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バンダとは|ヨガポーズをキープするコツ・呼吸法の効果の高め方

バンダとは|ヨガポーズをキープするコツ・呼吸法の効果の高め方

心身ともにブレずに、美しく振る舞うための基礎

この記事の目次

ヨガの先生って、なんでポーズ中にプルプルしないの?

ヨガインストラクターの人は、とくにムキムキでもないのに、つらそうなポーズもなぜかプルプルしないでキープできていますよね。

「インナーマッスルをしっかり使っているから」というのも一つのポイントですが、個人的には「バンダ」がより大きなポイントの一つだと思います。

身体の深層の話、あるいは意識の話なので、最初はピンとこないかもしれませんが、練習することでコントロールできるようになり、これが日常生活や仕事においてもブレずに美しく振る舞うための基礎になり得ると思います。

≫プルプルしやすいポーズ例、ウップルティヒ(トーラーサナ・秤のポーズ)

バンダとは?

バンダは「ロックする」「締める」といった意味のサンスクリット語の言葉です。

身体の特定の部分に意識を集中したり、筋肉を引き締めたりすることでエネルギーの流れを整えます。

たとえば土台がゆるゆるだったら、エネルギーは下へ逃げていってしまいますね。

それを逃げていないようにするために、ふんばりをきかせるために、締めておくのです。

バンダを身につけるには、まずは該当する場所の筋肉を引き締めることから練習します。それが十分にできるようになったら、最終的には意識を集中するだけでバンダが作用するようになります。

粗大な体(肉体)のコントロールから始まり、そして微細な体(エネルギー)のコントロールができるようになっていくための、大事な鍵となります。

主要な3つのバンダ

  • ジャーランダラバンダ:のど
  • ウディヤーナバンダ:下腹部
  • ムーラバンダ:会陰(骨盤底)

主要なバンダはこれら3つです。3つ合わせてバンダトラヤといいます。トラヤは「3」です。

アーサナ中にプルプルしないための重要なバンダは、まずはムーラバンダ。それからウディヤーナバンダです。下から順に、土台を作っていきましょう。

ジャーランダラバンダは主に呼吸法(プラーナヤーマ)のときに用います。

ムーラは「土台」「根」、ウディヤーナは「飛翔」、ジャーランダラは「流れの中の網」といった意味の言葉です。

ウディヤーナバンダとウディヤーナの区別

「ウディヤーナバンダ」と呼ばれる技法には、同じ名前でも異なるものがいくつかあるようです。

アーサナ中にプルプルしないために行う穏やかな技法と、呼吸法と共に実践するお腹を強く引き込む技法があり、どちらもウディヤーナバンダと呼ばれることがあります。

そのため混同されることも多いのですが、後者のほうを「ウディヤーナ」とだけ呼ぶ場合もあります。ここでは、この呼び方を使おうと思います。

正しいアーサナ」の記事でも書きましたが、名前の解釈は流派によっていろいろなので、ひとまずは別だということを認識しておけば良いかと思います。

ムーラバンダのやり方・練習法

会陰(骨盤底)を締め、引き上げる

筋肉として収縮するのであれば、具体的には「肛門を締める」のと「おしっこを止める」の中間というイメージです。

骨盤底筋」という言葉は少し知られるようになりましたが、骨盤底筋の中にもいろいろな筋肉があり、それらを別々にコントロールできるようになることも重要です。

会陰は肛門と性器の間の部分で、体と心の土台となる場所です。坐っているときは、大地と向き合うセンターとなるポイントです。(第1チャクラ:ムーラダーラチャクラの場所は諸説あり、男女でも異なりますが、会陰の少し上(内部)にあるとされます)。

このあたりを自在にコントロールできるようになると、生殖器などにも良い影響があります。

ムーラバンダを単に「肛門を締める」と解釈することもありますが、これもまた別物と解釈することもできますし、人それぞれ・男女によっても意識するべきポイントがすこしだけズレることもあるので、それで解釈がズレるのかもしれません。

