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ヨガとピラティスの違い

ヨガとピラティスの違い

ヨガ・ピラティスはどちらも有効なセルフケア・能力アップ法。気づき(マインドフルネス)を磨きながら実践する。

ご質問いただくことも多いので、改めてヨガとピラティスの違いについてまとめておきます。

ヨガとピラティスには様々な流派や実践法があり、簡単に比較することは難しいです。

今回は、以下の書籍も参考にしながら考えてみます。ヨガに関してはシヴァーナンダヨーガセンターの書籍「ヨーガ本質と実践」、ピラティスに関しては、ピラティス氏自身の著書である「コントロロジー」を選びました。

「ヨーガ本質と実践 (ガイアブックス)」ルーシー リデル (著), シヴァーナンダヨーガセンター (編集)

「コントロロジー―ピラティス・メソッドの原点」ジョセフ・ヒューベルトゥス ピラティス (著)

この記事の目次

ヨガとピラティスの違いを考える上での基本

結論としてはどちらも有効なセルフケア法・能力アップ法であると思いますが、その効果の現れ方は「気づきのレベル」に大きく左右されるかと思います。

どんな運動も、気づきを伴っているかどうかで、その効果や上達度合いなども大きく変わってきます。

運動を始めてみたけれど、あまり効果が出ないな…ということもあるかもしれませんが、それは方法自体に問題があるのではなく、自分の気づきが足りていないのかもしれません。

なので、安易に方法を否定するのではなく、自分のやり方に気づきを向けられれば進化につながるのですが、なかなかそうもいかない世の中ではありますね。他の選択肢も多いので、「要らないものはどんどん切り捨てる」という思考がまず働いてしまう人が多いでしょう。そして自分を否定したくない人がほとんどです。

そういう意味では、ヨガやピラティスには「気づきを磨く」ために有効な練習が多いように思えます(しっかり丁寧に行えば)。

そこで得られた気づきは、日常生活の心身の癖を変えたり、仕事や勉強の精度を高めたり、他のスポーツの能力を高めたりすることに応用できます。

ちなみに私はどちらも実践したり教えたりしてきましたが、ヨガやピラティスにどっぷり浸かった信者というわけではなく、常に客観的に、数ある道のひとつとして観ています。人それぞれに合ったセルフケアや進化の仕方があるので、必ずヨガやピラティスをオススメするということもありません。

ヨガとピラティスの効果・目的の違い

一般的な、現代ヨガ・ピラティスの効果&目的のイメージ

ヨガとピラティスには様々な流派や実践法があり、効果&目的について簡単に比較することは難しいです。

一般的には、ヨガは「柔軟性を高めたり、瞑想や呼吸法で心を落ち着けたりする」、ピラティスは「体幹を鍛えるエクササイズ」といったイメージが強いように思えます(そうではない人も多いかもしれません、本当に様々な印象です)。

「これがヨガの効果だ!」などと断じてしまう人もいますが、「そうではない!これだ!」という人も出てきます。

ヨガやピラティスを布教している人々にはそれぞれ信じているやり方、伝えたいことがあるのかと思います。そして、それ以外は正しくない!と「悪」をつくりあげてしまうことで、自分のやり方への求心力を高めようとしてしまいがちです(新興宗教にもよくある”効果的な”布教方法ではありますが)。なので、あっちでは正しいと言っていたことがこっちでは真逆のことを言っていたり、情報が錯綜します。ここでも気づきが重要ですね。

私個人としては、ヨガは心と体、柔軟性とパワー、全体のバランスをチェックしたり整えたりするために特に有効で、ピラティスは特に背骨・肩関節・股関節などの体幹まわりの強さと柔軟性・使い方の意識を高めることに有効、というように観ています。

主要な効果がこういったところにある印象で、私が自分で実践したり教えたりする上ではこういった目的が多い、というだけで、もちろんこれだけではないかと思います。色々な道があって良いのだと思います。

根本的な、ヨガ・ピラティスの効果&目的

しかし世の中には◯◯ヨガや◯◯ピラティスというものが色々増えすぎて、ではヨガやピラティスは何を目指しているのか?ということを見失いそうになります。

ここで根本的な目的について考えてみましょう。

まず「ヨーガ本質と実践」に書かれている「ヨーガで得られるもの」という項を読んでみます。

多くの人が最初、健康でしなやかな体を保つ一種の美容・健康法としてヨーガに関心を示します。

(中略)

ヨーガがどんなものか知りたければ、自分で経験するしかありません。一見しただけではせいぜい、奇妙なポーズでからだを引き締めて柔軟にするぐらいのことにしか思えません。しかし、きちんとつづけていけば、そのうちに人生に向かう態度が微妙に変わってくるのに気づくはずです。からだを整えてリラックスさせ、心を鎮めることを根気よくつづけていれば、やがて自分の本来の性質である内なるやすらぎを覗き見る時が訪れるからです。誰もが意識するしないにかかわらず求めている、この真我の実現こそヨーガの本質であり、私たちはこれを目指して徐々に進化しようとしているのです。

