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胸鎖乳突筋の特徴
胸鎖乳突筋は、胸骨と鎖骨に起始して、首の側面を通って、耳の後ろの乳様突起に停止する二頭筋である。長い名前であるが、「胸」「鎖」「乳突」が起始停止する場所を表している。
主に頚椎の屈曲(次項に注記あり)・回旋・側屈を行う。とくに首を真横へ向けたときにわかりやすく盛り上がって見える。
深層の斜角筋群とともに首コリ・肩コリの原因のひとつになる筋肉である。胸鎖乳突筋は表層にあるため、マッサージはしやすく、乳様突起の部分は目に効くツボでもあり、筋肉の起始から停止までよく意識を通しておくと良い。
ポリヴェーガル理論では僧帽筋とともに重要な筋肉として扱われ、心理的状況と非常に関わりの深い筋肉である。「安心感」がない限り、ゆるめることができないともいわれ、単にマッサージするだけではなかなか胸鎖乳突筋と僧帽筋のコリをなくすことができない。ストレスへの対応なども重要となる。
また、他の多くの骨格筋とは異なり、眼球のように脳神経からの支配を受ける筋肉であり、産まれた直後の赤ん坊が首を動かして周りの世界を見るために使われる。
胸鎖乳突筋の主な働き
- 頚椎の屈曲(注意:姿勢によって胸鎖乳突筋の働きは異なる。頭部が正しい位置にあり、両側の胸鎖乳突筋が同時に収縮するときには頚椎の屈曲となるが、現代人によく見られる不良姿勢である頭部前方位の状態で収縮すると、頚椎の伸展になり、顎が上がることになる。)
- 頚椎の回旋
- 頚椎の側屈
胸鎖乳突筋の主な拮抗筋
頚椎の伸展
- 板状筋群
- 半棘筋群
- 脊柱起立筋
- 後頭下筋群
- 短背筋群
- 僧帽筋(上部)
頚椎の回旋
- 胸鎖乳突筋(同側)
- 板状筋群
- 脊柱起立筋
- 回旋筋
頚椎の側屈
- 胸鎖乳突筋(反対側)
- 斜角筋群
- 脊柱起立筋
- 板状筋群
胸鎖乳突筋の主な協働筋
頚椎の屈曲
- 斜角筋群
- 胸鎖乳突筋
- 舌骨下筋群
- 椎前筋群
頚椎の回旋
- 胸鎖乳突筋(反対側回旋)
- 板状筋群
- 脊柱起立筋
- 回旋筋
頚椎の側屈
- 胸鎖乳突筋
- 斜角筋群
- 脊柱起立筋
- 板状筋群
胸鎖乳突筋の起始・停止
起始
胸骨頭、鎖骨頭
停止
乳様突起