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「クンダリニー・タントラ」を読む【44】第3章 7節:マニプーラチャクラの覚醒方法

「クンダリニー・タントラ」を読む【44】第3章 7節:マニプーラチャクラの覚醒方法

臍付近の第3チャクラ、マニプーラチャクラの覚醒方法

「クンダリニー・タントラ/スワミ・サティヤナンダ・サラスワティ著」を読み進めていく形で、クンダリーニヨガ(クンダリニーヨーガ)の概要を紹介していく連載記事です。

「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)

参考:クンダリニーヨーガ(クンダリーニヨガ)の研究まとめ

今回は、第3章の7節、マニプーラチャクラ覚醒の行法のやり方に関する部分です。

マニプーラチャクラ自体の詳しい説明は、以下の記事を参考にしてください。

参考:マニプーラチャクラの解説

以下、引用部分の太字強調は私が個人的に重要と思ったところを示したものです。

この記事の目次

マニプーラチャクラ覚醒の流れ

There are several methods of awakening manipura chakra. According to hatha yoga, manipura is directly connected with the eyes. Ajna chakra and manipura chakra are very closely related to one another in the same way that vision and willful action are interdependent processes. Therefore, the practice of trataka brings about manipura awakening as well as ajna chakra awakening.

マニプーラチャクラの覚醒には、いくつかの方法があります。ハタヨーガによれば、マニプーラは直接「目」につながっているといいます。「見る」ことと「行動すること」が関係しているのと同じように、「第三の目」とも呼ばれるアージュニャーチャクラとマニプーラチャクラは、密接に関係していると説明されています。

そのため、アージュニャーチャクラの覚醒方法として用いられたトラータカは、マニプーラチャクラの覚醒をも導く行法であるといわれます。

manipura is the center of the digestive fire, disorders of the gastrointestinal system are corrected by manipura sadhana.

タントラの教えには特定の食生活に対立する考えが含まれているわけではありませんが、マニプーラチャクラの覚醒を目指す際には、食事は非常に純粋なものである必要があり、特定の修行の段階にいたっては断食もまた必要であろう、と述べられています。

適切ではない食生活の状態でマニプーラチャクラが覚醒した場合、その反応は有害なものになる可能性があるといいます。

マニプーラチャクラは消化の火を司るセンターであり、胃腸の不調はマニプーラチャクラ覚醒の行法によって治るといわれます。

The major constituents of manipura sadhana are uddiyana bandha and nauli kriya.

マニプーラチャクラ覚醒の行法のなかで主要なものは、ウディヤナバンダナウリ・クリヤーです。

ウディヤナバンダは、腹部の強い収縮と腹筋の制御による技法で、小腸や大腸やその他の消化器官全体をコントロールするものです。ウディヤナバンダを完璧に行えれば、肝臓、胆嚢、脾臓、膵臓、胃の働きが調和していき、それらの相互作用がコントロールされていくといいます。

しかしウディヤナバンダの前に、アグニサル・クリヤーをまずマスターしておくべきであると指示されています。

Nauli kriya is the control of the rectus abdomini muscles and churning of the whole abdomen.

ナウリ・クリヤーは、腹直筋のコントロールによって腹部全体をかき回すような行法です。

これは難しい行法なので、マスターするには時間を要するといわれます。しかしナウリをマスターすると、後にでてくるプラーナとアパーナの結合が容易にできるようになり、これがマニプーラチャクラの覚醒を可能にします。

マニプーラチャクラ覚醒の行法を1ヶ月間行い、その後にアナーハタチャクラの覚醒へ向かいます。

ナウリは多くの人にとって難しい行法ですが、力まず頑張りすぎないように行い、アグニサル・クリヤーやウディヤナバンダをマスターしてから行うべし、と指示されています。

これまでのアージュニャーチャクラ・ムーラダーラチャクラ・スワディシュターナチャクラの覚醒法も引き続き行うべしと説明されています。

マニプーラチャクラ覚醒の準備に適したアーサナ

The following asanas will be found useful in awakening manipura chakra: pawanmuktasana (anti-gastric series), chakrasana, dhanurasana, marjariasana, matsyasana, yoga mudra, paschimottanasana and ushtrasana.