エネルギーを引き上げるイメージ

大切な感覚としては、骨盤底からエネルギーを吸い上げるように引き締め引き上げることです。(ティッシュペーパーの真ん中を骨盤底でつまんで引き上げる、と表現することもあります)

ムーラバンダを締める力はすなわち生命力であるという解釈もあり、とても重要な力です。年をとると肛門がゆるんでいって、死ぬときは完全にゆるみますね。

心にも効果があり、地に足の着いたしっかりした自分を作るために重要なポイントです。

骨盤底の狙った筋肉をうまく使えるようになったら、いずれはそこに意識を置くだけで、心身が安定するようになります。

アシュタンガヨガなどヴィンヤサヨガの実践を行う際は、まず骨盤底筋を少し収縮するように意識して練習するのも良いですが、いずればやはり意識を少し置くだけにしていきます。

ウディヤーナバンダのやり方・練習法

おへそから下を、引き締め引き上げる

コルセットを巻くように、腹横筋下部を引き締めてしっかり土台を作ります。

胸式呼吸の練習をするときに、お腹を「引っ込める」よりも「引き締め・引き上げる」という表現を使いますが、そのときに主に使うのが腹横筋です。

「恥骨をわずかに持ち上げる」「恥骨をおへそに近づける」という表現をすることもあります。体の内部の話なので、しっくりくる表現は人それぞれですね。

ウディヤーナバンダを締めたままでアーサナを行っていくと、だんだんと正しいインナーマッスルが鍛えられていってプルプルしなくなっていきます。

もしアーサナを行っているときに「お腹が抜けないように!」と指示されたら、ウディヤーナバンダがゆるんでいることが多いです。

慣れてきたら少しずつ動きを小さくしていき、意識だけで行うようにしていく

これも慣れていくと「恥骨を少しだけ持ち上げる」「恥骨を少しだけ内側に引き込む」といったわずかな動きでも十分になっていき、いずれは筋肉を収縮しようとしなくても下腹部に意識を置くだけで事足りるようになっていきます。

ウディヤーナのやり方・練習法

みぞおちを引き入れ、肋骨を高く引き上げる

ウディヤーナの意味は「飛翔」、下からエネルギーを引き上げ、肋骨を高く、背骨を伸ばします。

足を肩幅くらいに膝をゆるめて開いて立ち、両手を膝に置き、息を吐ききってから呼吸を止め、さらにお腹を引き入れて横隔膜を引き上げ、みぞおちにある太陽神経叢や内臓全体を刺激します。
(必ず、空腹時に行ってください)

肋骨の下が、ドーム状に引き上がります。息を止めたまま、苦しくない間キープして、引き入れていたお腹をもとの形に戻してから、静かに息を吸います。

ちなみにお腹を引き入れた状態から、下腹部の筋肉を出したり引っ込めたりして内臓をマッサージするのがアグニ・サラ・クリヤー、腹直筋を独立させてお腹をかきまわすのがナウリ・クリヤーです(片岡鶴太郎さんがやっていて話題になったアレです)。

ナウリは難しいですが、ウディヤーナやアグニ・サラは比較的簡単で効果的な動きです。一気に内臓が温まり、腹筋まわりをやわらかくするのでウォーミングアップにも良いです。後屈が苦手な人にも、おすすめです。

ジャーランダラバンダのやり方・練習法

鎖骨の間にアゴを置く

息を止めて(吸ってから・吐いてから、どちらのパターンもあります)、背骨の間を広げるように首を伸ばしながら徐々に前に曲げていき、後頭部・首の後ろ・背中の上側をリラックスして、鎖骨の間に静かにアゴをつけます。

バンダを解くときは、下から順番に背骨を積み上げ、なるべく頭を高い位置にくるように背骨をリラックスしてのばします。この解いた時のスーッと首にエネルギーが通る感覚がとっても気持ち良いのです。

