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アームバランス・逆転アーサナ(ヨガポーズ)ができないときのヒント

アームバランス・逆転アーサナ(ヨガポーズ)ができないときのヒント

「筋力が足りないから…」という思い込みを一旦手放して

アームバランスや逆転のアーサナ(ヨガポーズ)が、どうしてもできないという方がよくプライベートクラスにいらっしゃいます。

いろいろな方の例を見てきましたが、できない理由はとても様々です。なので本当はプライベートクラスで個別にお教えするのが良いかと思いますが、共通する部分もいくつかありそうなので、ここにヒントを書いておきます。

この記事の目次

アームバランス・逆転ポーズができない「よくある原因」

これらのアーサナは一見「パワー系」のように見えるため、できなかったとき「筋力が足りないんだ…」と思ってしまう方が多いかと思います。

しかし私の経験では、これらのアーサナで失敗する原因の多くは「バランス」だと思います。あるいは見た目上で言うならば「アラインメント(骨や筋肉の配置)」ということになります。

アラインメントを整えるには、いまその瞬間に身体がどんなアラインメントになっているのかを把握し続けている必要があります。

逆転したときなどは慌ててしまって、アラインメントに意識が向いていないことも多いかと思いますが、まずは落ち着いて、自分の状態を把握しましょう。動画を撮ってみたりしても良いかもしれません。

アームバランスでは、接地している「手」に意識が向いてしまいがちですが、意識はできるだけ全身に行き渡らせるようにして、全身のアラインメントを把握するようにしましょう。

とはいえいきなり全身に意識を向けるのは難しいので、重要なポイントを2つ挙げておきます。

  • 肩関節のアラインメント
  • 体幹のアラインメント

肩関節のアラインメント

まずは土台から考えてみます。

肩関節はとっても自由に動きますが、その反面、安定させることが難しいです。

肩関節を安定させるために、

  • 肩をすくめないようにする
  • 肩甲骨を寄せすぎないようにする
  • 肘を開かないようにする

という3点を気をつけてみると良いと思います。

これらは全部「やらないようにする」という形の指示です。ヨガは基本的に「やってしまっている余計なことを、やらないようにする」というアプローチで考えます。

逆に考えて、やるべき動作と使うべき筋肉としては、下記のようになります。

  • 肩甲骨下制→僧帽筋下部・前鋸筋・広背筋
  • 肩甲骨外転→前鋸筋・小胸筋
  • 上腕骨外旋→回旋筋腱板

これらの中で、特に重要なのにうまく使えていない筋肉が、前鋸筋です。

前鋸筋は脇の下あたりに広がっている筋肉です。これをうまく使えるようになると、アームバランスや逆転で重要な肩の安定性を生み出すことができます。

肩は片側だけ(とくに利き腕と逆側が多い)すくんでいたりすることもあるので、両側を均等に使えるようにしましょう。

上腕骨は、内旋すると肩の柔軟性が高まり、外旋すると安定性が高まります。正しい配置におけたならば、外旋して安定させるようにしましょう。正しい配置におけるようにするためには、先に柔軟性を高める練習が必要になる場合もあります。

また、これらの動きを偏りなく全ての筋肉が協力して行えるようにするために、肩関節を「引き込む」という表現もよく用いられます。

参考:股関節や肩関節を「引き込む」意味とコツ

体幹のアラインメント

土台が整っていても、上にのっているモノがふにゃふにゃしていたのでは、うまく支えられません。

体幹を正しいアラインメントに保つために、

  • 猫背にならないようにする
  • 背骨の中央付近(胸椎と腰椎の境目付近)が反らないようにする
  • 骨盤がナナメに(前後・左右ともに)ならないようにする

といったところを気をつけてみると良いと思います。

こちらも逆に考えて、やるべきことと使うべき筋肉としては、下記のようになります。

  • 胸骨を持ち上げ、胸椎を伸ばす→脊柱起立筋(特に上背部)
  • 肋骨下部が開かないように、お腹を引き締めて支える→腹横筋
  • 骨盤を正しい位置に安定させる→腹横筋・腹直筋・腸腰筋・大殿筋・ハムストリングスなど様々な筋肉のバランス

「猫背にならないように」というと、ただアゴを上げるだけの人が多いのですが、アゴはむしろ上げすぎてはいけません。

猫背になる原因としては、心のストレスも大きいです。猫背の状態とは胸骨が下がっている状態であり、これを下へ引っ張っているのはみぞおちあたりの腹筋などです。ここには胃もあるため、胃にストレスがたまっていると、みぞおちが固まって、より猫背になっていきます。

みぞおちのあたりや肋骨の下端あたりを指で押してみて、痛みを感じる方は、ストレスがたまっているかもしれません。温めたり、やさしくほぐしたりすると良いでしょう。

肋骨下部にあたる脊椎は、とても自由に動いてしまう反面、安定性がとても低いのです。よく「腰が反る」という人は、このあたりが反っていることが多いです。高岡英夫氏の著書ではこの部分を「自由脊椎」と呼んでいて、体幹トレーニングとはすなわちこの部分を安定させることにつながるので、とても重要なのであるとしています。

プランクポーズチャトランガダンダーサナなどを練習して、体幹をまず安定させられるようにすると良いでしょう。

骨盤に関しては、とてもたくさんの筋肉が関わっていて、癖が出ることも多く、簡単にはいかないかもしれません。注意深く、骨盤がいまどっちを向いているのかを把握しながら調整します。骨盤調整につながるアーサナなどをまず練習すると良いでしょう。

パワーよりも、まずはバランス

繰り返しになりますが、これらのアーサナで大切なのは筋力よりもバランスです。

バランスの良い、正しいアラインメントを作るためには、先に柔軟性が必要になることもあります。

肩を正しい位置に持ってきたいのに、ガチガチに凝っていて動かすこともままならないようであれば、アラインメントどころの話ではありません。先に、パワンムクターサナなどの簡単な運動で、柔軟性を高めておきましょう。

「筋力が足りないからできない…」と思い込んでいる方も多いですが、筋力をつけるよりも前に、いろいろやるべきこと(あるいはやらないようにすること)があるということに、気づいていただければ良いかと思います。

課題は本当に人それぞれ異なりますので、自分に合った練習法を知りたい方は、プライベートクラスにお越しください。

アームバランスのアーサナ解説記事一覧

逆転のアーサナ解説記事一覧

参考書籍

「肩甲骨が立てば、パフォーマンスは上がる!」高岡英夫 (著)

「究極の身体 (講談社+α文庫)」高岡 英夫 (著)

「フランクリン・メソッド 首のリラックス、肩の解放 緊張を解き、なめらかに動く究極のエクササイズ」エリック・フランクリン (著)

男性ヨガインストラクター 高橋陽介の写真

by 高橋陽介

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