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「クンダリニー・タントラ」を読む【50】第3章 13節:クンダリニークリヤーの一覧と進め方

「クンダリニー・タントラ」を読む【50】第3章 13節:クンダリニークリヤーの一覧と進め方

クンダリニー・クリヤーヨーガの行法一覧、行う長さ・回数、進め方のヒント

「クンダリニー・タントラ/スワミ・サティヤナンダ・サラスワティ著」を読み進めていく形で、クンダリーニヨガ(クンダリニーヨーガ)の概要を紹介していく連載記事です。

「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)

参考:クンダリニーヨーガ(クンダリーニヨガ)の研究まとめ

今回は、第3章の13節、クンダリニークリヤーの一覧と進め方に関する部分です。

以下、引用部分の太字強調は私が個人的に重要と思ったところを示したものです。

この記事の目次

クンダリニークリヤーの進め方

ここまで第3章では、チャクラに関する行法が示されてきました。ここからはクリヤーヨーガの実践に入っていきます。

この節では、クンダリニークリヤーの行法一覧と、進め方についてまとめられています。

The following tantric kriyas provide what is possibly the most efficient method for systematically evolving man’s consciousness that has ever been developed. They are said to have been the teachings for the transcendental sadhana which Lord Shiva gave to his disciple and wife, Parvati.

ここから示されるタントラのクリヤーは、人間の意識を進化させるために最も効果的で体系化された行法であり、これはシヴァ神がその弟子と妻パールヴァティに教えたものであるといわれています。

シヴァ神は頭頂のサハスラーラにいて、パールヴァティはクンダリニーの化身で骨盤底に眠っている状態です。

By tradition, kriya yoga was never taught publicly. The kriyas were always communicated verbally from guru to disciple. It is only in recent years that these kriyas have been published in accordance with the needs of this era.
These kriyas are rather advanced and too powerful for the average aspirant. Before an aspirant takes up their practice, he should have a thorough familiarity with and practical experience of all the preliminary practices included in the book.

クリヤーヨーガは、伝統的には一般に広く教えられるものではなく、常に師匠から弟子へ口頭で教えられるであったといいます。近年、その必要性が高まったために、書籍などでも伝えられるようになったということです。

クリヤーヨーガは一般の人にとっては強力すぎるものであり、この本で示されてきたように慎重に準備の行法をしてから始めるべきであるといいます。できれば信頼できる師匠のもとで、準備が整っていると判断を受けた上で、始めるのが良いとされます。

可能であればアシュラムに滞在し、高度なクリヤーヨーガを始めるための、1ヶ月間のイニシエーションを受けるのが良いであろうと指示されています。

準備や環境の整え方、アシュラムの環境については、以下の記事で解説されています。

参考:「クンダリニー・タントラ」を読む【16】第1章 6節-2:どのように修行を進めるか

クンダリニークリヤーの準備

It is essential that one has developed sensitivity to the positions of the chakras and kshetram by practising the techniques given for the individual chakras (chapters 4 to 10), and also the techniques for integrated chakra awareness (chapter 11). This sensitivity should be such that you can feel them both physically and mentally.

You should also know the position of the two psychic pathways known as arohan and awarohan. They are explained in the practice called “Bija mantra sanchalana” in chapter 11.

各チャクラとそのクシェートラムの位置への感覚(4〜10節)は、しっかりと身につけておく必要があります。そして各チャクラを統合する意識(11節)も磨いておく必要があり、その感覚は物理的にも心理的にも可能であるようにしておく必要があるといいます。

チャクラは物理的な臓器や背骨とも関係していますが、その位置と働き・エネルギーの流れなどは、明確なイメージによる把握ができるようになっておく必要がある、といった意味かと思います。

11節で示された、アローハンとアワローハンという2つのエネルギーラインは、クンダリニークリヤーでよく用いられるため、ビージャマントラ・サンチャラナの行法で確認しておくべしと指示されています。

参考:ビージャマントラ・サンチャラナのやり方

These practices are all fully described in the chapters indicated and it is essential that you master them. If you try to learn kriya yoga without first of all perfecting them, then you will find the actual kriya techniques very difficult to follow and you will get very little benefit from them.

クリヤーヨーガに入る前に、以下の行法はマスターしておくべしと指示されています。クリヤーはとても高度なものもあり、これらの基本的な行法をマスターする前にクリヤーを始めたとしても、得るものは少ないであろうと示されています。

以下に、行法名とリンクを並べておきます。

クリヤーの学び方

It is not possible to learn all the kriyas at once. Therefore, we suggest that you learn each kriya sequentially, spending at least one week mastering each kriya, and progressively adding each new kriya to those already learned.

全てのクリヤーを一度に学ぶことはできないので、ひとつのクリヤーをマスターするために少なくとも1週間を費やし、そこに次のクリヤーを追加していくようにしていくべし、と指示されています。

20のクリヤーを20週間で学んでいくことになりますが、それらを全て完璧に行えるようになるには、さらに数ヶ月はかかることもあるといわれます。

各クリヤーを行う長さ・回数

As you progressively add more and more kriyas to your practice program, the time required for daily practice will increase. Eventually, after mastering all the kriyas, your daily practice of the 20 kriyas, with the required number of rounds, will take between 2 and 2 and a half hours.

