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「クンダリニー・タントラ」を読む【51】第3章 14節 前半:クリヤーヨーガの実践(プラティヤーハーラ)

「クンダリニー・タントラ」を読む【51】第3章 14節 前半:クリヤーヨーガの実践(プラティヤーハーラ)

20種類のクンダリニー・クリヤーヨーガ、No.1〜9の実践(プラティヤーハーラ)

「クンダリニー・タントラ/スワミ・サティヤナンダ・サラスワティ著」を読み進めていく形で、クンダリーニヨガ(クンダリニーヨーガ)の概要を紹介していく連載記事です。

「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)

参考:クンダリニーヨーガ(クンダリーニヨガ)の研究まとめ

今回は、第3章の14節、クンダリニー・クリヤーヨーガの分類と、プラティヤーハーラの実践(クリヤー No.1〜9)に関する部分です。

以下、引用部分の太字強調は私が個人的に重要と思ったところを示したものです。

この記事の目次

クンダリニークリヤーの分類

The practices are divided into three groups: those which induce pratyahara, those which induce dharana, and those which induce dhyana.

ここから示されていく20のクリヤーは、プラティヤーハーラ(制感)、ダーラナー(集中)、ディヤーナ(瞑想)をそれぞれ実践するための3つのグループに分けられています。

これらはヨーガスートラの8支則でいうところの第5・6・7段階にあたります。

参考:ヨーガスートラ解説 2.28-2.32 〜アシュターンガヨーガとヤマ・ニヤマ〜

1〜9がプラティヤーハーラ、10〜19がダーラナー、20がディヤーナの実践というように分けられています。

It should be noted that these three states are actually a continuity of evolution, that is, the consciousness flows from one to the next without any apparent dividing point – so these practices should be done in an unbroken sequence.

これらの3つの段階は連続した進化の過程でもあり、意識の進化の流れは分断されることなく連続的に起こるため、これから示される行法も途切れることなく順番に行っていく必要があると指示されています。

また、前の項で示されたように、1週間ごとに1つのクリヤーを新しく追加していく形で進めていきます。

前記事:「クンダリニー・タントラ」を読む【50】第3章 13節:クンダリニークリヤーの一覧と進め方

各クリヤーを行う回数や長さに関しては、フルで行う場合と、時間がない人のために減らした回数が前記事で示されていたので、それらを各行法の末尾に書いておきます(一つだけ書かれている場合は、減らして行わずフルと同じ回数行います)。

行法のやり方を注意深く見ていくと、今まで行ってきたものを組み合わせて行っているものが多く、これまでの練習がクリヤーヨーガの準備になっていたことがわかるかと思います。

1. ヴィパリータ・カラニー・ムドラー

ヴィパリータカラニー・アーサナを行います。サルヴァンガーサナと異なり、アゴは胸につかないようにします。ウジャイ・プラーナーヤーマで呼吸します。

脚はしっかり垂直に保ち、目を閉じます。

ウジャイ呼吸で吸いながら、臍のマニプーラチャクラから喉のヴィシュッディチャクラへと、ネクターの熱い流れが下ってくるのを感じます。ネクターは、ヴィシュッディチャクラに蓄えられます。

数秒間息を止め、ヴィシュッディチャクラに蓄えられたネクターが冷まされていくのを感じます。

ウジャイ呼吸で吐きながら、ネクターがヴィシュッディチャクラからアージュニャーチャクラビンドゥサハスラーラへ伝っていくのを感じます。その流れは、呼吸によって導かれます。

息を吐き終わったら、すぐに気づきをマニプーラチャクラへ戻し、繰り返します。繰り返すごとに、よりたくさんのネクターがヴィシュッディチャクラへ流れ下り、最終的にサハスラーラに至るのを感じます。

フルは21回、減らして行う場合は11回行います。

2. チャクラ・アヌサンダナ

シッダーサナ(男性)、シッダヨーニアーサナ(女性)またはパドマーサナで坐り、目を閉じて、自然に呼吸します。この行法では、呼吸と意識の動きは関係ありません。

意識をムーラーダーラチャクラへ向けます。

意識をゆっくりと、体の前面のアローハンを通って各チャクラのクシェートラムを通過しながら、恥骨→臍→胸骨→喉→後頭部のビンドゥへと上げていきます。

各ポイントを通過するごとに、頭の中で「ムーラーダーラ、スワディシュターナ、マニプーラ、アナーハタ、ヴィシュッディ、ビンドゥ」と唱えます。

次に、ビンドゥから背骨のアワローハンを通って意識を下へおろしていきます。頭の中で「アージュニャー、ヴィシュッディ、アナーハタ、マニプーラ、スワディシュターナ、ムーラーダーラ」と唱えながら行います。

