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「クンダリニー・タントラ」を読む【21】第1章 10節:覚醒の4ステップ

「クンダリニー・タントラ」を読む【21】第1章 10節:覚醒の4ステップ

覚醒、覚醒…というけれど、何がどうなっていくのか

「KUNDALINI TANTRA(クンダリニー・タントラ)/Swami Satyananda Saraswati(スワミ・サティヤナンダ・サラスワティ)著」を読み進めていく形で、クンダリーニヨガの概要を紹介していきます。

「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)

用語:クンダリニー(クンダリーニ)
用語:チャクラ
用語:ナディ(ナーディー)

これらは今は誰もが見えるもの・感じ取れるものではないので、扱うのが難しい分野ではありますが、心身の改善のためにも、ヨガのポーズや瞑想を洗練させるためにも、そしてさらなる進化のためにも、これらの「見えないもの」も注意深く研究して、気づきを磨いていくと良いかと思います。

参考:クンダリニーヨーガ(クンダリーニヨガ)の研究まとめ

今回は、第1章の10節、クンダリニーに関係する4つの「覚醒」に関する部分です。

以下、引用部分の太字強調は私が個人的に重要と思ったところを示したものです。

この記事の目次

混同されがちな、各種の「覚醒」

ここまでいろいろな目に見えないモノを「覚醒」させるという話がでてきましたが、私達は日常的に「覚醒」という言葉を使うことが少ないので、チャクラとかナディとかよくわからないものを、よくわからない方法で、よくわからない状態にもっていく、という雲をつかむような話に思える人もいるかと思います。

この節では、それらの「覚醒」に関する説明と、それらをどんな順番でやっていくのか、といった話の説明に入ります。

行法にも直接関係し、また諸説がある部分かと思いますので、数ある中の一つの理論として、サティヤナンダ氏の考えるクンダリニーヨーガの基礎と捉えておくと良いかと思います。

When we talk about awakening we should not confuse awakening of kundalini with other forms of awakening. Awakening of the chakras is completely different from awakening of kundalini. Awakening of sushumna is also quite a different event, and awakening of mooladhara chakra is not awakening of kundalini. Even if all the chakras from mooladhara up to ajna are awakened this does not mean that kundalini is awakened.

In the systematic process of awakening kundalini, the first step is to purify ida and pingala nadis and create harmony in their functioning. Next, all the chakras have to be awakened. Then sushumna nadi is awakened, and when there is a clear pathway for its ascent, kundalini can be awakened.

混同されがちな、チャクラやナディの覚醒は、クンダリニー覚醒とは全く異なるものであると述べられています。

チャクラやナディに対するアプローチは、クンダリニーの通り道をつくるための前段階であり、以下のようなステップで進めていくと説明されています。

  1. イダーとピンガラーを浄化し機能のバランスを整える
  2. 各チャクラを覚醒させる
  3. スシュムナーを覚醒させ、クンダリニーの通り道をつくる

これらの3ステップを経た上で、4.クンダリニー覚醒に至るというのが、リスクのない安全な進め方であるとしています。

これはサティヤナンダ氏のクンダリニーヨーガを進めていく上で基礎となる理論なので、理解しておくと良いでしょう。

情報過多の現代においては、理論はまどろっこしいので行法だけをつまみ食いしてみたけど、期待してたほど効果がでなかった!というのはよくある話ですが、それでは良い結果には至らないということが分かるかと思います。

たとえばひとつのチャクラに関する行法だけつまみ食いして行ったとしても、それはただ通り道を準備する一つの過程を行っただけ、ということのようです。

ステップ1:イダーとピンガラーを整える

Ida and pingala nadis are responsible for the mundane existence. Pingala conducts the life that is in your body and ida conducts the consciousness. These two nadis respectively feed the two hemispheres of the brain which in turn control every activity of the body. It is not awakening of these nadis we aim towards, but discipline. As you know, ida and pingala function alternately and directly influence the temperature of the body, digestive and hormonal secretions, the brainwaves and all the bodily systems.

前にも述べられたように、イダーとピンガラーの2つのナディは、肉体の活動のバランスを司っているといわれます。自律神経の働きとも一致するところがあり、左右の脳の働きにも関係があるとされます。

これらのナディは「覚醒」させる必要はなく、すでに機能しているので、「調整」するアプローチをしていくことになります。

Ida and pingala function according to a natural cycle, but on account of poor eating habits and inharmonious lifestyles, the natural cycle is often disturbed. Sometimes one nadi predominates and the other is suppressed. This leads to mental and physical imbalances and generally results in disease. Therefore, ida and pingala must be disciplined or made to function according to the laws of nature. Only when there is harmony between these two nadis can sushumna be awakened.

So, through the practices of hatha yoga, pranayama and raja yoga, the nadis should be purified and disciplined. The best practice for this is actually nadi shodhana pranayama – nadi purifying pranayama.

