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意識の向け方・扱い方

意識の向け方・扱い方

意識の扱い方を洗練させ、柔軟で病気になりにくい体へ

前の記事でも「意識」について少し書きましたが、ヨガのポーズをしているときなどに「下腹部に意識を向けましょう」などと言われて、簡単にできる人もいれば、よくわからんという人もいるかと思います。

意識の扱い方はとても奥深く、いまなんとなく出来ている人も、さらに洗練させていくことができます。

ここでは、意識の向け方について、いくつかヒントを書いてみようと思います。

この記事の目次

「見る」ことで意識を向ける

人が日常生活において意識を集めている場所は、主に顔周辺、特に「目」周辺であることが多いと思います。

人間はとにかく目に頼りがちです。

なのでそれを利用して、「目を向ける」ことで意識を向けてみましょう。

たとえば胃に意識を向けるとき、目を閉じて、胃の方向へ目を向けるように意識してみます。実際に眼球が下の方へ動いても構いません。

しばらくじっと胃を見つめてみます。もし、胃にも個別の意識があるとしたら、見られている胃はどう感じるでしょうか。それは見つめ方にもよるかもしれません。どんな目で見つめるのか。優しく見守るようにするのと、睨むように見るのとでは、胃の方も感じ方が異なるはずです。

部分に意識を向けることができるようになったら、次は「全身を見る」のを練習してみると良いでしょう。いろんな方向から、全身を眺めてみます。たとえば斜め上から、後ろから、どんな角度からでも。あるいは体の中までも浸透するように。

どんな姿勢のときも、ヨガポーズをしているときも、このような全身を見るという意識でいられると良いですね。

手をあてる

顔や目に続いて、意識が集まりがちな場所としては「手」があるでしょう。

手を使うことも意識を向ける手助けになります。

これは病気のときや調子の悪いときなどに、自然と人はやっていることです。調子の悪いところに手をあててみましょう。

手をあてて、しばらく深い呼吸をしてみます。ぐいぐい押してはいけません。ただふわっとあてているだけで良いです。物質的な筋肉をほぐそうとしているのではなく、意識の次元の話です。意識が変わると、肉体は少し遅れて変化していきます。

手をかざす

意識がその方向・周辺へ向くのであれば、「物理的に触る」必要もないわけです。つまり手をかざすだけでも効果はあります。たとえば調子の悪いところの、体表から10cmくらいのところに手をかざして、深い呼吸をしばらく続けてみると変化が現れるはずです。

怪我をしているところや、お化粧をくずしたくないところや局部など触りにくいところに有効な技です。

見た目的には、魔法のようなあやしい術にも見えるかもしれませんが、「意識」というものを扱っていると考えると納得できるかと思います。

優しい意識で手をかざされると体が癒やされる気がすると思いますが、邪な意識で手をかざされたら嫌な気分になりますね。しっかり変化が現れるので、行うときは真剣にやってみるようにしましょう。

光などのイメージを用いる

意識の分布を、光のオーラでイメージしてみるというのも有効な場合があります。

意識が偏っているところには、光が濃くなっています。平常時は、顔や目のあたりに光が集中しているでしょう。

その光が、調子の悪いところに集まるようにイメージして、しばらく待ってみます。すると自然にその部分が活性化してくるはずです。

慣れてきたら、その光を全身に均一に広げてみるようにしてみます。さらに先へ進むなら、その光で家全体を包んでみたり、地球全体を包んでみたりといったこともできます。

視野が広い人、愛とはなにかを知っている人などは、この光が自分という輪郭にとどまらず広くひろがっているのでしょう。

攻撃的な人や執着の強い人は、尖った輪郭で攻撃的な色をした光をまとっているかもしれません。

先ほどの目の使い方のように、光にもいろいろな性質をもたせることができます。色や温かさなど、目的にあった光を用いることができるとより効果的です。よくわからない場合は、治療やセルフケアのときは白い光を用いると良いかもしれません。

植物などのイメージを用いる

植物を注意深く観察してみると、どんなに大きく育っても、全体にしっかり意識が通っているのだなと感じます。

全身で光や温度や周りの障害物などを感じ取り、最適な形に育ち、最適な場所に花を咲かせる。

人間の体も、裏側で心身を整えてくれる潜在的な意識は、そのように働いているように思えます。

その潜在的な意識に委ねて、いったん心身を整える時間をつくるには、植物になったようなイメージするのもひとつの方法だと思います。

種から育ち、葉を茂らせて花を咲かせて、また種をつくる、そういった植物の一生をイメージします。そういえばルドルフ・シュタイナー氏の瞑想法にもこのような方法が入っていました。

参考文献:「いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか (ちくま学芸文庫 シ 8-3)」ルドルフ シュタイナー (著)

「木のポーズ」も熟練すればその境地に達するかもしれませんが、長時間キープはなかなか難しいですね。木になりきれるように、少しずつ練習していきましょう。

ヴリクシャーサナ(立ち木のポーズ)

呼吸を用いる

慣れればこの方法が一番便利かなと思います。

手を使ったり、目を閉じたりしなくても、いつでもどこでもできます。

呼吸は、意識しなくてもできるものですが、意識すればいろいろなやり方ができ、心身を大きく変える可能性のあるものです。

呼吸するときに実際に物質的にふくらむのは肺であり、動くのは横隔膜や胸腔や腹腔周辺の筋肉ですが、それ以外の場所にも呼吸で意識を通すことができます。

目的の場所が、吸ったときにふくらみ、吐いたときにしぼむ、吸ったときに新鮮なエネルギーが行き渡り、吐いたときに使い古したエネルギーが出ていく、そんなイメージをします。

それはたとえば、ふだん呼吸で動くことがなさそうな、ハムストリングスやふくらはぎといった場所に対しても行えます。

ダウンドッグや前屈をするとき、ハムストリングスやふくらはぎがかたくてつらいことも多いでしょう。

アドムカシュヴァーナーサナ(ダウンドッグ)

深い呼吸をしながら、ハムストリングスやふくらはぎにエネルギーが行き渡り、かたまっていた老廃物が出ていくようなイメージで行うと、ポーズが深まるきっかけになるかもしれません。

肩こりや眼精疲労がひどい人は、調子の悪い部分に新鮮なエネルギーが流れて、古いエネルギーがでていくようなイメージで、しばらく深い呼吸をしてみると良いでしょう。

参考:ヨーガスートラ解説 2.49-2.53 〜プラーナーヤーマ(調気・呼吸法)〜
参考:ハタヨーガプラディーピカー概説 2.1-2.6 〜プラーナーヤーマの目的〜

男性ヨガインストラクター 高橋陽介の写真

by 高橋陽介

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