横隔膜の特徴
横隔膜は、肋間筋と共に、重要な呼吸筋である。
横隔膜は肋骨の下部に位置し、身体を上下に分断するように存在している。肺は自分で膨らんだり縮んだりできないが、肋間筋と横隔膜の働きによって胸腔の大きさが変化し、それに伴って肺も動く。吸気に際しては外肋間筋と協働する。
横隔膜が収縮すると、天井の高いドーム状になっていた筋肉が収縮して天井の低いドームになり、それに伴って横隔膜より上側の空間である胸腔が拡がり、吸気が導かれる。身体の中には、吐くときに収縮する筋肉・吸うときに収縮する筋肉が存在するが、横隔膜は吸うときに収縮する。
横隔膜が十分に収縮するには、横隔膜より下側の腹腔に十分な空間が必要であるため、深い呼吸のためには腹筋群や骨盤底筋群との協働が重要となる。
腹腔を拡げるためには、腹筋群は伸長している必要がある(骨盤底筋と呼吸の関係については「呼吸と骨盤底筋の関係に関する考察」の項も参照)。また排便や分娩の際には、腹筋群と共に収縮して腹圧を上げ、骨盤底筋はゆるんで排出をする。このように、横隔膜と腹筋群・骨盤底筋群は複雑な協力関係にある。
横隔膜の主な働き
- 胸腔の拡大(吸気)
- 腹圧を上げる(排便・分娩)
横隔膜の主な拮抗筋
胸腔を拡げる吸気の際に主力筋となるが、腹圧を高めて排便などのためにも用いられるため、腹横筋や骨盤底筋とは複雑な協力関係にある。骨盤底筋の「呼吸と骨盤底筋の関係に関する考察」の項も参照。
呼気の主動筋
胸郭の下制・収縮
- 内肋間筋
- 下後鋸筋
- 腹横筋
- 内腹斜筋
- 外腹斜筋
- 腹直筋
- 腰方形筋
横隔膜の主な協働筋
吸気の主働筋
- 横隔膜
- 外肋間筋
- 上後鋸筋
- 斜角筋群
- 小胸筋
- 大胸筋
腹圧を上げる
- 横隔膜
- 腹横筋
- 外腹斜筋
- 内腹斜筋
- 腹直筋
- 骨盤底筋
横隔膜の起始・停止
起始
胸骨部:剣状突起の内面
肋骨部:第7〜12肋骨の内面
腰椎部:外側脚と第1〜4腰椎の内側脚
停止
腱中心部分
横隔膜を鍛えるヨガポーズ・エクササイズ例
- 完全呼吸で吸いきる
横隔膜をストレッチするヨガポーズ・エクササイズ例
- 完全呼吸で吐ききる