マニプーラチャクラの覚醒のために、パワンムクターサナ2チャクラーサナダヌラーサナマールジャリアーサナ(キャットアンドカウ)マツヤーサナヨガムドラーパスチモッターナーサナウシュトラーサナが役立つといいます。

これらを見ていくと、やはり主に腹部や背骨にアプローチするポーズが多いようです。

「チャクラーサナ」は、シヴァナンダヨガやサティヤナンダヨガではブリッジポーズのことを指します。

ちなみにアシュタンガヨガのチャクラーサナは後ろにでんぐり返しするポーズです。

ヨガムドラーは、アシュタンガヨガではパドマーサナから後ろに腕を回して足の指をつかんで前屈する形で行われますが、サティヤナンダヨガでは背中で手首をつかんで前屈するという、少し簡単な形で行われることが多いです。

(画像出典:Asana Pranayama Mudra Bandha

行法1:チャクラとクシェートラムの位置を把握する

Stand sideways in front of a mirror. Put one finger of one hand on the navel and one finger of the other hand on the spine, directly behind.

鏡の前に、横向きに立ちます。指を臍(へそ)に置いて、反対の手の指を、臍の裏の背骨に置きます。

指を置いたまま坐り、背骨を1分間しっかり押し、その後に指を離します。その位置には、押していた感覚が残ります。

その位置から少し身体の内側へ入ったところに集中します。そこがマニプーラチャクラです。頭の中で「マニプーラ、マニプーラ…」と唱えながら、数分間その位置の感覚に集中します。

そして、臍に意識を集中します。臍はマニプーラチャクラのクシェートラムです。血の脈動を感じながら、頭の中で「マニプーラ、マニプーラ…」と数分間唱えます。

ちなみに臍の裏側は、東洋医学では「命門」というツボにあたります。気功・仙道における小周天の行法でも、命門で気を保つことを行うことがあり、重要な地点として扱われます。

参考:督脈(GV)の役割・経穴・関連ヨガポーズ

行法2:マニプーラチャクラの浄化

Breathe slowly and deeply, feeling the expansion and contraction of the navel as you breathe in and out through the navel. Feel the breath expanding and contracting in the navel area for some minutes.

快適な坐法で坐ります。背中はまっすぐに保ち、目を閉じます。数分間、ゆっくり深い呼吸をしながら、臍から呼吸をするようなイメージで、臍のあたりが広がったりしぼんだりするのを感じます。

臍が外側へひろがっていくにつれて、息は臍から入ってきて、そのまま背骨の方のマニプーラチャクラへ向かっていくのをイメージします。臍が内側へ収縮していくにつれて、息は背骨の中のマニプーラチャクラから前方へ向かい臍を通って身体の外へ出ていくようにイメージします。

「マニプーラ、マニプーラ…」と頭の中で唱えながら、毎日数分間、この呼吸を行います。

行法3:アグニサルクリヤー

「Agnisar アグニサル」は「アグニサーラ」「アグニサラ」などと表記されることもあります。「Agni アグニ」は「火」、「sāra サーラ」は「抽出する」といった意味です。食べ物の消化を行っているのは「火」であるという考え方があり、アグニサルクリヤーはその火を活性化して、消化を活発にする効果もあります。

シンプルなアグニサルクリヤーのやり方

Technique 1: (simple form)

Sit in vajrasana. Keeping the toes together, separate the knees as far as possible. Keep both hands on the knees, straighten the arms and lean forward slightly. Open the mouth and extend the tongue outside. Breathe rapidly in and out while simultaneously expanding and contracting the abdomen. The respiration should be in harmony with the movement of the abdomen and should resemble the panting of a dog. Breathe in and out up to 25 times.

