「クンダリニー・タントラ/スワミ・サティヤナンダ・サラスワティ著」を読み進めていく形で、クンダリーニヨガ(クンダリニーヨーガ)の概要を紹介していく連載記事です。
「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)
「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)
今回は、第3章の3節、チャクラ・サーダナ(行法)の進め方に関する部分です。
以下、引用部分の太字強調は私が個人的に重要と思ったところを示したものです。
この記事の目次
チャクラ行法の進め方
この次の節から、チャクラを覚醒させる行法に入っていきます。
この節では、チャクラ行法をどのように進めていくかという案内が示されています。
Month by month we have given specific practices for the awakening of each chakra, one after the other. These practices must be adopted systematically. For the first month you should only perform the techniques for ajna chakra. Then in the second month, add those for mooladhara. In the third month add those for swadhisthana. In the fourth month do those practices for manipura and selected practices for ajna, mooladhara and swadhisthana chakras. (By this stage, due to the number of practices, it will be necessary to omit some.) In this way, you should continue, adding the practices for each chakra, until you reach bindu visarga during the seventh month.
この本のクンダリニーヨーガでは、1ヶ月ごとにひとつひとつのチャクラの覚醒を目指していきます。「systematically 規則正しく」実践していくべし、という指示がたびたび出てきます。
最初の月はアージュニャーチャクラから始まり、次にムーラーダーラチャクラ、スワディシュターナチャクラ、そして4ヶ月目からはマニプーラチャクラの行法に加えて、それまでに行ったアージュニャーチャクラ・ムーラーダーラチャクラ・スワディシュターナチャクラの行法の中から自分に必要なものを選んで行うように、と説明されています。同様に次の月からは、アナーハタチャクラの覚醒を行いつつ、それまでに行ったチャクラに関する行法を選んで行うようにしていきます。
The first month is concerned with awakening ajna chakra and not the lowest one, mooladhara, which is treated in the second month. It may seem more logical and consistent to start with mooladhara practices, but it is a rule of kundalini yoga that first there should be awakening of ajna chakra before the other chakras. Unless this is achieved, then the awakening of the lower chakras may rock the stability of the practitioner; he may experience physical, mental and emotional shocks which he cannot bear. The awakening of ajna chakra brings a great degree of detachment, which allows one to withstand the lower chakra awakenings without excessive shock. One is able to observe chakra experiences with the attitude of a witness. This is most essential in kundalini yoga.
チャクラの覚醒を行う順番として、サティヤナンダ氏の方針では、第2章でも示されたように一番低位のムーラーダーラチャクラではなくアージュニャーチャクラから始めていきます。
参考:「クンダリニー・タントラ」を読む【30】第2章 3節:アージュニャーチャクラ
低位のチャクラから覚醒を始めていくと、物理的・思考的・感情的なショックに耐えられず、安定性を失ってしまうからであると、改めて説明されています。
アージュニャーチャクラを覚醒させておくと、執着がなくなり、低位のチャクラの覚醒によるショックに耐えることができ、チャクラ覚醒によって起こる大きな経験を、冷静に観察者の立場で眺めることができるといいます。
巻き起こるエネルギーとショックに巻き込まれることなく「観察者の立場」で実践するというのがクンダリニーヨーガにおいて重要である、ということは第2章でも説明されていました。
In the eighth month we have given some practices which influence the chakras as a whole. These should also be done for one month.
7ヶ月目にはビンドゥ・ヴィサルガの覚醒を行い、最後の8ヶ月目にはサハスラーラではなく、全てのチャクラに影響を与える実践(Integrated Chakra Awareness)を行う、という構成になっています。やはりサティヤナンダ氏のクンダリニーヨーガの理論においてサハスラーラは、他のチャクラとは全く別のものとして捉えられているようです。
チャクラ行法の基本的な内容
Please note that some practices influence more than one chakra, but we have only given each practice once as sadhana for the chakra it is most likely to affect. Also, it should be noted that nothing can be gained by randomly selecting one chakra sadhana program and just practising it for a day or two and then commencing another program. As each practice is a stepping-stone for another practice, the techniques should be performed systematically.
次節から順番に紹介されていく行法は、各チャクラに対して最も効果的である行法がピックアップされていますが、その中のいくつかの行法は、一つのチャクラだけでなく複数のチャクラに影響を及ぼすものもあるといいます。
また、たとえばランダムに一つの行法や一つのチャクラに関するプログラムを選んで1〜2日行って、他の行法に移ってしまったりといった進め方をしても、何も得るものはないであろう、と説明されています。
決められた流れを、ひとつひとつ、「systematically 規則正しく」進めるべし、と改めて指示されています。
In each chapter, practices are given to locate the position of the chakra, and its counterpart, the kshetram (which is located in the front of the body). It is important that you can locate these points exactly.
まず各チャクラの位置と、そのクシェートラム(チャクラに対応する、体の前側にある体表の点)を確認する実践から始めます。それらの点は、正確に把握しておく必要があります。
All the practices given for the specific chakras are the building blocks from which the techniques of kriya yoga are constructed. As such, you should perfect them before proceeding to the kriyas. Ultimately, you will only need to practise the kriyas, but prior to this you must be prepared to devote at least one hour a day to the chakra practices for the next eight months.
この後の構成としては、各チャクラの覚醒のための実践が8ヶ月分示され、その後にクリヤーヨーガを行っていくことになります。
最終的にはクリヤーヨーガだけを行えばよいということになりますが、チャクラ覚醒のための実践は、クリヤーヨーガに至るための構成要素になるため、クリヤーヨーガを始める前に完璧に行えるようにしておく必要があり、8ヶ月の間は毎日少なくとも1時間をチャクラ行に費やすべし、と指示されています。
クリヤーヨーガの進め方
In the final chapter we have given a full description of the twenty kundalini kriyas which are widely known as kriya yoga. At this stage, you can leave all the specific practices given in the previous chapters for awakening the chakras individually, or if you wish you can select a few to continue with.
この章の最後で、「クリヤーヨーガ」としてよく知られている20のクンダリニー・クリヤーが、全て説明されているといいます。ただ「クリヤーヨーガ」という名前のヨーガは世界中にいろいろな種類があり、その中の一つということになります。
この段階に至ったら、それまでに行っていたチャクラ行はやめてしまってもいいし、いくつか選んで続けて行っても良い、と指示されています。
The kundalini kriyas can be learned and practised one after the other, at the rate of one per week. That is, in the first week, perfect vipareeta karani mudra; in the second week add chakra anusandhana; then add nada sanchalana in the third week, and so on. At the end of twenty weeks you should be doing the entire series of twenty kriyas daily, with the traditional number of rounds for each kriya, or with a reduced number of rounds as indicated.
クンダリニー・クリヤーは、順番にひとつひとつ、週に1種類ずつ加えながら実践していく、と説明されています。
1週目はヴィパリータ・カラニー・ムドラー(逆転の姿勢)で、2週目はチャクラ・アヌサンダナ(特定の経路を通って各チャクラをつなげていく)を加え、3週目はナーダ・サンチャラナ(Omの音を使ってチャクラへの気づきを高める)を加えていく、という流れです。
20週目には、20種類すべてのクリヤーを毎日実践します。それぞれ実践する回数も、各クリヤーの説明の項に示されています。
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前記事:「クンダリニー・タントラ」を読む【39】第3章 2節:クンダリニーヨーガの坐法・姿勢
参考文献
「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)
「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)
「クンダリニー」ゴーピ・クリシュナ (著), 中島巌 (翻訳)
「Asana Pranayama Mudra Bandha 英語版」Swami Satyananda Saraswati (著)