrific. I experienced the supreme bliss, like the climax of a man’s desire, and it continued for a long time. My whole body was contracting until the feeling of pleasure became quite unbearable and I lost complete awareness of my body.

いろいろな人々の覚醒経験をみていくと、「振動を伴う」「光をみる」「電気的な刺激を感じる」「幸福感に包まれる」といったものが多いようです。

After returning to consciousness I was listless for many days. I could not eat, sleep or move, even to go to the toilet. I saw everything but nothing registered. The bliss was a living thing within me and I knew that if I moved, this wonderful feeling would cease; I would lose the intensity of it all. How could I move when bells were ringing inside?

覚醒状態は、体を動かすとすぐ終わってしまうので、覚醒した状態で活動するにはどうしたら良いのだろうか?といったことが書かれています。

肉体から意識を離している状態でしばらく待つとそれが起こり、意識を「肉体」に移してしまうと途端に終わってしまうという例はよく見受けられます。

サティヤナンダ氏は、これらの経験を経た後、シヴァナンダ氏に師事して、タントラやヨーガに一層興味を持ち研究を深めていったようです。

クンダリニー覚醒によって人はどうなるか

When kundalini awakens, not only are you blessed with visions and psychic experiences, you could become a prophet, saint, inspired artist or musician, a brilliant writer or poet, a clairvoyant or messiah. Or you could become an outstanding leader, prime minister, governor or president.

クンダリニー覚醒によって、エネルギーや表現が湧き出てくるようになった人は、自然と音楽家や芸術家になっていくでしょう。予知能力や透視能力が目覚める人もいるかもしれないし、そこまでいかなくとも気づきが磨かれることによって物事を正しく見定めることができるようなれば、優れたリーダーや政治家にもなれるでしょう。

Kundalini is not a myth or an illusion. It is not a hypothesis or a hypnotic suggestion. Kundalini is a biological substance that exists within the framework of the body. Its awakening generates electrical impulses throughout the whole body and these impulses can be detected by modern scientific instruments and machines

クンダリニーは神話や幻でもなく、催眠のようなものでもなく、肉体の機構の中に存在するものであると述べられています。

覚醒時には電気的なインパルスが体全体に生じ、それは科学的に測定可能であるとしています。

「電気的な刺激を感じる」ということは、クンダリニー覚醒における重要なポイントかと思います。私の場合は、状態にもよりますが、静電気的なサワサワモゾモゾした感覚が、体全体を包んだり、尾骨仙骨あたりに生じたりすることが多いです。特に固まっている場所(スマホを触るときによく使う左手の親指など)には、熱いような感覚が起こることもあります。

こういった感覚は、不意に起こることもありますが、プラーナーヤーマやムドラーを用いることで、起こるきっかけ自体は意図的にすることができるようになっていけるかと思います。ただ、起こったあとの挙動は予想できないこともあるので、最初はとても恐怖を感じることもあるでしょう。そのときいかに「飼いならす」ことができるか、そのための方法を学んでいきます。

クンダリニーというものがよくわからなかったとしても、自分の中にいくつかの別の意志が働いているというのは、気づきを向ければすぐにわかるかと思います。やせたいのに食べてしまう、寝たいのに眠れない、働きたいけど休みたい、いろいろな相反する意志の中で、強い意志が実現します。

クンダリニーが動き出すとき、そういったいつも抱いている意志とは比べ物にならないほど強い「別の」意志を感じるかもしれません。

次記事:「クンダリニー・タントラ/サティヤナンダ(著)」を読む【6】第1章 2節前半:クンダリニーとは何か

前記事:「クンダリニー・タントラ/サティヤナンダ(著)」を読む【4】序章:ゆっくり、気づきを働かせながら、規則正しく進めるべし

参考文献

「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「密教ヨーガ―タントラヨーガの本質と秘法」本山 博 (著)

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高橋陽介

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