「解剖」への一般的なイメージ
古い友人と話す機会があって、彼はガチのランナーなので一般的な人よりは身体への意識が高いのですが、それでも「解剖学」を意識する機会は少なくて、そもそも「解剖」という言葉には馴染みがないよね、といった話をしました。
RYTを持っている人などは、解剖学を学ぶ機会があったかと思うので、ヨガを教えている人にとっては馴染みのある言葉ではあるかと思いますが、確かに一般的な認識とはズレがあるかもしれません。
「解剖」と聞くと、カエルの解剖だとか、切り刻むとか、そういったイメージが湧くのが一般的なのかもしれませんね。
解剖学の用語の認知度は様々
また、英語でレッスンをするときに、筋肉や骨の名前を英語で言ってみて、「この単語って、アメリカでは一般的ですかね?」といったことを聞いてみたりします。
最近では意外と「胸骨 sternum」がよく知られていると聞いて、興味深かったですね。
「鎖骨 collarbone(またはclavicle)」もよく知られているようですが、しかし「胸鎖乳突筋 sternocleidomastoid」には、みんなしかめっ面をしていました。胸鎖乳突筋、日本でもあまり名前は知られていないかと思いますが、肩こり首こりにとても関係がある筋肉です。
じゃあなんでsternumは知ってたんですか?と聞いてみると、医療系のドラマで聞いたことがあったとのこと。たしかに、そういう機会がなければ、日常的に触れることのない単語かもしれませんね。
私が解剖学を学んだきっかけ、そして解剖学は必須なのかどうか
では私の場合は、なぜ解剖学を意識して学ぼうとしたかというと、やはりヨガポーズを自分で行ったり教えたりする上で、身体の構造を理解しておくと「うまくいく場合がある」ということだったかと思います。
うまくいく場合もあるけれど、うまくいかない場合もあります。なので、誰にでも解剖学は必須、とは言いません。
解剖学はその名の通り、パーツをひとつひとつ分けて認識することに役立ちます。しかし身体は、すべてのパーツが連動して動きます。
よく言っていることですが、徹底的に分離して、徹底的に連動させることができれば、いろいろな動きや姿勢・ポーズがうまくできるようになります。ただ、そういう認識が必要なくて、最初からできてしまう人もいれば、そういう認識をしたからうまくいく人もいるし、分離しすぎて連動できなくなってしまったという人もいるかもしれません。
このあたりは、人それぞれ適した道は異なるのかもしれないので、自分に合った道を選べれば良いかと思います。私も人によって、いろいろ教え方は変えています。
ちなみに解剖学の参考書籍としては、ひとまず以下の本などが比較的簡単で見やすいです。
参考書籍:「プロが教える 筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典」 荒川 裕志 (著), 石井 直方 (監修)
ヨガやスポーツに役立つかもしれない「機能解剖学」
解剖学の中でも、ヨガやスポーツの研究でよく使われるのは「機能解剖学」という分野です。
機能解剖学では、「こういう動き(機能)をしたいから、どの筋肉を鍛えたらいいか、どの筋肉を柔軟にしたらいいか」という切り口で、筋肉や骨を分類していきます。
スポーツのパフォーマンスを上げたいときや、難しいヨガポーズに挑みたいときには、自分の課題に気づくために、機能解剖学がヒントになるかもしれません。ヒントにならない人も、いるかもしれません。
このサイトでも、主要な動きに関わる筋肉と関連ヨガポーズなどはまとめてありますので、参考にしてみてください。