オンライン個別レッスン 初めての方/目的別MENU
「クンダリニー・タントラ」を読む【4】序章:ゆっくり、気づきを働かせながら、規則正しく進めるべし

「クンダリニー・タントラ」を読む【4】序章:ゆっくり、気づきを働かせながら、規則正しく進めるべし

短絡的な代替手段に飛びつくことなく、体系的に正しく実践せよ

「KUNDALINI TANTRA(クンダリニー・タントラ)/Swami Satyananda Saraswati(スワミ・サティヤナンダ・サラスワティ)著」を読み進めていく形で、クンダリーニヨガ(クンダリニーヨーガ)の概要を紹介していきます。

「クンダリニー・タントラ」の購入
ペーパーバック版Kindle版

今回は、序章の後半部分です。

(引用部分の太字強調は私が個人的に重要と思ったところを示したものです。)

クンダリーニヨガの研究については、以下のページにまとめてあります。

参考:クンダリニーヨーガ(クンダリーニヨガ)の研究まとめ

用語:クンダリニー(クンダリーニ)チャクラナディ(ナーディー)

この記事の目次

クンダリニーの眠る、肉体上の場所

The seat of kundalini is a small gland at the base of the spinal cord. With the evolution of the natural forces in man, this gland has now come to a point where man can explode it.

クンダリニーの眠る場所については、概ね骨盤底付近とされますがいくつかの説があるようです。ここでサティヤナンダ氏は「脊柱基底の小さな腺」がクンダリニーの座であると示しています。

肉体の各部分にある内分泌腺(ホルモンを分泌するなどして体をコントロールする機構)は、チャクラが肉体上に現れたものであるとされます。甲状腺や膵臓や副腎など、内分泌腺に関わる病気の多くは、外科手術や投薬などの物質的なアプローチだけでは治療できないことが多く、難病として扱われています。

参考:内分泌系・ホルモンの研究まとめ

参考:チャクラの研究まとめ

In India the entire cultural setup was once organized to facilitate this explosion, but today things are a little different because materialism is a very powerful force, and for the moment, it has even stupefied the Indian minds.

古来からインドでは、クンダリニー覚醒のための文化的な基盤が整っていたため、覚醒を遂げた多くの聖者が誕生してきました。しかし、現代では物質偏重主義の影響が強く、古来から伝わってきたインドの心も麻痺し、状況は変わってしまっているといわれます。

世界を変えるためには

For the awakening of kundalini, not only are the practices of yoga required. If this awakening is to become a universal event, then the entire social structure has to be reorganized and millions of people all over the world have to be told the purpose of their existence.

物質偏重の世界が、インドの人々の心を変えてしまい、クンダリニー覚醒への道を妨げているということを受けて、サティヤナンダ氏は世界全体がどのように覚醒していくべきかという話をここで加えます。

世界全体が覚醒し変わるためには、全ての社会構造が再構築され、世界中の人々が「なんのために我々は存在するのか」ということを告げられなくてはならないといいます。

You will see in this book how even the instinctive and emotional interaction between man and woman must be revised and refined, so that it can lead us not away from, but towards, this ultimate awakening.

社会構造の中でも特に、サティヤナンダ氏は「男女の関係性」についてここで挙げています。ヨーガの教えは、8支則にブラフマチャリヤ(梵行)が含まれているなど禁欲的な方向性の道もありますが、ハタヨーガは特に性に関する行法も多く、本書ではどのように解釈しながら修行を進めていくのか、そのあたりにも注目していく必要がありそうです。

用語:ブラフマチャリヤ

Luxury and comfort weaken the will and keep man under constant hypnosis.

