ヨーガスートラを私なりに読み進めていくシリーズ。
英訳出典:http://yogasutrastudy.info/
サンスクリット語辞書:http://spokensanskrit.org/
訳者の略称は下記の通りです。
[SS]: Swami Satchidananda
[SV]: Swami Vivekananda
Sutra 3.5 サンヤマの効果
तज्जयात्प्रज्ञालोकः॥५॥
tajjayāt prajñālokaḥ ॥5॥
(読み)タッジャヤーッ プランニャローカハ
(訳)サンヤマに熟達することで、知の光が訪れる。
[SS]: By mastery of samyama comes the light of knowledge.
[SS訳]: サンヤマに熟達することで、知の光が訪れる。
[SV]: By the conquest of that comes light of knowledge.
[SV訳]: それ(サンヤマ)を支配することで、知の光が訪れる。
Sutra 3.6 サンヤマの進め方
तस्य भूमिषु विनियोगः॥६॥
tasya bhūmiṣu viniyogaḥ ॥6॥
(読み)タスヤ ブーミス ヴィニヨーガハ
(訳)サンヤマの実践は、段階を経て達成される。
[SS]: Its practice is to be accomplished in stages.
[SS訳]: その実践は、段階を経て達成される。
[SV]: That should be employed in stages.
[SV訳]: それ(サンヤマの克服)は段階を要する。
Sutra 3.7 サンヤマの3支と、その前の5支の比較
त्रयमन्तरङ्गं पूर्वेभ्यः॥७॥
trayam-antarangaṁ pūrvebhyaḥ ॥7॥
(読み)トラヤン アンタランガン プールヴェービヤハ
(訳)これら3支(ダーラナ・ディヤーナ・サマーディ)は前の5支よりもより内的である。
[SS]: These three [dharana, dhyana and Samadhi] are more internal than the preceding five limbs.
[SS訳]: これら3支(ダーラナ・ディヤーナ・サマーディ)は前の5支よりもより内的である。
[SV]: These three are internal than those that precede.
[SV訳]: これら3支は、前の5支よりも内的である。
Sutra 3.8 サンヤマと無種子三昧の比較
तदपि बहिरङ्गं निर्बीजस्य॥८॥
tadapi bahiraṅgaṁ nirbījasya ॥8॥
(読み)タダピ バヒランガン ニルビージャスヤ
(訳)これら3支といえども、無種子三昧よりは外的である。
[SS]: Even these three are external to the seedless samadhi.
[SS訳]: これら3支といえども、無種子三昧よりは外的である。
[SV]: But even they are external to the seedless (Samadhi).
[SV訳]: しかしこれらも無種子(三昧)よりは外的である。
解説・考察
これまでで説明された、アシュターンガ(8支則)の後半3つ、ダーラナ(集中)・ディヤーナ(瞑想)・サマーディ(三昧)を合わせたサンヤマ(綜制)は、世界の本質を観るためにヨガ実践者が使うことができる重要なツールとなります。
サンヤマに熟達することによって、様々なフィルター(自分の心が作り出したもの)によって邪魔されて見えなかった物事の本質が輝き出てくるようになるといいます。
ただしそれは段階的に得られるものであり、決して急いではならないと3.6節で述べられています。
これらの3支は、2章までに述べられた5支(ヤマ・ニヤマ・アーサナ・プラーナーヤーマ・プラティヤーハーラ)よりも内的であるといわれます。
前半の5支は外的な刺激から心を乱されないようにするための準備であり、サンヤマの3支とは明らかに区別されています。
しかし、第1章で述べられたヨーガスートラのゴールであるニルビージャサマーディ(無種子三昧)は、サンヤマよりもさらに内的であるとされます。
サンヤマの最終段階である「三昧」という言葉はやや広い意味で使われているようで、三昧の中にもいくつもの段階があることは第1章で述べられました。
このあたりで第1章にもどって読み直してみるのも良いかもしれません。
≫ヨーガスートラ解説 1.17-1.18 〜有想三昧と無想三昧〜
≫ヨーガスートラ解説 3.9-3.16
≪ヨーガスートラ解説 3.1-3.4