オンラインレッスン コラム・レッスンを探す
食べすぎない 〜「極少食」16世紀のイタリア人・ルイジコルナロの教え〜

食べすぎない 〜「極少食」16世紀のイタリア人・ルイジコルナロの教え〜

「食べなきゃいけない」という執着を手放して、自分なりの食生活を試す

「極少食」で重病から回復し、晩年も活発に102歳まで生きた、16世紀のイタリア人「ルイジ・コルナロ」氏の著作「無病法 極小食の威力」を紹介しながら、「少食」の持つ健康的な意味をさぐります。

Amazon:無病法 極小食の威力/ルイジ・コルナロ

この記事の目次

暴飲暴食で体を壊していませんか?

年末年始、暴飲暴食してしまって体調を崩す人も多いかと思います。

私は数年前の年末年始、飲み会の日が数日続いたあと、鼻水がたくさん出始めて、風邪かなと思ったけれど1ヶ月くらいとまらないので、おかしいなーと思ったことがありました。

いろいろ研究してみた結果、胃腸の状態が悪くなったために呼吸器系の異常が生じているのではということに気づき、ひとまず食べる量を減らしてみたところ、2日ほどで治ってしまいました。

それ以来、「食べる量を少なくする」ことの重要性に気づき始めたのです。

内臓に負担がかかると、思わぬ箇所に影響が出てきます。内臓を休めて、体が治ろうとする力を最大限高めるようにするには、食べる量のコントロールがとても重要です。

昔のヨーロッパで流行った本にも「少食」の教えが

ヨガ関連の研究をするときはインドや東洋医学の本を読むことが多いのですが、食に関する研究をしていく中で、16世紀のイタリア人「ルイジ・コルナロ」さんの本が気になって読む機会がありました。

ルイジ・コルナロ氏は当時としては珍しく102歳まで健康に生きたそうで、その秘訣は「少食」にあったといいます。

1日トータル350gのパン・パン粥・卵・肉・野菜、そして400ccのワインを、2食に分けて摂っていたということですが、全ての人がこれにならう必要はなく、自分の適量や食べるべきものは、自分で試しながら見つけるのが良いということです。

彼の1日の摂取カロリーは1000kcalにも満たないでしょう。

それでも、頭も体も冴え渡って、幸福感の中で健康に生きていたようです。

ルイジ・コルナロ氏が「極少食」に至ったきっかけ

冒頭の写真にあるルイジ・コルナロ氏の著作「無病法」には、彼のいくつかの講話がまとめられています。

その最初の講話は、なんと彼が83歳のときのものです。さらに86歳・91歳・95歳のときの講話と続いていきます。

まずルイジ・コルナロ氏がいかにして「極少食」を始めることになったか、という話から始まっています。

彼は若い頃はとても不節制な生活をしており、35歳から45歳くらいの間から胃などに様々な症状が現れ、余命数ヶ月と言われるほどにまでなったようです。

その重病から回復するためには「食を厳しく節すること」が必要と指示され、やむなく食を最小限にしたことが始まりのようです。数日のうちにその食生活が自分に合っているのではないかと感じ、続けていくうちに1年ほどの間に全ての症状が消えていたといいます。

ここから読み取れるのは、一般的な視点からは「厳しい」と思われるような生活や修行も、本人は「なにか調子がいい」といった「快」の感覚があるから「自発的に続けられる」ということだと思います。数日のうちになにかしらの変化に気づいたというのは、重要なポイントです。たとえばヨガや瞑想などの習慣が続いている人は、そういう変化に気づくことができている、ということなのでしょう。

長年積み重ねて偏ったバランスを整えるにはそれなりの時間がかかることもありますが、「快」へ向かっていくアプローチに気づいて続けていくことで、難しい課題も根本的な解決に至るのだと思います。