イダーとピンガラーは、自然のリズムにも影響されますが、不適切な食生活などのライフスタイルの乱れによってバランスを崩すことも頻繁にあります。これらのアンバランスは、結果として心や体の病気を引き起こします。

そしてスシュムナーの覚醒は、イダーとピンガラーが調和している状態でなくては起こらないと説明されています。

イダーとピンガラーのバランスのために、ハタヨーガやプラーナーヤーマやラージャヨーガなどを実践するのが良いとされます。中でもナディショーダナプラーナーヤーマが最適であると紹介されています。

私のレッスンでは、ヨガベーシック・シヴァナンダヨガ・リフレッシュヨガ・陰ヨガのクラスなどで、よく行っていますね。

参考:アヌローマヴィローマプラーナーヤーマ(ナディショーダナ・片鼻呼吸法)の効果・やり方

ステップ2:チャクラを覚醒させる

From incarnation to incarnation the yoga we have been practising may have already awakened the lower chakras. Although most of us try to awaken mooladhara, swadhisthana, etc. it may not be necessary to awaken them because we may have evolved even beyond manipura on account of our efforts in a previous life. It is even possible that kundalini may have ascended through the chakras but you don’t know it because you haven’t noticed any symptoms. However, in any case, it is essential that all the chakras must be awakened before we make an attempt to awaken sushumna.

チャクラの覚醒は、生まれ変わりを繰り返す中でヨーガを実践してきた人にとっては、その結果が次の生に引き継がれるため、前の生までに覚醒したチャクラについては、そのチャクラに関する行法を行う必要はないであろうと述べられています。

また、クンダリニー覚醒に際して起こることを知らないために、クンダリニーがすでに覚醒しているけれども気づいていない、といったこともあり得るといいます。

いずれにしても、スシュムナーの覚醒の前に、全てのチャクラを覚醒させておく必要があると説明されています。

If the chakras are not purified, then purification of the nadis will not serve any purpose. If the electrical junctions are not connected or properly organized, even if you have the best wiring available, how will the electrical energy be distributed? The chakras are the junctions from which the nadis, like cables, transmit the energy to different parts of the body.

なぜチャクラを覚醒しておく必要があるのか。チャクラにはどんな役割があるのかという話が簡潔に述べられています。

ナディがエネルギーを運ぶ電線であるとしたら、チャクラはそのジャンクションにあたり、体の中の適切な部分にエネルギーを分配するためにチャクラが機能している必要があると説明されています。

Every point, speck or fiber of the body is directly related to one of the chakras. If you experience pain in any part of the body, the sensation will go to the chakra related to that particular area. This means your whole body is connected with one of the chakras. For example, the urinary, excretory and reproductive systems are fed by swadhisthana chakra. Besides this, the sexual organs are connected to mooladhara chakra. The digestive system, small intestine, large intestine, appendix, pancreas, duodenum, stomach and liver are all connected to manipura chakra. The heart and lungs are fed by anahata chakra.

体の全ての部分はいずれかのチャクラにつながっていて、たとえば性に関する器官はムーラーダーラチャクラに関係し、泌尿器系・排泄・生殖器系の器官はスワディシュターナチャクラにつながっているといいます。

However, in most people, the chakras beyond manipura are dormant. Because mooladhara chakra is the highest chakra in animal evolution, it is already functioning in most people. That is why everybody has a very acute sexual awareness and sex has become one of the most important events in man’s life. Therefore, most of our social traditions are based upon this particular human requirement. The mere fact that today’s society is utilizing the five tattwas of tantra (meat, fish, wine, grain and sexual interaction) in everyday life means that in most people, kundalini is somewhere between mooladhara and swadhisthana. Once kundalini leaves swadhisthana and ascends to manipura and anahata, you no longer need the five tattwas.

多くの人にとっては、マニプーラより上のチャクラは休眠状態にあり、そのためほとんどの人にとってムーラーダーラチャクラが司る範囲である性行動が、最も重要なことになっています。

より高いチャクラが覚醒することによって、密教の5大要素とされ多くの人が執着している「肉・魚・ワイン・穀物・性行為」は、いずれ必要のないものになっていくといいます。

そのために、眉間への集中やウディヤナバンダやマントラ、様々なアーサナなども、それぞれの行法に対応したチャクラを目覚めさせるために有用な手段となります。

Each chakra is symbolized by a certain animal, indicating a type of animal consciousness, and if sudden awakening of a chakra takes place, you may exhibit some of the animal emotions in either a mild or very strong way. For instance, fear is not a human emotion, nor is infatuation or violence. Of course, man is trying to expel the animal from him, but at the same time he is maintaining it. Therefore, care must be taken not to give an explosive manifestation to the awakening of the chakras.

チャクラの覚醒において、様々な動物的な意識が現れてくることがあるといいます。

たとえば恐怖・心酔・暴力などは人間的な感覚ではなく動物的なものであり、人はそれをなんとか取り除こうと努力はしますが、動物的な面も内側に持っているというのは確かなことでしょう。

そのため、チャクラの覚醒に際しては、そういった動物的な感情が爆発的に現れることのないように、気をつけながら進めるべきであると注意が記されています。

ステップ3:スシュムナーを覚醒させる

If the chakras are awakened, ida and pingala are balanced and the other nadis are also purified, but there is an obstruction in sushumna, then the awakening of kundalini will not fulfil its purpose.