ヴァジュラーサナ(正座)で坐り、足の指先をくっつけて、膝を可能な限り離して、手は膝の上に置き(ここまでは、バドラーサナ・吉祥坐と同じです)、肘を伸ばして、少し前に背骨を傾けます。

口を開けて舌を出し、犬が呼吸するときのような感じで、口から速い呼吸を繰り返します。速い呼吸ですが、吐くときはお腹を収縮させ、吸うときはお腹を元に戻すことも伴って呼吸するようにします。25回ほど、この呼吸を行います。

消化の火を高める、高度なアグニサルクリヤー

Increasing the digestive fire Technique 2 : (advanced form)

Assume the same pose as technique 1.Exhale as completely as possible. Perform jalandhara bandha. Rapidly contract and expand the abdominal muscles repeatedly, for as long as you are able to retain the breath outside. Release jalandhara bandha and inhale fully. Perform the practice 4 more times, each time waiting until the breath has returned to normal.

先程と同じような形で坐り、首をしっかり曲げてあごを胸につけてジャーランダラバンダを行います。息を吐ききってから止めて、息を止めたまま可能な限り長く、腹筋を素早く縮めたり拡げたりを繰り返します。

ジャーランダラバンダを解いて、深く息を吸います。

息を整えてからこれを繰り返し、4回以上行います。

注意点もいくつか挙げられています。これはアクニサルクリヤーだけでなく、このあとのウディヤナバンダやナウリにも共通なので、確認しておくと良いでしょう。

アクニサルクリヤー・ウディヤナバンダ・ナウリに共通する禁忌・注意点

胃が空っぽの早朝などに行うようにします。シンプルな形のほうをマスターしてから、高度なやり方を行うようにします。

心臓病や胃などに潰瘍がある人、妊娠中の女性や、過去6〜9ヶ月の間に腹部に手術を受けた人は、行わないようにと指示されています。

行法4:ウディヤナバンダ

ここで用いられるウディヤナバンダは、腹部を強く収縮させる強力な行法です。

アシュタンガヨガのようなヴィンヤサヨガで行われる、下腹部を収縮させる繊細なウディヤナバンダは、同じ名前ですがやり方や用途は異なります。

その違いについては以下の記事にも書きました。

参考:バンダとは|ヨガポーズをキープするコツ・呼吸法の効果の高め方

Place the palms on the knees, close the eyes and relax the whole body. Exhale completely and keep the breath outside. Perform jalandhara bandha.Then contract the abdominal muscles as far as possible inward and upward. This is a kind of sucking action of the muscles. Hold this lock for as long as the breath can be retained outside.

瞑想に適した坐法で坐り、両膝を床につけるようにします。もしそれができない場合は、ウディヤナバンダは立って行います。

手のひらを膝に置き、目を閉じて、全身をリラックスします。

完全に息を吐ききって、息を止めます。

首をしっかり曲げてあごを胸につけてジャーランダラバンダを行った状態で、腹筋を可能な限り引き込み・引き上げます。お腹に真空状態を作るようにする動きです。

この状態を、息を止めていられる間、できるだけ長く続けます。背骨の中のマニプーラチャクラに集中し、頭の中で「マニプーラ、マニプーラ…」と唱えます。

腹部の筋肉をゆるめて、ジャーランダラバンダを解き、息を吸います。

呼吸が通常にもどったら、これを繰り返します。最初は数回から始めて、徐々に10回まで増やしていきます。

Note: Limitations are the same as for agnisar kriya.

注意点は、アグニサルクリヤーと同じです。

行法5:ナウリ

片岡鶴太郎さんが行っていて話題になった行法、ナウリ。まずウディヤナバンダを行ってお腹全体をへこませた状態で、腹直筋を浮き上がらせ、お腹全体をぐるぐるかき回すというものです。

Abdominal churning

Stand with the feet separated by about a meter. Place the hands on the knees and bend the knees slightly. Perform uddiyana bandha in this position.

まず足を1メートルほど離して立ち、手を膝において、膝を少し曲げます。この体勢で、まずウディヤナバンダを行い腹部全体を凹ませます。

Stage 1 : Madhyama nauli

Contract the rectus abdomini muscles and isolate them at the center of the abdomen. After mastering this, proceed to the next stage.

腹部全体が凹んでいる状態から、まず腹直筋を真ん中に押し出して浮き上がらせます。これができるようになってから、次の段階に進むようにします。

Stage 2 : Vama nauli

Isolate the rectus abdomini muscles at the left side of the abdomen

Left abdominal churning

Stage 3: Dakshina nauli

Isolate the rectus abdomini muscles at the right side of the abdomen.

