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怪我を防ぐコツ

怪我を防ぐコツ

バランスよく、偏りなく、全体を意識しながら動く

春から新しい運動や習慣を始める方も多いかと思います。

この記事では、怪我を防ぐコツについてまとめていきます。

いろいろな次元の話を並べていきますが、まずは自分に合っていそうなものから意識してみると良いかと思います。

この記事の目次

柔軟性と強さをバランスよく

「筋力をつければ怪我をしにくくなる」「柔軟性を高めれば怪我をしにくくなる」といった情報が断片的に得られることが多いかもしれませんが、筋力と柔軟性はどちらもバランスよく持っている必要があるかと思います。

どちらが重要かというと、どちらも重要かと思います。

柔らかすぎても、無理な負荷がかかった時に支えられずに曲がりすぎてしまって怪我をすることもあります。可動域が適度にあり、筋肉が支えながら無理なく動けるような状態が理想的です。

どちらが先かといえば、どちらも同時に進めていくのが良いかと思います。ヨガのポーズなどは、柔軟性と筋力を同時に高めていくためにちょうど良い練習になります。

自分の体をよく観察し、筋力の弱い部分が把握できたら、ピンポイントで筋トレを行っても良いですし、硬い部分が把握できたら、ピンポイントでストレッチを行うのも良いでしょう。

参考:ストレッチや筋トレと、ヨガポーズの関係性

ヨガのポーズをするときは、筋トレやストレッチとは異なり、部分だけでなく全体を意識しながら動くことが大切です。筋トレやストレッチで整った体を、実際の日常生活の動作やスポーツの動作につなげて統合していくためには、ヨガのポーズはとても有効な練習になります。

筋力と柔軟性をバランスよく高めるハイランジ

各部分の柔軟性の差、偏りをなるべくなくす

人それぞれ、日常の体の使い方の癖によって、極端に固まっているところがあったり、極端に柔らかい部分があったりします。

怪我をしやすい部分は、硬い部分と柔軟な部分の境界線付近であることが多いように思えます。

たとえば腰を痛める危険性が高い人は、背骨の中でとても硬い部分ととても柔軟な部分があり、硬い部分は全く日頃動かせてないため、急に力を入れて動かそうとすると、その境界線付近が怪我をしやすいということになります。(慢性的に腰が痛い、という場合は、全体が硬くて動かしていないため凝っているという状態で、今回の「怪我」による痛みとは別の問題になります。)

これを解決するには、硬い部分を伸ばし、うまく脱力できれば良いのですが、人は自分の得意な動きをして代償動作をしてしまいがちです。雑に行って代償動作で済ませてしまわないように、今までうまく使えていなかった部分を丁寧に意識して使えるようにして、新しい自分に慣れていき、意識せずとも使えるようにしていけると良いでしょう。

ヨガのポーズはこのための良い練習になりますが、雑に行ってしまうと、結局硬い部分を使わずに自分の得意なところだけ使ってしまって、そこから無理に深めていこうとすると境界線付近で怪我をしてしまうこともあります。

ヨガのポーズをするときも、しっかり全体を意識しながら、負担が偏らないような体の使い方を身に着けて(思い出して)いけると良いかと思います。

背骨の偏りを整える、キャットアンドカウ

重心・センターライン、骨の配置(アラインメント)を意識する

私達は重力の中で行動しているので、姿勢を良くして楽に維持するためにも、体を効率的に動かすためにも、重心の位置はとても重要です。

簡単に重心の意識を高める方法としては、まず地球の中心をイメージするというのが有効です。

地球の中心は、地球に立っている限りは必ず真下にあり、6400kmくらい下っていったところにあります。

地球の中心からまっすぐ空へ向かって伸びるライン上に、自分のセンターラインがあります。

立っていても座っていても、動いているときも、そのセンターラインの上に体の各パーツが揃っていれば、一番楽に姿勢をとることができます。

バカーサナ(鶴のポーズ)

そのラインから外れるほど、筋肉は支えるために力を使う必要がでてきます。たとえば「悪い姿勢」「猫背」の状態は、頭は前へ出ていて、背骨は後ろへ丸まっていて、センターラインからは外れているので常に筋肉は支えるために仕事をしていることになります。良い姿勢のほうが、本当は疲れないのです。