チャクラやイダー・ピンガラーが機能したとしても、依然としてスシュムナーに障害がある場合は、クンダリニーはその目的を果たすことができないといいます。これらは別々の要素であり、それぞれに対するアプローチが必要であるということでしょう。

ここで、クンダリニーがスシュムナーを通ることができずイダー・ピンガラーを通って上がっていった場合のことが説明されます。これもゴーピ・クリシュナ氏の散々なクンダリニー体験に対して、サティヤナンダ氏はそのリスクはないという見解を述べているように思えます。

Actually, I don’t believe ida and pingala nadis are inferior to sushumna. Awakening of pingala nadi will awaken one portion of the brain and awakening of ida will awaken another portion. However, when kundalini enters sushumna, it affects the whole brain.

In the ancient texts of tantra it has been clearly indicated that it does not matter if kundalini enters another passageway. If there is an awakening in pingala, one becomes a healer or a siddha, one who has control over nature, matter and the mind. When there is awakening in ida, one can predict things; he becomes a prophet. But when sushumna awakens, kundalini ascends straight to sahasrara and one becomes a jivanmukta, a liberated soul.

古の密教文献は、スシュムナーを通らずにクンダリニーが上がっていっても問題はないと明確に示している、とサティヤナンダ氏は述べています。

イダー・ピンガラーを通って覚醒した場合は、脳の特定の部分が機能するようになり、スシュムナーを通って覚醒した場合は、脳の全ての部分が機能するようになるといいます。

ピンガラーを通った場合はヒーラーやシッダ(成就者)となり、イダーを通った場合は予言者となり、スシュムナーを通った場合はジーヴァンムクタ(解脱者)となるだろう、と説明されています。

So, hatha yoga and pranayama are prescribed for the awakening of sushumna. There are also other ways, but kriya yoga is the best, particularly the practices of maha mudra and maha bheda mudra.

ハタヨーガやプラーナーヤーマは、スシュムナーの覚醒のために適した技法であるとしています。その他にも方法はあり、クリヤーヨーガが最適であり、中でもマハームドラーとマハーベーダムドラーは最上であるとサティヤナンダ氏は示しています。

「ハタヨーガ」と「クリヤーヨーガ」といった分類は曖昧なところがあります。マハームドラーはハタヨーガプラディーピカーやゲーランダサンヒターなどに示されています。

参考:ハタヨーガプラディーピカー概説 3.10-3.31 〜「マハー(偉大な)」がつく3種のムドラー〜
参考:ゲーランダサンヒター概説3.6-3.24 〜ムドラー解説1〜

「maha bheda mudra マハーベーダムドラー」と「maha veda mudra マハーヴェーダムドラー」は紛らわしい名前ですが、別のものです。これらのムドラーはサティヤナンダ氏のオレンジ本でも解説されています。

「Asana Pranayama Mudra Bandha 英語版」Swami Satyananda Saraswati (著)

ちなみに私もマハームドラーなどの解説記事を数年前に書こうとしたのですが、チベット密教なども調べ始めた際に「マハームドラー」という言葉の持つ意味がとても広いということを知ったため思いとどまり、いろいろ調べてからにしようと思いながら結局まだ書いていません。

興味のある方は調べてみると良いでしょう。

参考:チベット密教/ツルティム・ケサン(著) 正木晃(著)|書籍紹介

For awakening of sushumna, ida and pingala have to be suppressed. Thus you can see the importance of practising kumbhaka, breath retention. When both nadis are suppressed in kumbhaka, immediately after you’ll find that both nadis are flowing simultaneously. It is at this time that kundalini should awaken.

スシュムナーの覚醒に際しては、イダーとピンガラーは共に鎮静される必要があるといいます。そのため、クンバカ(止息)の行法が重要です。クンバカによって両方のナディの流れが鎮まった直後、両方のナディが同時に流れるのを感じ、そのときにクンダリニー覚醒が起こる、と説明されています。

このあたりの微細な感覚の記述は注意深く読み解く必要がありますが、行法を具体的に進めていく中で明らかになっていくでしょう。

後に示されるクンダリニーヨーガの行法の中で、プラーナーヤーマ・クンバカ・ムドラーといったハタヨーガの技法が、最重要なテクニックとして扱われていくことがここで示唆されています。

次記事:「クンダリニー・タントラ/サティヤナンダ(著)」を読む【22】第1章 11節:下降するクンダリニー

前記事:「クンダリニー・タントラ/サティヤナンダ(著)」を読む【20】第1章 9節:覚醒か、狂気か

参考文献

「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「密教ヨーガ―タントラヨーガの本質と秘法」本山 博 (著)

「クンダリニー」ゴーピ・クリシュナ (著), 中島巌 (翻訳)

「Asana Pranayama Mudra Bandha 英語版」Swami Satyananda Saraswati (著)

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高橋陽介

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