ヨーガスートラを私なりに読み進めていくシリーズ。
英訳出典:http://yogasutrastudy.info/
サンスクリット語辞書:http://spokensanskrit.org/
訳者の略称は下記の通りです。
[SS]: Swami Satchidananda
[SV]: Swami Vivekananda
Sutra 3.18 過去世に関する知
संस्कारसाक्षत्करणात् पूर्वजातिज्ञानम्॥१८॥
saṁskāra-sākṣātkaraṇāt pūrva-jāti-jñānam ॥18॥
(読み)サンスカーラ サークシャートカラナート プールヴァ ジャーティ ンニャーナン
(訳)サンスカーラ(物事がそのようになる力)を直接的に知覚することによって、過去世に関する知が得られる。
[SS]: By direct perception, through samyama, of one’s mental impressions, knowledge of past births is obtained.
[SS訳]: 心の印象にサンヤマを行うことによる直接的な知覚によって、過去世に関する知が得られる。
[SV]: By perceiving the impressions, knowledge of past life.
[SV訳]: 印象への知覚によって、過去世に関する知が得られる。
解説・考察
超能力シリーズ、今回は「前世を知る」です。
サンスカーラ(行・印象・物事がそのようになる力)という言葉は、有想三昧・無想三昧のところなどで出てきました。
≫ヨーガスートラ解説 1.17-1.18 〜有想三昧と無想三昧〜
英語ではimpression(印象)と訳されることの多い言葉ですが、日本語で印象と言ってもどうもピンとこないので、「物事がそのようになる力」「物事をそのように捉えてしまう志向」といったようなニュアンスで捉えておくと良いと思います。
最終的にはその力からすら自由になることを目指すわけですが、かなり深い段階の三昧ですらサンスカーラだけはずっとついてまわります。このあたりは第1章で述べられてきました。
「物事がそのようになる力」が働いていて、私達はその流れの中で生きている…ということを悟ったとき、どんな力が働いたから今の自分があるかということも分かってきて、それによって過去の自分も分かってくるということを3.18節では述べているのかと思います。
結局はこの超能力にすら執着しないようにすべしと後で語られますが、この能力に関してはまさに「過去への執着」を呼び起こしてしまう可能性があり、「こんな能力は無いほうがいいよね、まあやろうと思えばできるけどさ!」というスタンスで述べられているのかもしれません。
≫ヨーガスートラ解説 3.19-3.20
≪ヨーガスートラ解説 3.17