今日では、人々は程度の差こそあれ、概ね満足した生活を送っています。しかし、快適さや贅沢は、常に人を麻痺状態にする危険性を持っているため、それをいつか手放すために準備をしていく必要があるといいます。

このような警句が強調され繰り返されていることから、物質偏重の思考のままではこの道を進んでいくのは難しいため、心を麻痺から解放するためにも、物質への依存から脱するべしということが強く示されています。

ゆっくり、気づきを働かせながら、規則正しく進めるべし

You will find here detailed instructions on the gradual preparation of your mind and body for the arousal of kundalini, and advice on elementary precautions to be observed in order to avoid unnecessary risks and obstacles.

クンダリニー覚醒の危険性は度々様々な書籍でも示されています。不必要なリスクや障害を避けて道を進んでいくために、短絡的に経験と理解を進めようとせず、徐々に心と体の準備を進めていくべしといいます。

Do not try to influence your mind directly, because the mind is nothing but an extension of the body complex. Start systematically with the body, the prana, the nadis and chakras, according to the scheme outlined in this book. Then see how you evolve.

「心」は肉体の複雑な機構を反映したものであり、いきなり心を直接変えていくアプローチするのは避けるべきで、まずは肉体、そしてプラーナ(気)やナディ・チャクラにアプローチする形で修行を進めていくべしということが示されています。

このあたりは、ハタヨーガプラディーピカーの構成のように、まずはアーサナ・プラーナーヤーマ・ムドラーなどを実践していくことで、いずれはヨーガスートラのラージャヨーガ(心のヨーガ)へと至るというハタヨーガの考え方が反映されているように思えます。

現代では、心理療法としてソマティック(身体的)なアプローチがようやく行われるようになりましたが、ハタヨーガ・クンダリニーヨーガでは、古来からそういった考え方で様々な身体的行法がつくられてきました。

In the final evolution of mind, matter and man, you cannot ignore either the body or the mind.

心と体、人を構成するいかなる部分も軽視してはいけません。偏った思考を持つ人々は、薬物などの短絡的な道を選んでしまうことも多いようです。そのように実践を伴わない「部分的な」方法に頼っても、自分を構成する心や体など全体の進化にはつながりません。

それぞれの部分には役割があり、それらを無視して道を進んでいくことはできないといいます。

This book presents a systematic and pragmatic approach to the awakening of kundalini. It begins with an expanded understanding of the true role and potential of the body and nervous system, moving through an exhaustive examination of the different methods of awakening suitable for different personalities and conditions.

本書では、様々なパーソナリティを持つ人々に合った、いくつかの異なる道を示しています。体の持つ本当の役割や能力を、拡大的に理解していきながら、道を進んでいくことになります。その行法は、第3章を中心に体系的・実用的に示されていきます。

以上、序章をざっと読んできました。

個人的には、物質偏重の思考から脱し、「微細なもの」を含めた全ての部分へ気づきを向けながら、注意深く道を進んでいくべしという著者の強い意図を感じました。

人によっては、雲をつかむような話でよくわからないという印象を受けるかもしれません。あるいは、私とは違った著者の意図を感じることもあるかもしれません。

私の抜粋と解釈がひとつのヒントになれば幸いですが、興味が湧いた方はぜひ自分で読み進めてみてください。

次記事:「クンダリニー・タントラ/サティヤナンダ(著)」を読む【5】第1章 1節:クンダリニーを飼いならすべし

前記事:「クンダリニー・タントラ/サティヤナンダ(著)」を読む【3】序章:新たなレベルでの経験が始まる

参考文献

「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「密教ヨーガ―タントラヨーガの本質と秘法」本山 博 (著)

男性ヨガインストラクター 高橋陽介の写真

by 高橋陽介

お読みいただきありがとうございます。他にもコラムを多数公開しています。
より知識を深めたい方には、オンラインプライベートレッスンを行っています。

コラムを探す オンラインレッスン

公式LINE レッスン料金 スケジュール

※記事内容は執筆当時の情報・見解によるもので、現時点では有効でない場合がございます。

※記事内容を参考にされて生じたトラブルなどについては、自己責任にてお願いいたします。

サイト内検索

コラムを探すページへ