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「クンダリニー・タントラ」を読む【20】第1章 9節:覚醒か、狂気か

「クンダリニー・タントラ」を読む【20】第1章 9節:覚醒か、狂気か

覚醒している人はフツウではないが、明らかに狂人とは異なる一面がある

「KUNDALINI TANTRA(クンダリニー・タントラ)/Swami Satyananda Saraswati(スワミ・サティヤナンダ・サラスワティ)著」を読み進めていく形で、クンダリーニヨガの概要を紹介していきます。

「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)

用語:クンダリニー(クンダリーニ)
用語:チャクラ
用語:ナディ(ナーディー)

これらは今は誰もが見えるもの・感じ取れるものではないので、扱うのが難しい分野ではありますが、心身の改善のためにも、ヨガのポーズや瞑想を洗練させるためにも、そしてさらなる進化のためにも、これらの「見えないもの」も注意深く研究して、気づきを磨いていくと良いかと思います。

参考:クンダリニーヨーガ(クンダリーニヨガ)の研究まとめ

今回は、第1章の9節、クンダリニー覚醒者がどのように常人とは異なる振る舞いをするか、そしてそれが「狂気」なのか「覚醒」なのか?といったことに関する部分です。

以下、引用部分の太字強調は私が個人的に重要と思ったところを示したものです。

この記事の目次

覚醒か、狂気か?

Many individuals who experience the awakening of kundalini behave in a peculiar way; they think in a different style or pattern. They may see auras and visions, feel peculiar in the body, hear strange sounds and talk all sorts of nonsense. In society our brains are structured in a certain way; there is discipline and control which inhibit us from expressing ourselves freely. When the awakening of kundalini takes place, this conditioning is withdrawn and the lid is completely lifted from the mind.

クンダリニーが覚醒した人は、一見したところ奇妙な振る舞いをすることがあります。人それぞれ異なりますが、オーラやビジョンが視えたとか、常人には聞こえない音を聞いたといった、一般的にはアヤシイことを言ったりすることもあるようです。

通常の社会生活を送っている人には、自分自身を自由に表現してしまわないように、抑制したりコントロールしたりするような機構が働いていますが、クンダリニー覚醒が起こるとその枷が外れて、様々な奇妙に見える行動や言動をするようになることがあると説明されています。

A mad person doesn’t have a constant and consistent flow of experience and his awareness is very dissipated. He is both disorganized externally and completely blinded internally. On the other hand, the awareness of a person who is awakened is constant and consistent. Whereas a person with an awakened consciousness can make accurate decisions and judgements, a crazy person cannot.

狂人とクンダリニー覚醒者の区別の仕方として、狂人は一貫した意識の流れを持たず、気づきは非常に散漫であり、無秩序で、内的経験(クンダリニー覚醒によって起こる、意識の変容や進化につながるもの)に対しては完全に盲目であるといいます。

クンダリニー覚醒者の気づきは一貫して安定していて、正しい判断をすることができますが、狂人にはそれができません。

歴史上のクンダリニー覚醒者が受けた扱い

Mystics throughout the ages have been persecuted for their experiences, which to the normal mundane consciousness are insanity, yet to the sage are ecstasy. Socrates was poisoned because he did not behave normally. Christ was crucified on the cross because his teachings were not understood. Al-Hallaj, the Sufi saint, was skinned alive because he spoke the truth without fear of the society, Joan of Arc and the witches of Salem were burned at the stake, as were many others. All have been persecuted and harassed by the mundane populace for their vision, which arose as a result of inner work. Due to this lack of understanding, many of the esoteric doctrines were hidden from the majority of people.

神秘主義者たちは、一般人にとっては狂気であるが彼らにとってはエクスタシーであると感じる特異な経験を語ったことによって、迫害を受けてきたといいます。ソクラテスは毒殺刑になり、キリストは十字架に磔にされ、スーフィの聖者アル・ハッラージュは生きたまま皮を剥がれ、ジャンヌダルクは火炙りにされました。

彼らの得たビジョンは、クンダリニー覚醒によって起こる内的な働きによって湧き出たものであるといいます。このあたりも確かめようのない話ですが、彼らにはたしかに一般人とは違ったものが視えていたのでしょう。

そういった誤解と迫害の歴史によって、秘教的な教えは一般大衆に明らかにされることはありませんでした。

西洋とインドの違い

Knowledge of the spiritual experience has been lost in the west. During the last few centuries, many unfortunate people whose kundalini had awakened were sent to mental hospitals and given drugs, electric shocks and other inappropriate treatments.

西洋ではここ数世紀、クンダリニー覚醒者は精神病院に送られて薬と電気ショックなど不適切な治療を受ける羽目になり、スピリチュアルな経験による智は失われたままでした。

That is why, in the last two hundred years, there have been so few great personalities in the west; they have all been committed to mental hospitals or they have remained quiet to avoid that fate.

