ヨガの技法の中には、「背骨を意識する」とか「チャクラに集中する」とか「丹田を中心にポーズを行うと安定する」とか、体の「真ん中」付近にあるものを用いることが多いです。
しかし「真ん中」は見たり触ったりできないので、意識しにくいという人も多いかと思います。
ヒントとしては、いきなり「真ん中」を意識する前に、まず「全体」を観るというのが有効な場合があるかと思います。
全体がわかれば、真ん中は自ずとわかるものです。
体の輪郭を観る
たとえば地球が丸いと知っていれば、真ん中がどこなのかは推測しやすいです。
でも世界が平べったいと思っていた時代の人は、真ん中がどこなのか全くわかりません。しかも地表のどこかに中心があるであろうと思い込んでいます。
全体の形がわかっていなければ、真ん中はわかりません。真ん中と思い込んでいた場所が、とんでもなく違う場所かもしれません。
世界はどんな形をしているのか?とにかく端まで行ってみよう!ということになります。
体の端を、注意深くたどってみましょう。
身長や肩幅などはわかりやすいですが、前後の幅などは普段あまり意識しないかもしれません。丹田の位置を把握するには、前後の幅も重要です。
足の前後の幅(これはみなさん知っているでしょう)、すねの前後の幅、太ももの前後の幅、骨盤の前後の幅、お腹の前後の幅、胸の前後の幅、首の前後の幅、頭の前後の幅、みんな異なります。
体の構造を観る
輪郭がわかっても、体の構造は均質ではなく、骨や筋肉や内臓など、硬い部分と柔らかい部分があります。
体を支えるのは主に骨です。骨の配置は、とても重要です。
骨が重力に対して偏って配置されていると、そのぶん筋肉が仕事をしなくてはならなくなります。
つまり姿勢が悪い人は、常に筋肉が忙しく仕事をさせられていることになります。
骨なんてよくわからないという人が多いかもしれませんが、チャクラなどとは違って、体を支えている骨はほぼすべて触ることができます。
触ってみて、骨がどう並んでいて、どのように体を支えているのか観察してみると良いでしょう。
自分の立ち方・座り方やヨガポーズが、どのように偏っているかに気づくために、体の構造を観察することは重要なヒントになります。
意識の分布を観る
体の輪郭と構造がなんとなく分かってきたところで、意識の分布を観察してみましょう。
意識は、日常生活において多くの場合、偏っています。
たとえばスマホを見ているときは、手と眼と、脳の情報処理をする部分などに、かなり意識が集中しているでしょう。
偏りが慢性化すると、病気などの症状として現れます。
意識が集中しすぎれば凝りや熱になり、意識が向けられていないところは力がなくなって、冷えたり機能が衰えたりします。
立っているとき、座っているとき、自分の意識はどこに集中しているのか、どこがおろそかになっているのか、観察してみましょう。
サーモグラフィのようなイメージや、オーラのようなもやもやしたものをイメージしてみるのも有効です。
意識の分布をコントロールする
意識を集中すると、そこにエネルギーが流れ、その部分の働きは活発になります。
しかし集中し続けるとそれは偏りとなり、慢性化すると病気になります。
偏っていることにまず気づき、全体を意識したり、チャクラなどのポイントを意識したり、スシュムナーなどの流れを意識したり、自在に意識の分布をコントロールできるように練習していくと良いでしょう。
いきなりチャクラなどの「真ん中」を意識することが難しい場合は、まずわかりやすい場所から、「意識する」ということを練習してみましょう。
手のひらや指先など、触ったり見たりできる部分に意識を集中してみるのも良いでしょう。集中したところが濃くなっていくような、オーラをイメージしてみるのも良いかもしれません。
胃腸の調子が悪いときは、お腹に手を当てて、胃腸が健康に働いている状態をイメージしながらゆっくり呼吸していると、実際にそのようになっていきます。やさしい雰囲気のオーラが内臓を包むようなイメージを用いると、より効果が出るかもしれません。
普段、内臓などに意識を向けることは少ないかもしれません。しかし気づかないところで意識の分布をコントロールしてくれている、潜在意識がいます。その意識は、内分泌腺・ホルモンのような形で具現化しています。意識はひとつではなく、いくつもの意識が重なり合って、人間は活動しています。
それらの意識がうまく連携して、よりよい活動ができるように、偏った集中をするよりもまずは全体に意識を向けてみるのも良いヒントになるかと思います。