(「ヨーガ本質と実践」p.10)

一方、「コントロロジー」の序文には以下のようにピラティス氏の考えが書かれています。

心と体の完璧なバランスは文明人たるための特質である。そのおかげで原始的な部族民や動物よりも優位な立場に立てるだけでなく、人類の究極の目標──健康と幸福──を手に入れるために不可欠な身体的、精神的な力を与えてくれる。
本書の目的は、現代社会における不健康で不健全な状況を招いた原因と、その結果として人類が受け継いだ生得の権利であるはずの、身体的完成をふつうの人が手に入れられなくなっているということをわかりやすく伝えることである。
著者は読者の皆さんに、現代の嘆かわしい身体教育と道徳教育のシステムを正すための方法をわかりやすい言葉で伝えることを目指している。

(「コントロロジー」p.20)

ヨガの目的は、体を動かしてポーズをとったりすることによって「自分の本来の性質」に気づいていき、それを実現していくというところにあるようです。

一方ピラティスの目的は「健康と幸福」を手に入れるために「心と体の完璧なバランス」を実現するというところにあるようです。ピラティス氏の志向としてはここに書かれているように、現代の教育の問題を正していこうという結構強めな雰囲気が感じられます。

比べてみると、表現と道は違えどヨガもピラティスも、どちらも「体」を整えていくことを行いながら、最終的には「心」のバランスにたどりつくことを目指しているように思えます。

ヨガとピラティスの内容の違い

これも様々な流派があるため簡単には比較できませんが、主要な要素としてヨガには「ポーズ」があり、ピラティスは「エクササイズ」があります。

ヨガのポーズは決まった形を一定時間呼吸しながらキープするというやり方であるのに対して、ピラティスのエクササイズは呼吸とともに「動く」ものが主になります。

ヨガのポーズには、柔軟性を高めるものもあれば、体幹や筋トレにつながるものもあります。一般的にヨガは柔軟性を高めるものであるというイメージが強いかもしれませんが、パワーやバランス感覚など様々な体の能力を高め、全身への気づきを磨いていくためのポーズもたくさんあります。

一方ピラティスには体幹トレーニング・筋トレといったイメージが強いかもしれませんが、穏やかに正確に関節を動かしていくような、柔軟性を高める目的のエクササイズもたくさんあります。

ピラティスのターゲットは主に背骨であり、背骨を丸めたり反らしたりねじったりという柔軟性を高めたり、背骨・体幹はしかっかり安定させておいて肩関節や股関節を動かすといったエクササイズも多いです。体勢としては、仰向け・うつぶせ・側臥位などで行うものが多くなります。

また、ヨガにはポーズ以外にも重要な要素として「ヴィンヤサ(フロー)」というものがあります。これは「呼吸に合わせてポーズをつなぎながら動く」ということです。

ヨガはじっとしてポーズをとっているだけというイメージを持っている人は、ヴィンヤサヨガ(フローヨガ)を試してみると、そのアクティブな感じに驚くかもしれません。

世界でも人気のあるアシュタンガヨガや、ほとんどの現代ヨガに含まれている太陽礼拝の動きなどは、代表的なヴィンヤサヨガです。

総じて、ヨガのほうが幅広く(どのヨガを選んだらいいか難しいとも言えますが)、全身や心も含めて広い範囲を扱っているという印象です。

そのため私は、ヨガは全体のバランスをチェックしたり整えたりするのに用いて、そこでピンポイントに柔軟性や筋力が足りない部分が見つかったら、ピラティスや個別のエクササイズなどで部分的にアプローチするということを併用するのが良いかと思っています。部分だけに執着していてはバランスがまた偏るので、全体と部分を同時に意識できるようにしていけるのが理想です。エネルギーが足りていない部分や滞っている部分があって「偏り」が感じられる場合は、手当て・ヒーリングの施術を行ったりして流れをサポートすることもあります。

ヨガとピラティスの呼吸の違い

「ヨガとピラティスは呼吸は逆だ」というイメージの人も少なからずいるようです。

ピラティスで用いられるのは、主に胸式呼吸です。体幹をしっかり安定させるために、下腹部を引き締めている必要があるためです。

呼吸が逆というのは、「ピラティスでは胸式呼吸、ヨガでは腹式呼吸が使われる」というイメージのせいなのかもしれませんが、ヨガでは胸式呼吸・腹式呼吸どちらも使われることがあります。

リラックス系のポーズでは腹式呼吸あるいは完全呼吸が用いられますが、太陽礼拝などのヴィンヤサヨガや、立位バランス・アームバランスポーズなどの体幹を安定させる必要のあるポーズでは、胸式呼吸(正確にはへその上から胸まで)を用います。