そのため、ここ200年ほどの間、西洋では偉大な人格がほとんど現れなかったといいます。彼らは皆、精神病院に送られるか、沈黙を保っているしかなかったようです。

In India the situation is quite different. There, when an individual expresses some abnormal symptoms, makes some very peculiar gestures or speaks of extraordinary dreams, it is understood that he is experiencing events beyond the mind. The Hindu belief is that the consciousness is not the finished product of nature, but is subject to evolution, and between one state of being and the next, there is a crisis. And when strange symptoms occur in someone, they believe he is experiencing that crisis and that his consciousness is undergoing evolution. If a child’s total personality is devoted to God and he can experience things beyond the mind, then his whole family is purified and such a child is universally respected.

しかしインドでは、クンダリニー覚醒に対する理解があり、そういったことが起こり得ることが知られていたため、奇妙な行動や言動をするような人が現れても、それは起こりうる事態であり、進化の過程なのだということが認識されていたといいます。

たとえば神に全てを捧げたり心の限界を超える経験を語ったりするような子供が現れた場合、西洋では病院に連れて行かれてしまいますが、インドでは神の化身のように人々から敬われます。

先に書籍紹介したラーマクリシュナもまさにそのような子供であったようで、自分にとっての神(カーリー)に全てを捧げ、まるで狂人のように振る舞うこともあれば、人々の悩みに対してしっかりと道を示す正しい判断を見せ、周りの人々から神のように敬われていたようです。

私はこの本を読むと「インドの空気に浸れる」ような感覚があったのですが、それはこのようなインド独特の価値観が漂う世界が描かれているからかもしれません。

参考:インドの光 聖ラーマクリシュナの生涯/田中嫺玉(著)|書籍紹介

狂人扱いされないために

When some suprasensual experience is taking place, it is important to consult an experienced person who has knowledge of illumination and also knows about madness. A guru can make the correct judgement and determine whether the brain has begun a process of regression or is actually progressing along transcendental lines. If there is some organic damage in the brain, it can be treated, but if the symptoms are spiritual, the person is initiated and given something to practise so his behavior is streamlined. He will not be forced into married life or any other social roles which are unsuitable for him. Instead, he will be exposed to saintly personalities and teachings.

クンダリニーヨーガを行っているかいないかに関わらず、何か超自然的な経験をした場合、幻覚や狂気に関する知識を持った適切な人物に相談するのが良いであろうと書かれています。

その点においても、適切な師匠がいたほうが良いということでしょう。しかし、なかなか日本でそういう身近な人物を探すのは難しそうだなという感覚は正直あります。日本は特に、奇妙なことをする人への風当たりは強いので、そういった師匠や修行者が現れる環境がそもそも限られてしまっている気がします。

良き師匠を見つけている人は、よほど幸運かもしれません。

If this type of guidance and support for the experience is not obtained, it is very easy to end up in a mental hospital, or even a prison. However, scientists are now broadening their description of the spectrum of human behavior and they are discovering that behavior can be psychic or spiritual in origin as well as psychological or physical. Everybody should understand one very important point. Awakening of kundalini should never be equated with abnormal psychological behavior because awakening of kundalini is a process of jumping out of the mind.

適切な指導や支援が受けられないと、狂人扱いされ、精神病院か監獄へ行くことになるかもしれません。しかし科学も少しずつ、超自然的・スピリチュアルな世界への見識を広げつつあり、そういったことへの理解も広まっていくことでしょう。

しかしクンダリニー覚醒は、精神異常による振る舞いとは明らかに異なり、それはいままでの心の働きを超越する過程であるといいます。

ここまで数節にわたってクンダリニーに関するリスクなどが語られ、文明社会で仕事をしながらもクンダリニーヨーガを実践できるように、慎重に注意点などが述べられてきました。

特に日本では、覚醒が起こったとしてもよほど慎重に振る舞わなければ、変人扱いされてしまうかもしれません。

しかし歴史上の偉人たちも、変人のようであり、常人には理解できない世界を観ていたのかもしれません。いままでの自分に執着せず、心と体をダイナミックに変容させる冒険に出るには、様々なリスクも理解しておく必要があるのでしょう。また、適切な師匠がいれば、なお良いということでしょう。

無惨な最期を遂げた偉人たちも、良き師匠がいれば、結果は違っていたのでしょうかね。何が「良い結果」なのかは、誰も判断できませんが。

次記事:「クンダリニー・タントラ/サティヤナンダ(著)」を読む【21】第1章 10節:覚醒の4ステップ

前記事:「クンダリニー・タントラ/サティヤナンダ(著)」を読む【19】第1章 8節-2:高次元の意識の現れ方

参考文献

「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「密教ヨーガ―タントラヨーガの本質と秘法」本山 博 (著)

「クンダリニー」ゴーピ・クリシュナ (著), 中島巌 (翻訳)

「Asana Pranayama Mudra Bandha 英語版」Swami Satyananda Saraswati (著)

男性ヨガインストラクター 高橋陽介の写真

by 高橋陽介

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