背骨全体を動かして、姿勢改善と自律神経調整に効果的。準備運動にも適したポーズ(動的アーサナ)です。
ヨガでは、マルジャリアーサナ(猫のポーズ)とビティラーサナ(牛のポーズ)をセットで、キャットアンドカウ(英語ではCat-Cow)と呼ばれます。
ピラティスではキャットストレッチと呼ばれ、呼吸のやり方にバリエーションがあります。フライングドッグのような体幹トレーニングにつなげることもできます。
この記事の目次
キャットアンドカウ・キャットストレッチの効果・意義
- 体幹部の表側・裏側を全体的にストレッチ
- 背骨の柔軟性UP
- 腰痛の緩和
- 肩こりの緩和
- 背筋・腹筋の強化
- 呼吸を深める・整える
- 自律神経のバランスを整える
ヨガやピラティスのポーズは、「腰を丸めない&反らないようにする」というポーズがほとんどなのですが、このポーズは思いっきり腰を丸めたり反らしたりします。
腰を反らないようにするには体幹の筋肉、特にお腹のインナーマッスルを使います。
ただ、いきなり固定された姿勢を目指すのではなく、「柔軟性を伴った安定性(Mobility & Stability)」が理想です。
なので、まずは限界まで骨盤を前傾後傾させたあとに、安定したポジションを見つけ、それを保てる筋力もつけていくというのが良いでしょう。そのために、とても良い準備運動になります。
キャットアンドカウ・キャットストレッチの禁忌・注意点
背骨に痛めている箇所がある場合は、痛みの出ない範囲で気持ち良く行いましょう。
固まっている箇所に呼吸を深く通しながら、正確に行います。
1セットずつ変化が出てくるので、いきなり深めようとせず、だんだん深めていくようにしましょう。
キャットアンドカウ(ヨガ)のやり方
1)四つばいになります。吸って、頭頂と尾骨で引っ張り合って、まず背骨をまっすぐ伸ばします。
2)吐きながら、骨盤をまず後傾させて、尾骨を骨盤底に巻き込むように腰を丸めていきます。1つ1つの背骨の間を広げるように丸めていきます。
3)みぞおちを下から強く引き込んで持ち上げ、背中の真ん中が高く上がるように背骨全体を丸めて、最後に首を丸めて視線はおへそあたりをみるようにします。ここで吐ききるように、呼吸の長さをコントロールします。
4)吸いながら、骨盤をまず前傾させて、尾骨は上へ持ち上げるように背骨を反らせていきます。首をいきなり持ち上げないようにします。
5)胸椎を十分に反らせてから、最後に首の前側も後ろ側も伸ばすようにしながらアゴを持ち上げます。ここで吸いきるように、呼吸の長さをコントロールします。2〜5を1セットとして、5セット程度行います。
キャットストレッチ(ピラティス)のやり方
ヨガの呼吸と同じやり方でやる場合もありますが、別の呼吸で行うバリエーションを紹介します。
反るときも丸めるときも「吐く」で動き、「吸う」で水平に戻ります。
1)四つばいになります。吸って、頭頂と尾骨で引っ張り合って、まず背骨をまっすぐ伸ばします。
2)吐きながら、骨盤をまず後傾させて、尾骨を骨盤底に巻き込むように腰を丸めていきます。1つ1つの背骨の間を広げるように丸めていきます。みぞおちを下から強く引き込んで持ち上げ、背中の真ん中が高く上がるように背骨全体を丸めて、最後に首を丸めて視線はおへそあたりをみるようにします。
3)吸いながら、背骨をまっすぐ水平にもどします。頭頂と尾骨で引っ張り合って、背骨を長く伸ばします。
4)吐きながら、骨盤をまず前傾させて、尾骨は上へ持ち上げるように背骨を反らせていきます。胸椎を十分に反らせてから、最後に首の表側も裏側も伸ばすようにしながらアゴを持ち上げます。
5)吸いながら、背骨をまっすぐ水平にもどします。ここまでを1セットとし、5セット程度行います。
キャットアンドカウ・キャットストレッチを深める方向性
- 背骨ひとつひとつの隙間を広げるように、伸ばしながら丸める。
- 骨盤の前傾・後傾を深め、背骨と骨盤の動きを連動させる。
- 呼吸をコントロールし、動作が終わるまで呼吸をもたせるようにする。
キャットアンドカウ・キャットストレッチのコツ・練習法
とくに反る動き(牛のポーズ)のときに、首を先に反らしすぎてしまって、胸が十分に反っていない形がよく見られます。
まずは骨盤から動かし、下(腰)から順番になめらかに一つ一つの背骨を動かすようにして、胸を十分に反らしてから、最後に首が動くようにしてみましょう。
呼吸の長さもコントロールし、「吸い始めてから動き、吸い終わったときに動作が終わる」「吐き始めてから動き、吐き終わったときに動作が終わる」というように呼吸と動作を合わせてみましょう。
ゆっくり動きたいのであれば、呼吸を細く長くできるようにコントロールします。
とはいえ一番大事なのは気持ち良さなので、あまりいろいろ考えすぎずに、気持ち良いやり方を探してみましょう。
アジャスト例(インストラクター向け)
- 足をまたぐように立ち、左右から両手で骨盤の前傾・後傾をサポートする。
- 背骨全体を観察し、あまり動いていない部分があれば軽くさすって、意識を通すように導く。
- 肘が曲がったりして肩のアラインメントが崩れているようであれば、両側から肩を支えて修正をサポートする。
シークエンス例
- キャットアンドカウを準備運動として行った後、プランクポーズやダウンドッグへつなぎます。
- ウッターナシショーサナ(パピーポーズ)につないで、肩のストレッチを加えます。
- 針の糸通しのポーズ(ねじった猫のポーズ)を続けて行うと、背骨のツイストも行えます。
- 片脚を後ろに挙げる動きを加えて、ヴィヤガラーサナ(虎のポーズ)につなぎます。
- 背骨を動かした後はチャイルドポーズを行って、背骨周りの筋肉をリラックスします。
- ピラティスではフライングドッグなどにつなげます。
アーサナ名の表記バリエーション
【日】キャットアンドカウ、キャットカウ、マルジャリアーサナ、マールジャリアーサナ、ビティラーサナ、ビディラーサナ、ヴィダラーサナ、猫のポーズ、牛のポーズ、猫と牛のポーズ
【梵】Marjariasana, Bitilasana
【英】Cat-Cow, Cat and Cow Pose