正しくアゴをひくと、猫背が直り始め、おなかがへこむ

支えるために力を使っている状態から、無理に動こうとすると、筋肉は過剰に力を使うことになって怪我をする可能性があります。

良い動きを楽に行うためには、まず適度に脱力して待機していることが重要です。

そのためには、ヨガのポーズを行うときも、日常生活でも、スポーツをするときも、センターラインを中心に、骨が正しく並んでいることを意識しましょう。

ピンチャマユラーサナ(孔雀の羽のポーズ)

部分と全体を意識して動く

筋トレやストレッチは、ピンポイントで筋肉にアプローチします。硬い筋肉、弱い筋肉に気づけている場合は、ピンポイントにそれらを行ってバランスを整えていくのも有効です。

しかし実際の日常生活やスポーツの動きは、一つの筋肉だけで行っているわけではなく、全体が協力して動いています。

どんな動きをするにも、なるべく全体を意識して行うと良いでしょう。このとき、「全ての部分に均等に意識を置いている」ような状態が理想かと思います(最初はなかなか難しいかもしれませんが)。部分を見ないで全体を見る、というのとは違います。

それは、本来は自然にできるはずのことで、難しくしているのは自分が築き上げた癖や偏りといったものです。

自分で行ってしまっている余計な癖を手放し、本来の自然な動きを思い出すようにしていくというアプローチです。そのためには、「気づき(マインドフルネス)」が必要です。

「気づき」もまた、本来備わっているものです。それを覆い隠しているものを手放していくことで、自然に輝き出てきます。

そのためには、シンプルですが、日常で行っている動きを「丁寧にゆっくりやってみる」ということなどが有効かと思います。そして癖に気づき、少しずつ手放していくことができれば、自然に適度に脱力した美しい姿勢や動きができるようになっていきます。

あるいは、ちょっとお行儀はわるいかもしれませんが、日常の姿勢や動作を行っているときに、少し体全体をゆすって脱力してみるというのも、気づきのきっかけになります。無意識にとても力が入っていたり、全然動かない部分があったりすることに気づけるかもしれません。

アーサナを行いながら、もぞもぞしてみる

10代の悩みランキングと、ヨガ・マインドフルネスの効果

理想的なイメージで動く、気の分布と流れをコントロールする

イメージトレーニングがとても有効な場合もあります。

たとえば「この人のようになりたい」という理想の人がいれば、その人はどのように呼吸し、どのようなイメージで世界を観ながら、どのように動いているだろうか、とイメージしてみるのも良いでしょう。

ただし人はそれぞれ異なるので、全く同じようにはできないかもしれません。

なので、理想の人は一つのヒントであり、実際は「理想的な自分」をイメージし、その自分はどのように呼吸し、どのようなイメージで世界を観ながら、どのように動いているだろうか、ということを詳細に描いていくのが有効かと思います。

実際に、体を変えたり動かしたり怪我や病気を治したりするエネルギーである「気」は、「意識」「イメージ」に従って流れます。

全体を意識していれば、気は全体にしっかり分布して、体を効率的に活動させてくれます。

意識が足りていないところは、感覚の鋭い人には分かってしまうので、スポーツなどで勝負するときはとても不利になります。フェイントをかけて惑わしたいときなどは、自分の意識は偏らないようにし、相手がどこに意識を向けているかを敏感に察知できるようになると有利です。

また、過去を気にしすぎていたり、未来を不安に思っていたら、気は「今」に集まらず、活力が生まれません。「気」は時を超えて流れます。

怪我をしやすい場所は、たいてい「気」が足りていないところと集まりすぎているところの境界線付近です。集まりすぎているところの隣には、足りていないところがあります。

それらのバランスを整え、全体を意識しながら自然な姿勢・動きができれば、怪我はしにくくなるでしょう。また、怪我をしてしまったあとでも、そういう意識で休養やリハビリをしていくことで回復は早くなります。

参考:気は意に従う

男性ヨガインストラクター 高橋陽介の写真

by 高橋陽介

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