このあたりは「操体法」の考え方も参考になります。

参考:操体法とヨガの比較 〜息・食・動・想・環を気持ちよく〜

ルイジ・コルナロ氏の「極少食」の教え

無病法」の本では、ルイジ・コルナロ氏の経験とともに、具体的にどのようなものを食べてきたか・食べないようにしてきたかといったことが述べられています。

基本的な考え方としては、「自分に合った食べ物だけを、少量食べる」ということです。

自分に合った食べ物を吟味するところから、探求は始まります。今まで長年食べてきたものが、じつは合っていなかったということもよくあることかもしれません。欧米で突然グルテンアレルギー・グルテンフリーといった話が出てきたのも、人々の意識が変化して気づきが高まった結果なのかもしれません。

思い込みを捨てて、いろいろ試しながら自分の心身の変化に気づく洞察力が必要になるでしょう。

この本は、ルイジ・コルナロ氏本人の文章の他に、現代科学の視点からその有効性を示すために多くの解説が書かれています。それらも参考にするのは良いかと思いますが、本人の文章から感じ取れるもののほうが重要かと思いますので、彼自身の長寿の経験から表現された言葉を、噛み締めてみてください。

断食(少食)をしながらも活発に動く

ルイジ・コルナロ氏の晩年の活動からも分かるように、ただ少食にして省エネルギーで穏やかに過ごすというのではなく、少食で整った心身があればとても活発な生活を送ることができるということでしょう。

私も2023年から何度か断食合宿に行き、完全な断食ではなく「極少食」という感じですが、2時間の山歩きや道場でのヨガなどをして活発に過ごす生活を体験しています。

参考:根府川道場のヨーガ断食合宿体験記

合宿に行くとき以外にも、私は日頃からたまに極少食にする日をつくったりしています。

その日は「食事をしなくてはいけない」とか「食後はおとなしくしていなくてはいけない」といった思考をする必要がなくなり、身体としても「消化吸収しなくてはいけない」という負担が減り、もちろん時間的にも余裕ができ、食事以外のことに心身のエネルギーが使えるようになるため、仕事や思考がはかどる感覚があります。

さらに物質世界への執着が減るため、思考はより微細なものへ変化していく感覚もあり、重要なひらめきを得られることもあります。多くの聖者が断食の末に悟りや超能力を得たというのは、そういう原理が関係しているのかと思います。

「食べなきゃいけない」という執着を一旦手放して、新しい習慣を試す

ヨガやアーユルヴェーダの古典などを見ても、健康を維持する・病気や怪我を治すための方法として、数千年前から少食や断食はすすめられています。

日本人も昔から粗食で健康を維持してきたはずなのですが、「1日3食しっかり食べる」という比較的新しい信仰がなぜか根強く、「食べない」ことへ抵抗を持っている日本人が多いように思えます。

まずは、たくさん食べてしまった次の日に、食べる量を減らしてみることから始めてみてはいかがでしょうか。

お腹が空いてどうしようもないときは、食物繊維があまり入っていないクリアタイプのフルーツジュースなどを飲むと、空腹はかなりなくなります。

1〜2日食べる量を減らしてみると、体調は回復してきますが、そのあといきなりドカンと大量に食べ始めないように、お粥など消化に良いものからだんだん増やしていきましょう。復帰の仕方を誤ると、余計に内臓を痛めます。

十分に内臓を休められたら、朝の目覚めの爽やかさも変わってくるはずです。

Amazon:無病法 極小食の威力/ルイジ・コルナロ

参考:根府川道場のヨーガ断食合宿体験記

参考:ヨガの選び方・食生活などの指針となる、アーユルヴェーダの「ドーシャ(ヴァータ・ピッタ・カパ)」とは

参考:食物の6味と6性質 〜今の体質(ドーシャ:ヴァータ・ピッタ・カパ)に合ったものを食べる、アーユルヴェーダの助言〜

男性ヨガインストラクター 高橋陽介の写真

by 高橋陽介

お読みいただきありがとうございます。他にもコラムを多数公開しています。
より知識を深めたい方には、オンラインプライベートレッスンを行っています。

コラムを探す オンラインレッスン

公式LINE レッスン料金 スケジュール

※記事内容は執筆当時の情報・見解によるもので、現時点では有効でない場合がございます。

※記事内容を参考にされて生じたトラブルなどについては、自己責任にてお願いいたします。

サイト内検索

コラムを探すページへ