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後屈(反る動き)ができない方のためのヒント

後屈(反る動き)ができない方のためのヒント

呼吸を深め、ハートを開き、活気が湧いてくる動き

後屈(背骨を反らす動き)、苦手な人が多いようです。

前屈はとても柔らかいのに、後屈はできないという方もいます。

人それぞれ原因は異なりますので、いくつかヒントを挙げてみたいと思います。

この記事の目次

後屈ができない原因の例

できない理由を考えた時、「背筋が弱い」という発想にいきなり至ってしまうことが多いかもしれませんが、アームバランス・逆転のヒントでも書いたように、筋力だけではなく「バランス」や「姿勢(アラインメント)」も大切です。

人それぞれ原因は異なりますが、下記のようなものが考えられます。

  • 意識が腹側(お腹側)に偏っている
  • ねじれ・ゆがみがある
  • 腹側の筋肉がカタい
  • 背側の筋肉が弱い

それぞれの場合について、ヒントを挙げてみたいと思います。

意識が腹側に偏っている

後屈の動きにおいて主役になるのは、背筋です。「背筋」としてまとめて考えられていますが、脊柱起立筋や多裂筋といったたくさんの筋肉が関わっています。

しかし、人間はやはり顔がついている側、すなわち腹側に意識が集中してしまいやすいので、背側にたくさんついている背筋の使い方を忘れがちです。

後屈するということは、背側は縮んで、腹側は伸びます。この裏表の働きに対して均等に意識が通っているようにすると、うまく後屈ができるようになります。

背中側に意識を通すには、いろいろなやり方がありますが、シンプルに背中を触ったりさすったりしてみるのも良いでしょう。

また、働いているのは筋肉ですが、反っているのは「背骨」であり、背骨はもちろんお腹側にはありません。その点でも、意識はお腹側に偏ってはいけないということです。

背骨の椎骨は、尾骨仙骨をのぞけば24個もあります。これらが自在に動いて、反っていく様子をイメージできるようにしましょう。

まずは意識・イメージが大切です。ここから少し、解剖学的な話もしていきます。

ねじれ・ゆがみがある

ねじれやゆがみがあると、いろいろな動きがうまくいきません

後屈を深く行う前に、背骨や骨盤がどんな並び方をしているのかを観察してみましょう。

骨盤の片側が前に出ていたり、上がっていたり、背骨が曲がったりねじれたりしていないかどうか、しっかり観察します。触ったり、写真や動画を撮ってみるのも良いでしょう。

骨盤がズレている場合、足の位置や膝の向きなども偏っています。また背骨が曲がっているということは、肩の高さも偏っています。各部分の様子がわかってきたら、なるべく体全体に意識を向けていきます。

ねじれを改善するには、ツイストのポーズを行うのも良いですが、これも姿勢を正しく整えて行う必要があります。

アルダマツェンドラーサナ

バランスの良い、ねじれやゆがみの少ない良い姿勢をつくるためには、一言で言えば「なるべく体全体を長くする」ということを意識します。頭頂と足は引っ張り合い続けて、体全体をなが〜くし続けながら反っていきます。後屈は、バキっと折るわけではありません。

腹側の筋肉がカタい

ヨガ的に考えるなら、「仕事を増やすよりも、まず余計なことをしないようにする」というアプローチで深めていきましょう。そのため、「背側を使う」よりもまず「腹側を柔らかくする(後屈を邪魔しないようにする)」ということを考えます。

腹側といっても、腹筋だけではありません。

首の前の筋肉、胸の前の筋肉、腹筋、腸骨筋、大腿四頭筋などが関わってきます。

プールヴォッターナーサナのような動きでは、さらにスネの前や足の甲の筋肉も伸ばされますので、腹側の筋肉全体が柔らかくなっている必要があります。

プールヴォッターナーサナ

最近は猫背の人が多いため、みぞおちあたりの腹筋が特に固まっている人が多いように思えます。

みぞおち・肋骨の下辺りを軽く押してみて、固まっていたり結構な痛みがあったりする場合は、中脘のツボなどを使ってゆるめておいてから後屈を行うようにすると良いでしょう。

