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ハタヨーガプラディーピカー概説 1.12-1.16 〜ハタヨーガを行うための諸条件〜

ハタヨーガプラディーピカー概説 1.12-1.16 〜ハタヨーガを行うための諸条件〜

時代に合わせて少しずつ変わっていく、環境条件や心構え

ハタヨーガの古典の中で、最も体系化されているとして重要視されているハタヨーガプラディーピカー

今回は、ハタヨーガを行う上での心構えや環境などの諸条件に関する部分を紹介します。

以下、日本語訳は「ヨーガ根本経典/佐保田鶴治」から引用しています。

この記事の目次

ハタヨーガを行うのに適した環境

1.12 行者は政治が正しく、人民が善良で、托鉢して食を得るのが容易で、そして犯罪のない国において、矢のとどく範囲に岩や火山や川がない人里離れた場所に庵室を結んで住むのがよい。

庵室に関する具体的な指示もありますが、現代日本では現実的ではないのでここでは省きます。

さてこの環境条件、あなたが住んでいる土地は、適しているでしょうか?

ここで述べられている条件は相対的なものであり、自分が適していると感じるならば良いのだと思います。

托鉢するのはあまり現実的ではないので、仕事(人に迷惑をかけるような悪徳な仕事以外の)が得られる環境と置き換えても良いかもしれません。

ハタヨーガの心構え

1.15 ヨーガは次の六つのことがらによってくずれる―過食、過労、戒律への固執(こだわり)、交際、落ち着きのないこと。

1.16 ヨーガは次の六つのことがらによって成功する―熱心、敢為、剛気、真実の知、信念、交際の全廃。

[補説 禁戒と勧戒]
非暴力、誠実、不盗、梵行(禁欲)、忍耐、剛健、仁慈、廉直、節食、浄潔―以上一〇の禁戒(ヤマ)。
苦練、知足、神霊信仰、布施、自在神供祀、聖教の聴聞、慚愧、賢明、マントラ念誦、祭祀―以上はヨーガの教説に通じた人たちによって説かれた一〇の勧戒(ニヤマ)である。

ヨーガスートラで述べられているアシュターンガ(8支則)の最初の2つ「ヤマ」「ニヤマ」は、それぞれ5項目ずつ示されていました、

≫ヨーガスートラ解説 2.35-2.39 〜ヤマ(禁戒・社会的規範)〜

≫ヨーガスートラ解説 2.40-2.45 〜ニヤマ(勧戒・個人的規範)〜

ハタヨーガプラディーピカーはヨーガスートラよりもかなり後の時代にまとめられたものであり、その項目は10個ずつに増やされています。様々な宗教や他のヨーガの技法などと関係しあった上で、このように増えていったのでしょう。

この中で印象的だったのは、「交際の全廃」という項目です。

先の環境条件でも「人里離れた場所に庵室を結ぶべし」と示されているように、ヨーガの修行とはとても孤独なものなのか?と感じます。

たしかに独りで黙々と自分と向き合う形で行われることが多いものですが、サットヴァ(純粋)な人々との交わりは推奨されています。

ここで「交際」と訳されているサンスクリット語「saṅga サンガ」は、「サンスクリット原典 翻訳・講読 ハタヨーガ・プラディーピカー/菅原誠」では下記のような意味であると解説されています。

saṅga 執着、接触、愛好、嗜好、欲望、性交

先の「サットヴァ(純粋)な人々との交わり」は「サットサンガ」と呼ばれ推奨されていますが、「サンガ」の意味には「執着」や「性交」なども含まれると言われ、「不純な交わりは禁じるべし」と捉えておくのが自然な感じはします。

また、禁戒の中にはヨーガスートラでは述べられていなかった「節食」が加わっています。

「断食」をするべきかしないべきかといったところは諸説ありますが、基本的には「少食」を保つことが、ヨーガの修行にも、健康を保つことにも適しているようです。

≫参考:食べすぎない 〜「極少食」16世紀のイタリア人・ルイジコルナロの教え〜

≫ハタヨーガプラディーピカー概説 1.17〜1.55 〜18アーサナ簡単解説〜
≪ハタヨーガプラディーピカー概説 1.1〜1.11 〜ハタヨーガとは〜

参考文献

「ヨーガ根本教典」佐保田 鶴治 (著)

「サンスクリット原典 翻訳・講読 ハタヨーガ・プラディーピカー」菅原誠 (著)

「Asana Pranayama Mudra Bandha 英語版」Swami Satyananda Saraswati (著)

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高橋陽介

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