ムーラーダーラチャクラに達したら、再びアローハンを上がっていき、同じように繰り返します。

これを9回行います。

3. ナーダ・サンチャラナ

シッダーサナ(男性)、シッダヨーニアーサナ(女性)またはパドマーサナで坐ります。目は開けたままにします。

リラックスして首を前へ曲げます。アゴは強く胸に押し当てないようにします(ジャーランダラバンダのようにはしない)。

ムーラーダーラチャクラに意識を向け、頭の中で「ムーラーダーラ、ムーラーダーラ、ムーラーダーラ」と唱えます。

吸う息で、アローハンを通って意識を上げて行きます。スワディシュターナ、マニプーラ、アナーハタ、ヴィシュッディ、ビンドゥへ至る道のりを、それぞれのチャクラの名前を頭の中で唱えながら上がっていきます。

息を吸い終わる最後の、ヴィシュッディからビンドゥへ上がるところで顔を上げていき、20°くらい上を見上げるように頭を後ろへ少し傾けます。

息を止めて、意識をビンドゥに置き、頭の中で「ビンドゥ、ビンドゥ、ビンドゥ」と唱えます。

「ビンドゥ」と唱えるたびに、気づきの力は高まり、その力は突然「Om」の言葉として表れます(これは実際に言葉として発されます)。その力は、意識をアワローハンと通ってムーラーダーラチャクラへと下らせます。

「O」の音は突然で爆発的に表れ、「m」の音は長く続き、意識がムーラーダーラチャクラに至るころにはほとんど蜂の羽音のようなハミングの音になります。

意識が下がっていくにつれて、目は徐々に閉じていき、ウンマニームドラーと同じ状態に至ります。

Omの音とともにアワローハンを通して意識が下がっていくとき、意識はアージュニャー、ヴィシュッディ、アナーハタ、マニプーラ、スワディシュターナへそれぞれ気づきを向けながら下っていきますが、ここでは頭の中でチャクラ名を唱えません。

息を吐ききってムーラーダーラチャクラに至ったとき、頭を前へ垂らし、目を開けます。

頭の中で「ムーラーダーラ、ムーラーダーラ、ムーラーダーラ」と唱えながら、息を止めます。

そして再び吸い始め、同じように繰り返します。

フルで13回、減らして行う場合は5回行います。最後は「ムーラーダーラ、ムーラーダーラ、ムーラーダーラ」と唱えるところで終わります。

4. パワン・サンチャラナ

パドマーサナまたはシッダーサナ(男性)、シッダヨーニアーサナ(女性)で坐り、目は閉じたままにします。

この行法の間は、ケーチャリームドラーを保ちます。

息を吐ききって、首を前へリラックスして曲げます。(指示はありませんが、繰り返しのやり方から察するに、ここで目を開けるのかと思われます)

ムーラーダーラチャクラへ意識を向け、頭の中で「ムーラーダーラ、ムーラーダーラ、ムーラーダーラ」と唱えます。

次に、頭の中で「アローハン」と1回唱え、微かなウジャイ呼吸で吸いながら、体の前側を通って意識を上げていきます。通過するチャクラの名前を頭の中で唱えながら、上がっていきます。

先ほどのナーダ・サンチャラナと同様に、息を吸い終わる最後の喉→ビンドゥの過程で顔を上げていき、20°くらい上を見上げるように頭を後ろへ少し傾けます。

意識をビンドゥに置いて、頭の中で「ビンドゥ、ビンドゥ、ビンドゥ」と唱えます。

そして「アワローハン」と頭の中で唱えて、ウジャイ呼吸の吐く息で、背骨を通って下っていきます。通過するチャクラの名前を唱えながら下りていき、下っていくにつれて目を少しずつ閉じていってウンマニームドラーの状態になります。ムーラーダーラチャクラに至った時に目は閉じられます。

