世の中には様々なヨガがありますが、「クンダリーニヨガ(クンダリニーヨーガ)」についてはどのくらい知られているでしょうか。
私もヨガを始めた当初は、クンダリーニやチャクラといった名前だけは聞いたことがありましたが、それが何なのかは全く知りませんでした。(たぶん、聖闘士星矢かなにかでクンダリーニの力を使って戦うキャラがいたので知りました)
クンダリーニ・ナディ・チャクラといった「微細なもの」を扱う
「ヨガの生理学」の中では、肉体的な骨や筋肉や臓器といった「粗大なもの」だけでなく、クンダリーニやナディやチャクラといった「微細なもの」も重要な要素として扱われています。
用語:クンダリニー(クンダリーニ)
用語:チャクラ
用語:ナディ(ナーディー)
微細なものについては、科学的に測定できる部分もあれば、まだ解明が難しい部分も多いことでしょう。これらは東洋医学で用いられる経絡や経穴と関連性があるとも言われています。
これらは、今の世界では誰もが見えるもの・感じ取れるものではないので、扱うのが難しい分野ではありますが、心身の改善のためにも、ヨガのポーズや瞑想を洗練させるためにも、そしてさらなる進化のためにも、これらの「微細なもの」も注意深く研究して、気づきを磨いていくと良いかと思います。
クンダリニーに関する今までの研究は、以下のページにもまとめていますが、私もまだまだしっかり読みたい書籍などがあるので、一緒に読み進めていきましょう。
まずは、私が読んだ中では一番体系的にまとまっている印象のある「KUNDALINI TANTRA(クンダリニー・タントラ)/Swami Satyananda Saraswati(スワミ・サティヤナンダ・サラスワティ)著」を読み進めていく形で、クンダリーニヨガの概要を紹介していこうと思います。
「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)
「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)
クンダリーニ(クンダリニー)の表記
ちなみに「クンダリーニヨガ」の名称については、「クンダリーニヨーガ」「クンダリニーヨガ」「クンダリニーヨーガ」などいくつかの表記のしかたがあります。
ハタヨーガの古典を見ても、クンダリニー、クンダリーニ、クンダリーなどいくつかの表記があるようです。日本に伝わったときは、軍荼利(ぐんだり)明王といった名前になっています。
ここでは主に、「クンダリニー」の表記を使うことにします。
「クンダリニー・タントラ」の目次・構成
「クンダリニー・タントラ」の大まかな構成は、以下のようになっています。
- 序章
- 第一章 クンダリニーについて
- 第二章 チャクラについて
- 第三章 クンダリニーヨーガの実践
- 第四章 クンダリニーに関する科学的な研究
- 第五章 索引・用語集
第一章では、クンダリニーとは何か、それが脳や体にどんな影響をもたらすのか、どのように覚醒させるのか、クンダリニーヨーガ実践における注意点などが詳細に書かれています。
「微細なもの」を扱う本には、煙に巻くような表現で無責任に濁したり、大袈裟な表現で惹きつけようとしたりするものもありますが、この本はできるだけ誠実に親切に伝えようとしてくれているように思えます。
クンダリニー覚醒に関する危険性は、ハタヨーガの教典でもたびたび示されています。研究と実践にあたっては、繊細な気づきが必要です。気づきを磨きながら、慎重に進めていってください。
第二章では、チャクラに関することがまとめられています。各チャクラの位置や機能などが詳細に書かれています。
第三章では、クンダリニーヨーガの具体的な実践法が書かれています。第一章で、クンダリニー覚醒のためのいくつかの道が示されていますが、その中で著者が最も多くの人に適していると考える「クリヤーヨーガ」の実践法をこの章で示しています。
「クンダリニーヨーガ」には、世界共通の決まった行法があるわけではなく、いろいろなやり方があります。また、「クリヤーヨーガ」というものも、同じ名前がいろいろな流派で使われています。なので、ここで紹介されているのはサティヤナンダ氏の定義するクリヤーヨーガということになるでしょう。
流れとしては、各チャクラを覚醒させる行法を、それぞれ1ヶ月ずつ実践せよという形で順々に示されています。
ハタヨーガで用いられるアーサナ・ムドラー・バンダが行法の中心としていくつも登場するので、ヨガを研究・実践する上でクンダリニーヨーガはひとつの集大成であるように感じられます。様々なヨガの技法をしっかり実践できなければ、この道を進んでゆくことは難しいでしょう。間違ったやり方で進めていくのは危険も伴うため、やはり密教(タントラ)的なヨーガはしっかりと師匠に教わるのが良い、というのが基本になっています。
第四章では、チャクラやナディを科学的に測定する試みについて紹介されています。サティヤナンダ氏は、私もよく書籍を紹介している本山博氏と親交が深かったようで、彼の行った実験もよく引用されています。そのあたりは本山氏の書籍も参考にしてみると良いかと思います。
参考:密教ヨーガ―タントラヨーガの本質と秘法/本山博(著)|書籍紹介
ちなみにナディやチャクラの実験内容については、以下の本山氏の書籍が特に詳しく述べられているようです。なかなか難解ですが。
「超感覚的なものとその世界―宗教経験の世界」本山 博 (著)
というわけで、次回以降「クンダリニー・タントラ」を読み進めていこうと思います。