20のクリヤーを、1週間ごとに1つ追加して行っていくと、どんどん数は増えて、実践の時間は長くなっていきます。

それぞれのクリヤーを適切な長さ・回数で行った場合、20のクリヤーを行うのに2〜2.5時間はかかるといわれます。

それだけの時間が取れるならベストな効果が期待できますが、ほとんどの人にはそれだけの時間がとれないであろうということで、減らして行う場合の長さ・回数も指示されています。減らした場合は、1〜1.5時間の長さになるといいます。

ただし、新しく学ぶ際の1週間は、そのクリヤーはフルの長さ・回数を行うようにせよと示されています。

以下に、「クリヤー名:フルの回数・減らした回数」という形で並べていきます。(次節以降、行法の解説を書いた後に、リンクも貼っていきます)

  1. ヴィパリータカラニー・ムドラー:21・11
  2. チャクラ・アヌサンダナ:9・9
  3. ナーダ・サンチャラナ:13・5
  4. パワン・サンチャラナ:49・11
  5. シャブダ・サンチャラナ:59・11
  6. マハームドラー:12・6
  7. マハーベーダムドラー:12・6
  8. マンドゥーキ・クリヤー:1〜3分・1〜3分
  9. タダン・クリヤー:7・7
  10. ナウムクヒ・ムドラー:5・5
  11. シャクティ・チャーラニー:5・5
  12. シャーンバヴィー:11・5
  13. アムリト・パン:9・9
  14. チャクラ・ベーダン:59・11
  15. スシュムナー・ダルシャン:-・-
  16. プラーナ・アフティ:1分・1分
  17. ウッタン:2〜3分・2〜3分
  18. スワルーパ・ダルシャン:2〜3分・2〜3分
  19. リンガ・サンチャラナ:2〜3分・2〜3分
  20. ディヤーナ:-・-

クンダリニークリヤーを実践する上でのヒント

1. Do not strain physically or mentally under any circumstances, or you may experience negative side-effects. This applies particularly in the case of kriyas such as maha mudra, maha bheda mudra, tadan kriya, naumukhi and shakti chalini. Regular daily practice will gradually bring such changes into the mind and body, that after some time, you will be able to practise the kriyas almost effortlessly.

どんな状況でも、身体的・心理的に力みのないようにします。力みは、悪い副作用をもたらします。

とくに、マハームドラー、マハーベーダムドラー、タダン・クリヤー、ナウムクヒ、シャクティ・チャーラニーにおいては、力まないように気をつけます。

練習を重ねることで、少しずつ心と体は変化していき、いずれは全てのクリヤーを容易に実践できるようになっていくといいます。

2. Do not hold your breath for longer than is comfortable. In many of the kriyas, such as maha mudra and maha bheda mudra, most people will initially find difficulty in completing a full round in one respiration cycle without strain or suffocation. In the beginning, it may be necessary to break in the middle of each round, or to take a short rest at the end of each round and take a few normal breaths. As you develop the capacity to hold the breath for longer periods, and to control inhalation and exhalation, this concession may be disregarded.

息を止めるクリヤーもたくさん出てきますが、止める時間を無理に長くせず、快適にできる範囲で行うようにします。

たとえばマハームドラー、マハーベーダムドラーなどは、最初は難しいかもしれませんが、短い休憩をとるなどして、呼吸を整えてから再開するようにします。

練習を重ねるにつれて、少しずつ息を止めていられる時間を長くしていくことができます。

3. After long inner breath retentions, it is best to breathe in slightly before breathing out. In many of the kriyas, such as maha mudra, maha bheda mudra, naumukhi and shakti chalini, where the breath is held inside for prolonged periods, there is a tendency for the lungs to lock. The best way to overcome this problem and release the lungs, is to breathe in slightly before breathing out. This will make the kriyas much easier to do.

息を吸って、長く止めた後は、「吐き出す前に少しだけ息を吸う」のが良いといいます。

マハームドラー、マハーベーダムドラー、ナウムクヒ、シャクティ・チャーラニーなどの実践において、長い時間息を止めていると、肺がロックするような傾向があり、それを解決するために「吐き出す前に少しだけ息を吸う」のが有効であるとされます。

4. While learning each kriya, check that you are doing all the steps and that they are being done correctly.

クリヤーを学ぶ際は、しっかりと全てのステップを踏んで、正しくできているかを確認しながら行うべし、と指示されています。

次記事:「クンダリニー・タントラ」を読む【51】第3章 14節 前半:クリヤーヨーガの実践(プラティヤーハーラ)

前記事:「クンダリニー・タントラ」を読む【49】第3章 12節:チャクラ覚醒の行法一覧と進め方

参考文献

「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「密教ヨーガ―タントラヨーガの本質と秘法」本山 博 (著)

「クンダリニー」ゴーピ・クリシュナ (著), 中島巌 (翻訳)

「Asana Pranayama Mudra Bandha 英語版」Swami Satyananda Saraswati (著)

男性ヨガインストラクター 高橋陽介の写真

by 高橋陽介

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