その後、目を開けて、首を再び前へリラックスして曲げます。頭の中で「ムーラーダーラ、ムーラーダーラ、ムーラーダーラ」と唱えます。

再びウジャイ呼吸で吸いながら意識をアローハンを通して上げていき、繰り返します。

フルで49回、減らして行う場合は11回行います。

「ムーラーダーラ、ムーラーダーラ、ムーラーダーラ」と唱えて目を開けるところで終わります。

5. シャブダ・サンチャラナ

これはSO-HAM(ソーハム)瞑想を応用したクリヤーです。

シッダーサナ(男性)、シッダヨーニアーサナ(女性)またはパドマーサナで坐り、この行法の間は目を開けて、ケーチャリームドラーを続けます。

息を完全に吐いて、首をリラックスして前へ曲げ、ムーラーダーラチャクラに意識を数秒間置きます。

ウジャイ呼吸で息を吸いながら、アローハンを通して意識を上げていきます。

意識を上げていく間、息を吸う音が「so」のマントラの音を成しているイメージをします。同時に、通過するクシェートラムに気づきを向けます(チャクラ名は唱えません)。

吸う息の最後、ヴィシュッディからビンドゥへの道筋を通るときに顔を上げていき、20°くらい上を見上げるように頭を後ろへ少し傾けます。

吸いきったら息を止めて、ビンドゥに意識を数秒間置きます。

吐き始めたら、アワローハンを下っていきながら徐々に目を閉じていくウンマニームドラーを行い、息を吐く音が「ham」のマントラの音を成しているイメージをします。

通過する各チャクラに気づきを向けます(チャクラ名は唱えません)。

ムーラーダーラチャクラに至ったら、目を開けて、首を再び曲げます。

再びウジャイ呼吸で息を吸いながら、アローハンを上がっていきます。

フルで59回、減らして行う場合は11回行います。

6. マハームドラー

このクリヤーは、完全なシッダーサナ(男性)、シッダヨーニアーサナ(女性)またはウッタンパーダーサナで行います。

シッダーサナまたはシッダヨーニアーサナで行う、マハームドラー

下側の足のかかとはしっかりとムーラーダーラチャクラを押します。

ケーチャリームドラーを行い、息を完全に吐いて、首を前へ曲げます。目は開けておきます。

頭の中で「ムーラーダーラ、ムーラーダーラ、ムーラーダーラ」と唱えます。

ウジャイ呼吸で吸いながら、アローハンを上がっていき、通過するクシェートラムに気づきを向けます(各チャクラ名を頭の中で唱えても良い)。喉からビンドゥに上がるところで顔を上げていき、20°くらい上を見上げるように頭を後ろへ少し傾けます。

ビンドゥに至ったときに、頭の中で「ビンドゥ、ビンドゥ、ビンドゥ」と唱えます。

息を止めて、ムーラバンダシャーンバヴィームドラーを行います。

そこで「シャーンバヴィー、ケーチャリー、ムール」と順番に唱えながら、「シャーンバヴィー」で眉間へ、「ケーチャリー」で軟口蓋と舌が接している点へ、「ムール」でムーラーダーラチャクラへ、意識を向けます。

最初のうちは、この意識の移動を3回繰り返します。熟練してきたら、12回まで増やします。

そしてシャーンバヴィームドラーを解き、次にムーラバンダを解きます。

意識をビンドゥへ戻し、吐く息でアワローハンを下っていきます(各チャクラ名を頭の中で唱えても良い)。ムーラーダーラチャクラに至ったら、再び首を前へ曲げます。「ムーラーダーラ、ムーラーダーラ、ムーラーダーラ」と唱えます。

再びウジャイ呼吸で吸いながら、アローハンを上がっていきます。

フルでは12回、減らして行う場合は6回行います。「ムーラーダーラ、ムーラーダーラ、ムーラーダーラ」と唱えるところで終わります。

ウッタンパーダーサナで行う、マハームドラー

ウッタンパーダーサナで行う場合は、少し動作が加わります。(指示はありませんが、片脚は伸ばして両手は膝の上に置き、もう片方の脚は曲げて、そのかかとの上に会陰をのせて坐り、首を前に曲げた状態から、上記と同様に始めます。)

ムーラーダーラチャクラに意識を置き、ウジャイ呼吸で吸いながらアローハンを上がっていき、吸い終わってビンドゥに至り「ビンドゥ、ビンドゥ、ビンドゥ」を唱えた後、体を前へ傾けて、伸ばした足の親指を両手でつかみます。伸ばした脚は、膝を曲げないように保ちます。

