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股関節や肩関節を「引き込む」意味とコツ

股関節や肩関節を「引き込む」意味とコツ

前屈・開脚・蓮華座、アームバランスや逆転ポーズをできるようにするヒント

股関節や肩関節は、本来とても可動域の広い関節です。

しかし人それぞれ癖も出やすく、また隣接する部分との関係性も複雑に絡み合っているので、うまく使いこなすのが難しいことも多いかと思います。

うまく使うために、股関節や肩関節を「引き込む」という表現をよく使います。

この「引き込む」感覚がわかると、苦労していた動きが急にできるようになったり、痛いと感じていた動きが急に大丈夫になったり、長年抱えていた癖が改善したりすることがあります。

股関節がうまく使えるようになると前屈や開脚や蓮華座などが深まったり、肩関節がうまく使えるようになると背中で手を組むポーズができるようになったりアームバランスや逆転ポーズが安定するようになる可能性もあるでしょう。

ただ「引き込む」という表現は、すぐピンとくる人もいれば、わかりにくいと感じる人もいるかと思います。

今回はその「引き込む」の意味と、うまく使いこなすためのコツについてまとめてみます。

股関節・肩関節を「引き込む」イメージ

股関節も肩関節も「丸いくぼみに、丸い頭の骨がハマっている」という構造になっています。

引き込むということは、くぼみにむかって骨の頭を差し込む、ようなイメージです。

強く引き込む必要はなく、かるーく引き込み続けるだけで十分効果があります。ただ、動きが終わるまで気を抜かずに、「引き込み続ける」ようにします。

股関節・肩関節を「引き込む」ことの効果

「引き込む」ことによって、主に以下のような効果があるかと思います。

  • 股関節・肩関節の位置と形を正しく認識して、安定させる
  • センターライン(背骨・仙骨・尾骨)もわかりやすくなる
  • 関節周りの全ての筋肉が協力して動くようにする

股関節・肩関節の位置と形を正しく認識して、安定させる

くぼみに骨の頭を差し込むということは、まず関節の「位置と形を把握」するヒントになり、そして引き込むことで「安定」させることができます。

股関節は特に、内側の方にあるので意外と位置や形が把握できていないことが多いです。

肩関節は、股関節に比べて外側に出ているので位置はわかりやすいですが、股関節よりも浅いくぼみになっているので脱臼しやすかったり、また関節のくぼみがある側の肩甲骨もよく動いてしまうため(動かなくなっている人も多いですが)、肩関節は安定させにくいという特徴があります。

それぞれ特徴は異なりますが、同じような形をしています。位置と形を把握して安定させて動かすことで、なかなかできなかった動きを安全に深められるきっかけになるかもしれません。

センターライン(背骨・仙骨・尾骨)もわかりやすくなる

股関節・肩関節の位置がわかると、その真中にある尾骨・仙骨や背骨の位置もわかりやすくなり、いろいろなポーズや姿勢が安定します。

たとえば肩甲骨の間の背骨は、意識できている人は少ないかもしれません。この部分は、胸を持ち上げて姿勢をよくしたり、アップドッグやブリッジのような後屈ポーズでも重要ですが、猫背が染み付いている人は特に意識しにくい部分です。両肩の位置がわかると、そのセンターの意識もしやすくなるかもしれません。

関節周りの全ての筋肉が協力して動くようにする

股関節も肩関節もたーくさんの筋肉が周りについていて、複雑に助け合いながら動いています。その際、うまく連動できていない筋肉があると、痛みが出やすいです。「引き込む」動作をすることは、関節をまたぐ全部の筋肉を使うことになります。これによって、全ての筋肉が協力する態勢をつくることができます。

特に、蓮華座を行ったり開脚前屈をしたりするときに膝の周りなど特定の筋肉だけが痛い場合は、取り残されて連動できていない筋肉があるかもしれません。その場合、「引き込む」ことで全体が協力するようになり、安全に深めていくことができます。

参考:あぐら・蓮華座・割座をしたり歩いたり走ったりするときに、膝の内側が痛いときのヒント

ちなみに「引き込む」ことによって、いつもできなかった動きができるようになったり、いつもより柔軟性が高まったりしますが、その動きを終えるまで「引き込み続ける」ことを忘れないようにしましょう。気を抜いた瞬間に偏りが生じて、痛みが出たり怪我をしたりすることもあります。

股関節・肩関節をうまく「引き込む」コツ

引き込むときには、「引き込む側(凹)」と「引き込まれる側(凸)」があります。

たとえば手で二つのものを組み合わせるためには、どちらもしっかり持っていなければうまくいきません。どちらかをゆるく持っていると、落としてしまうかもしれません。

股関節も肩関節も、凹凸それぞれの骨をしっかり安定させて差し込むようにイメージすると、うまくいきやすいです。

股関節であれば凹は骨盤、凸は太ももの骨の頭ということになりますが、とくにこの場合、骨盤をしっかり安定させていなければ凸はうまく引き込めません。骨盤を安定させるためには、骨盤底筋腹横筋などを使うということになります。

参考:バンダとは|ヨガポーズをキープするコツ・呼吸法の効果の高め方

肩関節の場合は、さらに凹を安定させるのが難しいです。凹の側である鎖骨・肩甲骨は、本来とてもよく動きます。

肩関節を安定させるには、さらに根元にある胸鎖関節や、肩甲骨と背骨のつながりの部分(ここは関節ではなく、菱形筋僧帽筋を介してつながっている)も重要になります。これも同様に、「引き込む」ことで安定します。肩関節を、体のセンターラインに向かって引き込むようにすると、鎖骨・肩甲骨も安定するでしょう。肩甲骨を寄せるという動きをするわけではなく、軽く肩をセンターへ向かって引き込むイメージをするだけで十分です。

男性ヨガインストラクター 高橋陽介の写真

by 高橋陽介

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