ジャーランダラバンダとムーダバンダは、呼吸法(プラーナヤーマ)の練習時に息を止める(クンバカ)ときに用います。ヴィンヤサヨガなど、全身を動かすヨガポーズの実践中に行うことはほとんどありません。

エネルギーを意識する

呼吸で生まれた身体の内部のエネルギー・熱を、上下から逃げないようにキープして、体内を浄化するといった意図で使います。

喉のチャクラ(浄化を司る、ヴィシュッディチャクラ)を覚醒させるための行法としても用いられます。

参考:「クンダリニー・タントラ」を読む【46】第3章 9節:ヴィシュッディチャクラの覚醒方法

バンダの効果

神経に働きかけ、心身を落ち着かせる

これら3つのバンダはみんな身体のセンター、大切な神経が集まっているところに働きかけるので、練習しているときはもしかしたら退屈かもしれませんが、呼吸法と同じように徐々に効果が現れて、自律神経に働きかけ、心にも体にも変化が現れてきます。

怪我を予防しヨガの有効性を高める

アシュタンガヨガなどヴィンヤサ(呼吸に合わせて動く)ヨガでは、重要な3要素(トリスターナ)として「呼吸」「バンダ」「ドリシュティ(視線あるいは意識の焦点)」を挙げています。トリスターナはいずれも外見上わかりづらいので、理解して身につけるには練習が必要ですが、効果を高め・怪我をしにくくするための重要なポイントです。

体の安定性を高める(解剖学的な考察)

なにか動作を行うとき、筋肉は縮む側(主働筋)と伸びる側(拮抗筋)があります。

安定した姿勢を維持するためには、主働筋と拮抗筋どちらもバランスよく意識しながら適度に働かせておく必要があります。どちらも力みすぎていると長時間維持できず、どちらかが抜けすぎていると可動域をオーバーした動きになって怪我をします。

ムーラバンダとウディヤーナバンダは、筋肉の観点から考えると、この主働筋と拮抗筋の関係性にあるように思えます。

ムーラバンダで骨盤底筋を使うと左右の坐骨と尾骨が近づき、その際に骨盤の前側に飛び出している左右の骨(上前腸骨棘・ASIS)は離れます。

ウディヤーナバンダで腹横筋下部を使うと、ASISが近づき、逆の動きになります。つまり、ムーラバンダとウディヤーナバンダを等しく使えると、骨盤がとっても安定することになるのだと思います。

集中力を高める

アーサナ(ヨガポーズ)を行っている最中もなるべく、ウディヤーナバンダとムーラバンダを意識して練習してみてください。

バンダを意識すると、隣の人を気にしすぎず、内側に集中することができるようになっていきます。体と心を安定させて、集中力を保ったままポーズ練習ができるようになっていくはずです。

止まっているポーズでは比較的簡単ですが、アシュタンガヨガや太陽礼拝といった動きのあるヴィンヤサヨガの最中も、できるだけバンダを意識して行えるようにしていきましょう。

≫アシュタンガヨガのポーズ内容・順番

呼吸法をより有効にし、チャクラ・クンダリニー覚醒にもつながる

ハタヨーガの呼吸法やチャクラ瞑想・クンダリニーヨーガなどにも、バンダは重要な要素として数多く登場します。

エネルギーを集めたり流したりといったことをコントロールできるようになっていくために、バンダやムドラーといったハタヨーガの技法は有効かと思います。

このあたりになると微細な世界の話になってくるので難しいかもしれませんが、普段もし呼吸法の練習などやっているようであれば、バンダを意識して行ってみると、効果が高まるかもしれません。

私のレッスンでもベーシッククラスやシヴァナンダヨガのクラスで、以下の基本的な呼吸法をお教えしています。

カパラバティ・プラーナーヤーマ(火の呼吸法のバリエーション)の効果・やり方

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男性ヨガインストラクター 高橋陽介の写真

by 高橋陽介

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