クンダリニーヨーガ(クンダリーニヨガ)の研究のため、これまでサティヤナンダ氏の「クンダリニー・タントラ」を読み進めてきました。
参考:「クンダリニー・タントラ」をこれから読む方へ、目的別・読み進め方
ちなみにクンダリニーヨーガ Kundalini yoga(英語版)のWikipediaには、現代のクンダリニーヨーガの流派として、シヴァナンダ氏と、ヨーギ・バジャン氏がつくりあげた2つの系統が挙げられているようです。
「クンダリニー・タントラ」の著者であるサティヤナンダ氏は、シヴァナンダ氏の弟子です。
シヴァナンダ氏の著作も多く残されており、「クンダリニーヨーガ」という本が無料で公開されています。(サティヤナンダ氏の作品も以前は公開されていたのですが、今は有料版だけになっているようです)
参考書籍:KUNDALINI YOGA By SRI SWAMI SIVANANDA
この「シヴァナンダ氏のクンダリニーヨーガ」について、少し紹介していこうと思います。
クンダリニーヨーガ(クンダリーニヨガ)に関する研究は、以下のページにまとめています。
参考:クンダリーニヨガ(クンダリニーヨーガ)の研究まとめ|チャクラ・覚醒方法・危険性など
「クンダリニーヨーガ/シヴァナンダ(著)」の目次構成
目次は、大きく分けると以下のようになります。
- 冒頭部分
- 第1章 準備
- 第2章 クンダリニーヨーガの理論
- 第3章 ヨーガの実践
- 第4章 補遺
「冒頭部分」も結構なボリュームがあり、この部分にシヴァナンダ氏のクンダリニーヨーガのエッセンスが込められているように感じます。
祈りの言葉から始まり、シヴァンナンダ氏のクンダリニーヨーガの概要が示され、クンダリニー覚醒時にどんなことが起こるかといった説明や、ハタヨーガやラージャヨーガなど各ヨーガの道とクンダリニーの関係性が簡潔に示されています。
また、冒頭部分で早くも行法が示されており、非常に重要なプラーナーヤーマのやり方が説明されています。
人によっては、この冒頭部分の説明と行法だけでも、十分にクンダリニーヨーガが行えるのでしょう。ヨーガスートラなど他のヨーガの教典と同じようにこの本も、大きな一歩でゴールに至る道を示してから、人それぞれに合った細かいやり方をその後に示していくというような形をとっているようです。
「第1章 準備」では、食生活やヨーガを実践する環境など、クンダリニーヨーガを進めていく上での準備について述べられています。サティヤナンダ氏のクンダリニー・タントラでも、行法に入る前にこのような内容が詳しく示されていました。
参考:「クンダリニー・タントラ」を読む【15】第1章 6節-1:クンダリニーヨーガの準備
「第2章 クンダリニーヨーガの理論」では、シャリーラやナディやチャクラといった、ヨーガの微細な生理学について説明されています。
クンダリニー・タントラでも同様に、行法の前に各チャクラに関する詳しい説明が示されていました。
参考:「クンダリニー・タントラ」を読む【28】第2章 1節:チャクラ入門
「第3章 ヨーガの実践」では、まずシャットカルマの浄化法から始まり、プラーナーヤーマ、アーサナ、ムドラー&バンダという順番でハタヨーガの行法が説明されていきます。その後、マントラやバクティヨーガといった、ハタヨーガ以外の道も説明されています。
「第4章 補遺」では、過去の偉大なヨーギーの話や、ヨーガを実践する上でのヒントなど、様々なカテゴリーの情報が雑多に並べられています。最後には、クンダリニーヨーガに関する重要な教典とされる「ヨーガ・クンダリニー・ウパニシャッド」が載せられています。
Wikipedia:Yoga-kundalini Upanishad
ちなみにこの本のタイトルのすぐ後に、過去の偉大なヨーギーへの賛辞が書かれていますが、そこには以下のように書かれています。
OM
IN MEMORY
OF
PATANJALI MAHARSHI,
YOGI BHUSUNDA, SADASIVA BRAHMAN,
MATSYENDRANATH, GORAKHNATH, JESUS CHRIST,
LORD KRISHNA AND ALL OTHER YOGINS
WHO HAVE EXPOUNDED THE
SCIENCE OF YOGA
ヨーガスートラを編纂したパタンジャリから始まり、マツェンドラナータやゴーラクナータといったハタヨーガの重要人物の名前も見られ、そしてキリスト(JESUS CHRIST)もそこに入っています。
シヴァナンダ氏は、イエス・キリストに関する本も書いているようで、キリストとヨーガの関係性はよく扱われるテーマでもあります。
参考書籍:「イエスの生涯と教え 上巻: インドを旅したメシア (クリヤヨガ 出版)」スワミ・シヴァーナンダ (著)
「クンダリニーヨーガ/シヴァナンダ(著)」の特徴
サティヤナンダ氏の「クンダリニー・タントラ」は比較的平易な英語を用いて説明されていたのに対して、シヴァナンダ氏の「クンダリニーヨーガ」では、サンスクリット語の単語を用いて説明されていることも多く、サンスクリット語を調べながら読み進めていく必要がある場合もあります。
サンスクリット語には、その響き自体にも意味があり、ひとつの言葉でも文脈によって多くの意味を持つ場合があるため、単純に英語や日本語に訳すのが難しい場合も多いです。そのため、シヴァナンダ氏はあえてそのままサンスクリット語を用いた場面も多かったのでしょう。
また、サティヤナンダ氏の語り口は、忙しく多様化した現代人に合わせて親切に行法の指導が示されていますが、シヴァナンダ氏の文はよりシンプルで厳格・伝統的な雰囲気が漂います。どちらが合うかは、人それぞれかもしれません。
興味のある方は、無料で公開されていますので、冒頭部分だけでも読んでみると良いかと思います。