首や胸の前の筋肉をストレッチするには、マツヤーサナなどを練習します。

マツヤーサナ

大腿四頭筋をストレッチするには、スプタヴィラーサナ(仰向けの割座)やベーカーサナが有効です。

スプタヴィラーサナ(仰向けの割座)

腸骨筋をストレッチするには、アンジャネーヤーサナなどが有効です。

アンジャネーヤーサナ

固い場所をみつけたら、自分にあったアーサナやストレッチを見つけて、ピンポイントで練習してみると良いかと思います。

背側の筋肉が弱い

後屈の動きを邪魔していた筋肉が柔らかくなってから、ようやく主役の登場です。

さきほど腹側の筋肉が腹筋だけではなかったように、背側の筋肉も背筋だけではありません。とはいえ肋骨がないぶん、腹側よりもシンプルです。

後屈で使う筋肉としては、背筋群に加えて、腿裏(ハムストリングス)とお尻(大臀筋)も重要になります。これらは、腸骨筋と大腿四頭筋といった骨盤・脚の前側にある筋肉を伸ばすための筋肉です。使えているかどうか、自分でさすったりしてみて確認してみましょう。

ただし、お尻の筋肉に関して気をつけたいのは、お尻をしめてはいけないということです。

お尻をしめるということは股関節が外旋して、膝と足先が外側を向いてガニ股・O脚になってしまう形になります。

こうすると安定感があるような気がしてしまって、ついついやってしまう人が多いのですが、骨盤の後ろ側にある仙骨を圧迫することになって、結果的に背骨は下のほうが動かなくなり、負担がかかりすぎればギックリ腰にもつながります。内転筋・内旋筋を意識して、足先・膝はできるだけ正面を向くようにしておきましょう。

ここで使われる筋肉たちを強化するには、なるべく手に頼らないようにしてブジャンガーサナ(コブラ)を練習したり、セツバンダーサナ(橋のポーズ)などを練習すると良いでしょう。

ブジャンガーサナ(コブラ)

セツバンダーサナ(橋のポーズ)

腰をいためないように、さらに深めるには

伸びる筋肉と縮む筋肉、両側に意識を通して、両側に適切に力を加えて支え合いながら、深めていくようにしましょう。

一方だけが働いていると、結局深めることができず、怪我などにもつながります。

解剖学的に少し細かい話をすると、お腹側にありつつも力を加え続けたい筋肉がいくつかあります。

腹筋の中でも一番インナーにある腹横筋は「お腹をひきしめる」という作用があるため、腰が反りすぎるのを防いでくれます。後屈で腰をいためないようにするためには、とても重要な筋肉です。

縦方向に通っている、いわゆる割れる腹筋(腹直筋)に関しては、背中を丸めるための筋肉なので、後屈の邪魔をしないように柔らかく伸びるようにしておきます。

このように、通常時は一緒に働くことの多い筋肉も、時には別々に働かせる必要があるのです。

また、こちらもいつもはまとめて働くことの多い「腸腰筋(腸骨筋+大腰筋)」ですが、ここでは別々で使うようにすると、より後屈を深めることができます。

腸骨筋は股関節を曲げるときに主に働くので、後屈においては伸びる必要がありますが、大腰筋は「腰椎を伸ばす」という作用があるので、前述のように「体全体をなるべく長くする」というときには大腰筋を使い続けているほうがうまくいくのです。

このあたりの話は、グレゴールメーレ氏の本などにも詳しく書かれています。

後屈は、気をつけて行わないと腰など背骨を痛める可能性もあります。

勢いをつけて行わないように、意識を偏らせず表側と裏側の両方に意識を通して、表の筋肉と裏の筋肉が支え合いながら深めていくようにしましょう。

また、後屈の練習をしたあとは、チャイルドポーズや前屈ポーズなどのカウンターポーズ(逆の動き)で中和するようにしておきましょう。

チャイルドポーズ

パスチモッターナーサナ

男性ヨガインストラクター 高橋陽介の写真

高橋陽介

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