ヨーガスートラを私なりに読み進めていくシリーズ。
英訳出典:http://yogasutrastudy.info/
サンスクリット語辞書:http://spokensanskrit.org/
訳者の略称は下記の通りです。
[SS]: Swami Satchidananda
[SV]: Swami Vivekananda
Sutra 3.23(3.22)
सोपक्रमं निरुपक्रमं च कर्म तत्संयमादपरान्तज्ञानमरिष्टेभ्यो वा॥२२॥
sopa-kramaṁ nirupa-kramaṁ ca karma tatsaṁyamāt-aparāntajñānam ariṣṭebhyo vā ॥22॥
(読み)ソーパ カルマン ニルパクラマン チャ カルマ タッサンヤマート アパラーンタンニャーナン アリシュテビヨーヴァー
(訳)カルマ(業・行為と結果)には、速やかに現れるものと、ゆっくり現れるものの2種類がある。それらにサンヤマを行うことで、あるいは死の前兆に対してサンヤマを行うことで、死期を知ることができる。
[SS]: Karmas are of two kinds: quickly manifesting and slowly manifesting. By samyama on them, or on the portents of death, the knowledge of the time of death is obtained.
[SS訳]: カルマには、速やかに現れるものと、ゆっくり現れるものの2種類がある。それらにサンヤマを行うことで、あるいは死の前兆に対してサンヤマを行うことで、死期を知ることができる。
[SV]: Karma is of two kinds, soon to be fructified, and late to be fructified. By making Samyama on that, or by the signs called Aristha, portents, the Yogis know the exact time of separation from their bodies.
[SV訳]: カルマには、すぐに実を結ぶものと、遅れて実を結ぶものの2種類がある。それらにサンヤマを行うことで、あるいはアリスタと呼ばれる兆候に対してサンヤマを行うことで、ヨーギは肉体から離脱する時期を正確に知ることができる。
解説・考察
超能力に執着してはならないシリーズ、今回は「死期を知る」です。
カルマ(業・行為と結果)に関しては、2.12節などで説明されました。
過去世も含めて、いままで煩悩に基づいて行ってきたことは、必ずその結果が訪れます。そのため、煩悩があるかぎりその結果が訪れるという流れから抜け出すこと(解脱)ができません。
ということは、カルマに対してサンヤマを行えば、それによってもたらされる結果が分かるので、死期も分かるということでしょう。
ヨーガの考え方のなかでは、死んでいるのは「真我」ではないので、ヴィヴェーカーナンダ氏はここで正確に「肉体から離れる時」と述べています。
あるいは死の前兆に対して注意深く観察することによっても、死期を知ることができると述べられています。
ヴィヴェーカーナンダ氏は、何時何分まで正確に分かると解説しています。
さて「明日死ぬとしたら、なにをする?」というたとえ話をすることはよくありますが、たいていは煩悩しか出てこないですね。
死期を知れたところで…今やるべきことを常にやっているならば、なにも変わらないわけです。
≫ヨーガスートラ解説 3.24-3.25(3.23-3.24)
≪ヨーガスートラ解説 3.21-3.22
(※)3.22節に関しては、訳者によっては抜けているため、このあとの節番号がひとつずつズレている訳本もあります。この節が後世に付け加えられたものとされているのか、詳細は分かっていないようです。そのため、ヨーガスートラは全体で195節とする場合と、196節とする場合があります。ここでは3.22節は存在するとしてカウントした節番号をメインに使い、存在しないとした場合の節番号をカッコで示すことにします。