ここでムーラバンダとシャーンバヴィームドラーを行い、「シャーンバヴィー、ケーチャリー、ムール」と順番に唱えながら、「シャーンバヴィー」で眉間へ、「ケーチャリー」で軟口蓋と舌が接している点へ、「ムール」でムーラーダーラチャクラへ、意識を向けます。3〜12回繰り返します。

シャーンバヴィームドラーを解き、次にムーラバンダを解き、ウッタンパーダーサナを解き(膝は伸ばしたまま)両手を膝の上に置きます。

意識をビンドゥへ戻し、ウジャイ呼吸で吐きながらアワローハンを下っていき、徐々に目を閉じていきウンマニームドラーを行います。

ウッタンパーダーサナでマハームドラーを行う場合は、右脚を伸ばして4回、左脚を伸ばして4回、両脚を伸ばして4回行うようにします。

2つのやり方における効果の違い

シッダーサナ(シッダヨーニアーサナ)、ウッタンパーダーサナ、どちらのやり方も、しっかりとカカトでムーラーダーラチャクラを刺激することができれば、同様に効果があるといいます。

もしシッダーサナで坐ることができるならそれで行い、難しいならばウッタンパーダーサナを用いよ、と指示されています。

クリヤーヨーガの行法は、行っていると眠くなることがよくありますが、ウッタンパーダーサナで行うバリエーションは、その眠気を払うために有効であるといいます。

7. マハーベーダムドラー

このクリヤーはマハームドラーと同様に、完全なシッダーサナ(男性)、シッダヨーニアーサナ(女性)またはウッタンパーダーサナで行います。

シッダーサナまたはシッダヨーニアーサナで行う、マハーベーダムドラー

ケーチャリームドラーを行い、目は開けたまま、首を前に曲げます。

頭の中で「ムーラーダーラ、ムーラーダーラ、ムーラーダーラ」と唱えます(指示はありませんが、ムーラーダーラチャクラに意識を置きながら)。

ウジャイ呼吸で息を吸い、アローハンを通ってビンドゥへ意識を上げていきます。ヴィシュッディからビンドゥへ至る過程で、頭を上げます。頭の中で「ビンドゥ、ビンドゥ、ビンドゥ」と唱えます。

ウジャイ呼吸で吐きながら、アワローハンを通って意識を下げていき、徐々に目を閉じるウンマニームドラーを行います。確実に各チャクラを通過するようにしていきます。

吐ききったところで、首を前に曲げてアゴを胸の真ん中につけるジャーランダラバンダを行って息を止めます。そしてムーラバンダ、ウディヤナバンダ、ナシカグラ・ドリシュティも行います。頭の中で「ナシカグラ、ウッディヤナ、ムーラ」と唱え、ナシカグラ:鼻先、ウッディヤナ:臍、ムール:ムーラーダーラチャクラへとそれぞれ意識を向けます。このサイクルを3〜12回行います(最初は3回行い、慣れてきたら少しずつ増やしていく)。

ナシカグラ・ドリシュティ、ムーラバンダ、ウディヤナバンダ、ジャーランダラバンラを解きますが、頭は下げたままにしておきます(ジャーランダラバンダとは異なる、リラックスして首を前に曲げた状態)。

意識をムーラーダーラチャクラに戻し、頭の中で「ムーラーダーラ、ムーラーダーラ、ムーラーダーラ」と唱えます。

再びウジャイ呼吸で吸いながら、アローハンを上がっていきます。

フルで12回、減らして行う場合は6回行います。

ウッタンパーダーサナで行う、マハーベーダムドラー

マハームドラーをウッタンパーダーサナで行った場合は、マハーベーダムドラーもウッタンパーダーサナで行います。

片脚を伸ばし、もう片脚は曲げてカカトの上に会陰を乗せて坐ります。両手は膝の上に置いて始めます。

やり方は上記とほぼ同じで、以下の動きが加わります。ウジャイ呼吸で吐ききったところで上半身を前に倒し、両手で伸ばした足の親指をつかみます。そこでジャーランダラバンダ、ムーラバンダ、ウディヤナバンダ、ナシカグラ・ドリシュティを行います。これらを解くときに、上半身を立たせて、手は膝の上に戻します。