参考:ヨガやピラティスで使われる主な呼吸の種類・使われる筋肉

参考:胸式呼吸(胸式+α呼吸)ができない方・太陽礼拝のジャンプでふわっと感を出したい方へのコツ・練習法

ヨガとピラティスで使うマットや道具の違い

マットピラティスで使うマットは、仰向けやうつぶせで行うエクササイズが多い場合は10mm前後の厚手のマットを使う場合が多いです。

ヨガの場合も、陰ヨガやリラックスヨガのように立ちポーズをほとんど行わない場合は厚手のヨガマットでも有効ですが、立ちポーズをするとなると10mmのマットではフワフワしてしまって安定感が得られにくいため、5mm前後の薄手のヨガマットを使うことが多いです。

その他の用具は、どんなエクササイズやヨガポーズをするかによって異なりますが、ピラティスではピラティスボールセラバンドなどを使うこともあります。

また、現代のピラティスには専用のマシンを使ったマシンピラティスもあります。私はみなさんが自宅でもできるように特定の用具をなるべく必要としないセルフケアの手法を中心に研究しているので、マシンピラティスは専門外です。

「コントロロジー」の中で紹介されているエクササイズは、全てマットさえあればできるものです。ただピラティス氏はベッドを改造したりしていろいろな器具を作って使っていたようで、器具を使うピラティス・メソッドも初期のころから行われていたようです。

ヨガの流派の中でもアイアンガーヨガは、用具をたくさん使ってアラインメント(骨や筋肉の位置)を整えて、無理にポーズを行うのではなく正しい体の使い方が使えるようにしていくという特徴があり、マシンピラティスも近いものがあるかと思います。

ヨガとピラティスの歴史の違い

ピラティス氏は1880年にドイツで生まれ、第一次世界大戦の時期に傷ついた兵士のリハビリのためにコントロロジーを考案し、1925年にニューヨークに渡ってアメリカでそのメソッドを広めていったといいます。その歴史は100年ほどということになりますが、現代に至るまで様々な流派に派生して広まっているようです。

ヨガには5000年の歴史がある、という話がよく出てきます。このサイトでもヨガの歴史についてはいろいろ考えてきました。様々な考え方があるかと思いますが、どうやら現代ヨガは20世紀前半にクリシュナマチャリヤ氏らによって構築されたという説が有力なようです。

参考:アーサナ(坐法・体位・姿勢・ポーズ)の簡単な歴史

参考:「現代ヨガの父」クリシュナマチャリア氏の主著「ヨーガマカランダ」の概要

もっと古い時代からヴィンヤサヨガは存在していてバナナの葉に書かれていたので虫に食べられてしまったとか、証拠が曖昧な部分もありますが、昔は文書に残さず口伝でつたえていたことも多かったはずなので、本当のところはわかりません。

わからない以上は、「ヨガは長い歴史があるから有効だ」といったことは安易に言わないほうが良いかもしれません。

現代ヨガもピラティスも、様々な知識とインスピレーションを経て構築されたのでしょう。

気づきを働かせて、歴史にこだわらず、自分にとって有効なものを探していくと良いかと思います。

ヨガとピラティス、それぞれどんな人におすすめ?

ヨガには、ポーズやヴィンヤサ、瞑想や呼吸法など、心と体を全体的に整える技術が数多くあるので、”自分の目的に合ったものを適切に選べるならば”どんな人にもおすすめできます。なので、もしヨガに興味を持ったなら、どんなクラスが世の中にあるのかをいろいろ調べてみると良いかと思います。いろいろあるということを知らずに、最初に受けたレッスンだけで「ヨガってこんなもんか」と思い込んでしまうのももったいないです。

私のヨガベーシックのクラスは、なるべく全ての人にフィットするように呼吸法・ポーズ・ヴィンヤサをバランスよく入れています。

背骨の歪みを整えたり体幹を強くしたり、チャクラの行法などにもつなげていきたいのであればシヴァナンダヨガがおすすめです。

全体的に筋力と柔軟性や心肺機能を高めたいなら、アシュタンガヨガなどのヴィンヤサ(フロー)ヨガがおすすめです。

他にも様々なヨガがあります。私のプライベートクラスでは、一般的なクラスでお教えしていないことも多く扱っています。

ピラティスは特に背骨・肩関節・股関節などの体幹まわりの強さと柔軟性・使い方の意識を高めることに有効であると考えているので、そのあたりをピンポイントにすすめたい場合は、しっかり練習してみると良いかと思います。

ヨガでなかなかできないポーズが出てきて行き詰まったときに、ピラティスにヒントがあったりする、ということもありえるかもしれません。

参考:クラス内容・レッスンの選び方

色々なスタジオで色々な先生に習ってみるのも良いかと思います。

何を行うにしても、気づきを磨いて、やり方と方向性をしっかり学びながら練習すると良いでしょう。

参考書籍

「ヨーガ本質と実践 (ガイアブックス)」ルーシー リデル (著), シヴァーナンダヨーガセンター (編集)

「コントロロジー―ピラティス・メソッドの原点」ジョセフ・ヒューベルトゥス ピラティス (著)

男性ヨガインストラクター 高橋陽介の写真

高橋陽介

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