腹直筋を真ん中に押し出すことができたら、左側(Vama)だけ・右側(Dakshina)だけでも同様に押し出せるように練習します。

Stage 4

The practitioner should be able to perform stages 1-3 without the slightest difficulty, before attempting this stage. Perform uddiyana bandha from the standing position. Isolate the rectus abdomini muscles, then try to churn or roll them so that they move from the left, to the center, to the right in one smooth motion, then from the right, to the center, to the left.

ここまでの3段階(真ん中・左・右のナウリ)を容易に行えるようになってから、この第4段階を行うようにします。

立った状態でウディヤナバンダを行い、腹直筋を浮き上がらせます。

そこからお腹をかき回すように、腹直筋の浮き出た部分を左・真ん中・右へと滑らかに動かし、次に逆回しも行います。

息を止めていられる間、できるだけ長く、この動きを素早く繰り返します。

その後、腹筋をリラックスさせ、深く呼吸します。

呼吸が落ち着いたら、回転を逆に変えて、繰り返します。可能であれば6回ほど(左→右に3回、右→左に3回)行います。

Note: Nauli should not be attempted until agnisar kriya and uddiyana bandha have been perfected. Limitations are the same as for agnisar kriya. Sufferers of high blood pressure should also avoid this practice.

ナウリは、アグニサルクリヤーとウディヤナバンダをマスターするまでは行わないようにします。

注意点は、アグニサルクリヤーの項に書かれているのと同様です。また、高血圧の人も行わないようにせよと指示されています。

行法6:プラーナとアパーナの結合

One force (apana) is ascending from mooladhara to the navel, while the other (prana), is descending to the navel from above.

シッダーサナ(男性向け)またはシッダヨーニアーサナ(女性向け)で坐ります。数分間、全身をリラックスして坐り、身体が完全に不動な状態になるようにします。

自然な腹式呼吸に意識を向け、臍の動きに気づきの中心を向けます。これを数分間続けます。

そして、臍へ向かって流れ込む、プラーナとアパーナの2つのエネルギーを感じます。アパーナはムーラダーラチャクラから臍へ上がっていき、プラーナは臍よりも上から下りてくるように流れています。

They must both reach the navel at the point of full inhalation. When you feel that the two forces are meeting in the navel, perform kumbhaka, retention of breath, and then develop mental awareness of the single central point of force in the navel.

プラーナとアパーナは両方とも、息を吸いきったときに臍へ到達します。吸いきって臍でプラーナとアパーナが出会うのを感じ、そこで息を止め、臍にあるエネルギーのセンターへと気づきを向けます。息を止めている間も力まないようにします。

息を吐き出し、自分のペースでこれを繰り返します。

2つのエネルギーが流れてきて臍に到達するのは、必ず同時であるようにイメージします。

臍でプラーナとアパーナが結合した後、徐々にムーラバンダ(会陰または子宮口の収縮)が起こるようにします。臍で結合する2つのエネルギーへの気づきが高まるにつれて、ムーラバンダの収縮が起こってくるようにします。

「…gradually allow moola bandha to take place. Go on contracting moola bandha…」この文章のニュアンスからして、「ムーラバンダは自然に起こり始める」というように描かれています。それを邪魔することなく、見守るようにする、という意図が感じられます。

できるだけ長く息を止めて、臍に集まるエネルギーとムーラバンダへの集中を続けます。

止息を解いて吐き出す時、ムーラバンダも解きます。力まないように、これを3分間以上続けます。

次記事:「クンダリニー・タントラ」を読む【45】第3章 8節:アナーハタチャクラの覚醒方法

前記事:「クンダリニー・タントラ」を読む【43】第3章 6節:スワディシュターナチャクラの覚醒方法

参考文献

「Kundalini Tantra 英語版 ペーパーバック」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「Kundalini Tantra 英語版 Kindle」 Swami Satyananda Saraswati (著)

「密教ヨーガ―タントラヨーガの本質と秘法」本山 博 (著)

「クンダリニー」ゴーピ・クリシュナ (著), 中島巌 (翻訳)

「Asana Pranayama Mudra Bandha 英語版」Swami Satyananda Saraswati (著)

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by 高橋陽介

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