右脚を伸ばして4回、左脚を伸ばして4回、両脚を伸ばして4回行います。4回目が終わって脚を入れ替える前に、ウジャイ呼吸でアローハンを上がりビンドゥに至ったら「ビンドゥ、ビンドゥ、ビンドゥ」と頭の中で唱え、ウジャイ呼吸でアワローハンを下がってムーラーダーラチャクラに至ったら「ムーラーダーラ、ムーラーダーラ、ムーラーダーラ」と頭の中で唱えます。その後、リラックスして脚を入れ替えます。

注意点とコツ

全てのバンダは、正しい順番で正確に行うようにします。最初のうちはそこにかなり意識を使うことになりますが、練習を続けることで次第に意識することなく自動的にバンダが働くようになります。

鼻先を凝視することは、全てのバンダを強くすることに役立つので、ナシカグラ・ドリシュティとバンダは同時に行われるようにし、3点に意識を移していくときも全てのバンダはキープするようにします。ただし、力まないように行います。

目に痛みや不快感がある場合は、ナシカグラ・ドリシュティは一旦やめて、バンダと意識の移動は続けるようにします。目の筋肉がだんだん慣れてきたら、ナシカグラ・ドリシュティを行う時間を長くしていきます。

行法の開始時に唱えたように、バンダを行う前にも「ムーラーダーラ」を3回唱えて行うこともできます。

また、アローハン、アワローハンを通って意識を動かすときに、通過する各クシェートラム、各チャクラの名前を頭の中で唱えながら行うこともできます。

8. マンドゥーキ・クリヤー

バドラーサナで坐ります。目は開けたままにしておきます。

ムーラーダーラチャクラより下のエリア(会陰周辺)は、床に接しているようにします。もしそれが難しいようであれば、クッションなどを下に敷いて、会陰がそこにあたるようにして坐ります。

手を膝の上に置き、鼻先を凝視してナシカグラ・ドリシュティを行います。鼻孔を通り抜ける、自然な呼吸の流れに気づきを向けます。吸うときは、息は両鼻から入り、眉間で出会います。吐くときは、眉間から両鼻へと出ていきます。息が、逆V字型を描くのを感じます。

同時に、全ての匂いに意識を向けます。このクリヤーのポイントは、アストラル体が発するサンダルウッドのような香りを感じ取ることであるといいます。

目が疲れたら、目を閉じてしばらく休んだ後、再び目を開けてナシカグラ・ドリシュティを再開します。

このクリヤーに陶酔するような状態になるまで続けます。ただし、完全に夢中になってやめたくなくなるほどまでは、続けないように気をつけます。

前記事で指示されている長さは、1〜3分となっています。

9. タダン・クリヤー

パドマーサナで坐り、目を開けたままにしておきます。お尻の横の床に、指を前へ向けて手を置きます。

頭を少し後ろへ傾けて、眉間を凝視するシャーンバヴィームドラーを行います。

口から、喉を通る息の音を出しながらウジャイ呼吸で吸います。吸う息は、口からムーラーダーラチャクラにつながっている管を通って下りていくようなイメージをします。その息は、ムーラーダーラチャクラに集められます。

息を止めて、ムーラーダーラチャクラに意識を置き、ムーラバンダを行います。

手で床を押して、体を持ち上げます(ウップルティヒのような形で、頭は少し上げて両目は眉間を凝視している状態)。

そこから体をやさしく下ろして床に打ちつけ、ムーラーダーラチャクラに刺激が加わるようにします。これを数回(最初は3回ほどから、慣れたら11回まで増やす)繰り返します。速く荒っぽく行わないように、やさしく行います。

3〜11回、打ちつける動きを行った後、鼻からゆっくりとウジャイ呼吸で息を吐きます。この吐く息は、ムーラーダーラチャクラに蓄えられた息が全方向へ拡散するように感じられます。

この流れを7回繰り返します。

次記事:「クンダリニー・タントラ」を読む【52】第3章 14節 後半:クリヤーヨーガの実践・ダーラナー&ディヤーナ

前記事:「クンダリニー・タントラ」を読む【50】第3章 13節:クンダリニークリヤーの一覧と進め方

参考文献

「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「密教ヨーガ―タントラヨーガの本質と秘法」本山 博 (著)

「クンダリニー」ゴーピ・クリシュナ (著), 中島巌 (翻訳)

「Asana Pranayama Mudra Bandha 英語版」Swami Satyananda Saraswati (著)

男性ヨガインストラクター 高橋陽介の写真

高橋陽介

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