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ハタヨーガプラディーピカー概説 3.83-3.102 〜性的ヨーガのムドラー、ヴァジローリー、サハジョーリー、アマローリー〜

ハタヨーガプラディーピカー概説 3.83-3.102 〜性的ヨーガのムドラー、ヴァジローリー、サハジョーリー、アマローリー〜

ハタヨーガが批判される理由ともなった問題部分

ハタヨーガの古典の中で、最も体系化されているとして重要視されているハタヨーガプラディーピカー

今回は、ハタヨーガのなかで重大な問題箇所とされる、性的ヨーガに関するムドラーについて書かれている部分を紹介します。

以下、日本語訳は「ヨーガ根本経典/佐保田鶴治」から引用しています。

この記事の目次

性的ヨーガに関する考察

ハタヨーガプラディーピカー、あるいはハタヨーガ全体が批判される理由として、性的ヨーガに関する行法が示されているところが大きいようです。

それも「男性のための行法」として書かれていることから、ヨガを深めようと思った多くの女性たちにとっては、プラディーピカーを読んだときにショックを受けることが多いでしょう。

実はしばらくハタヨーガに関する記事への筆が止まっていたのは、この点に関してチベット密教など他の行法についていろいろ調べていたからというのもあります。

このあたりの考察は、また別の記事にまとめたいと思いますが、性に関することは密教の中でも様々な解釈がされてきました。それだけ人間にとって重要であり、興味の対象であったということでしょう。

そもそもハタヨーガプラディーピカーも、いろいろな文献から抜粋してまとめられたものなので、後から都合の良いものを加えたり減らしたりされている可能性もあります。ハタヨーガの真の姿はどんなものなのか、唯一定まったスタイルというのは存在しないのかもしれませんし、知る術はありません。

この部分は一旦無視して読み飛ばしてしまってもいいかもしれません。ただ、こういった行法は、一貫して実践することで初めて効果が現れるのだと主張されることもあります。なので、ここは目をそらさず、実際に行うのは難しいですが(ここまでも難しいものが結構でてきましたが)、ひとまず書かれていることを読んでみることにしましょう。

ヴァジローリー・ムドラー

3.83 ヴァジローリーをよく心得たヨーギーは、ヨーガの教えにうたわれている戒を守らず、思いのままに振舞いながら、霊能力の容れものになる。

3.84 この行法を修するには、常人には得難い二つの必要条件がある。その一つは牛乳であり、他の一つは従順な婦人である。

3.85 射精し終わるや、ゆっくりと、適正に精液を吸い上げることを習熟すべし。男性はもちろん、女性でもヴァジローリーに熟達することができる。

第1章などで述べられてきた禁戒なども無にするようなことをいきなり言い始めます。戒律に従わなくても、ヴァジローリームドラーを極めれば良いのだと。

ヨーガスートラで述べられるヨーガや、大乗仏教などの顕教においては、厳しい禁欲生活の末に悟りに到れるとしているものが多かったのですが、一方ではこのように性行為を行法の中に取り入れた密教(「左道密教」と分類することもある)も生みだされ、それらの関係性は長い歴史に渡って続きます。

戒律も守らず、性行為もしていいとするなら、そっちに流れる人々が増えるのもうなずけます。

3.90 人間の精液は心に依存し、生命は精液に依存する。それ故に、精液と心の保全につとめなければならない。

それでも、とにかく精液は大事だ!という考え方は維持していたようで、そのために、出した精液を吸い戻すというムチャクチャな技が編み出されたということです。

ただ、別の教典では、ヴァジローリーなどこれらのムドラーは、同じような名前がついていても、全く別の行法が示されていることもあります。ゲーランダサンヒターでのヴァジローニームドラー(サンスクリットでも若干表記に揺れがある)はアーサナのような特定の姿勢&動きを指示しており、シヴァサンヒターではそもそも「低級なタントラ行者が耽溺した卑猥な行である」として英訳本からは記述が省かれているようです。

サハジョーリー・ムドラー

3.91 サハジョーリーとアマローリーはヴァジローリーの別種である。牛糞を焼いて作った灰を水に混ぜて、

3.92 ヴァジローリーの性交を行なった後、快感の高潮に達して、性のいとなみをやめた男女は、気持よく坐って、この水を自分のカラダに塗るべし。

これもなんだかよくわからん行です。

牛糞は、第1章でヨーガ行をするための庵を結ぶ際に、消毒・浄化のために壁に塗るという形で出てきたので、浄化の意味があるのかもしれません。

アマローリー・ムドラー

3.95 水の流れの初めの部分は胆汁分が適度なので捨て去り、最後の部分は精分を欠くから捨て去って、冷たい中間の部分だけを貴び用いる。これがカーパーリカ派の宗旨でアマローリーとよばれるものである。

3.96 毎日、匂いをかぎながらアマリーを飲用し、そしてヴァジローリーを適正に行ずるならば、それがアマローリーとよばれるものである。

3.97 アマローリーの行によって流出した甘露(精液)に灰を混ぜて、上半身の部分に塗りこむべし。そうすると天眼(霊視能力)が生ずる。

「水」や「アマリー」が何を指すのかは、解釈が分かれるようです。

佐保田氏の注釈によれば、インド人の注釈には「シヴァの水」とあるようで、シヴァは男根を表すこともあるので、精液あるいは尿であるという説があります。

これらのムドラーの効果

3.100 男性のビンドゥと女性のラジャスは、ヴァジローリーの行によって、自己のカラダのなかで合一して、あらゆるシッディ(霊力)を与える。

3.101 婦人が自分のラジャスを回収して、それを保全するならば、彼女はヨーギニーである。彼女は必ずや過去と未来を知り、空中を歩むことができるであろう。

3.102 ヴァジローリーの行の修習によって肉体のシッディを得る。この結構なヨーガは、享楽を味わうなかで解脱を与えるのである。

女性のラジャスは「月経」を表したり、佐保田氏によれば交接時の分泌物であろうとされています。

男性が精液を吸い上げるように、女性も分泌物を吸い上げることができれば、女性もヴァジローリームドラーができるとされています。

そして、ここで「ヨーギニー」という言葉が出てきます。

響きを考慮してヨギーニと現代では呼ばれることが多く、いまでは雑誌名にもなっている言葉ですが、ここでは性的ヨーガのパートナー女性のことを指しているわけです。チベット密教でも「ヨーギニー(瑜伽女)」「ダーキニー(荼吉尼)」という言葉はよく出てきます。

解釈の仕方は様々あると思いますが、こういった行がハタヨーガの中には存在し、それはおそらく後期密教の影響を大きく受けていると言われています。

密教のことを調べていくと、そもそもなぜ修行のために性的ヨーガが必要だったのか、といったことも議論されていますので、また別の機会に紹介したいと思います。

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参考文献

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