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SO-HAM(ソーハム)瞑想のやり方・効果・意味、マントラの音に関する考察

SO-HAM(ソーハム)瞑想のやり方・効果・意味、マントラの音に関する考察

物質世界に執着することなく、本来の「私」を思い出すべし

「ソーハム瞑想」として瞑想にもよく用いられる、SO-HAM(ソーハム)のマントラについて、やり方や意味・効果について簡単にまとめておきます。

用語辞典:マントラ

この記事の目次

SO-HAM(ソーハム)の意味と効果

ソーハムはSohamあるいはSohumと表記される、ヒンドゥー教のマントラ(真言)です。

意味は主に「私は”それ”である」と訳されます。

“それ”とはなんなのか?

ヒンドゥー教の元になった古代の教典ヴェーダによれば「宇宙意識ブラフマン(梵)」が”それ”であるとされ、物質世界は”それ”がつくりあげた「マーヤー(幻)」の世界であり、ブラフマンだけが真実在であるとされます。

用語辞典:ブラフマン(梵)
用語辞典:サット(実在)

ふだん”私”だと思い込んでいるこの身体や心は”それ”がつくったものであり、「本当の私」は”それ”そのものである、という考え方です。それをシンプルに表したのが、ソーハムというマントラです。

「ヨーガ」という言葉は様々な意味で用いられますが、基本的に語源となった言葉に近いのは「むすぶ」「合一」といった意味で、「私」と「ブラフマン」はもともとひとつ・同じものだったということを「悟る」のがヨーガであるとも考えられ、日本でも「梵我一如」という言葉が使われています。

日々変化し、いろいろなことを経験し、ものを食べて、いずれ死んでゆく、この肉体や物質世界に執着することなく、本来の「私」を思い出すべしということが込められたマントラと言えるかと思います。

具体的な効果としては、そういった本来の私に気づくことで、様々な出来事に対して心を乱されることが少なくなっていき、心が飛び回っていた状態からリラックス&集中した状態に切り替えることがうまくなっていきます。

また、Sohamはハンサ Haṃsa(白鳥)をひっくり返した語(Sa Ham)であるとも解釈され、白鳥は「悟りを得た人」を表す象徴としても用いられます。

スティーブ・ジョブズがiPadに入れて愛読していたことで知られる「あるヨギの自叙伝」の著者は、「パラマハンサ・ヨガナンダ」と称されますが、パラマハンサは至上の白鳥であり大覚者であるということを表しています。

ちなみに日本ではあまりメジャーではないようですが、「白鳥のポーズ」もあります。

マユラーサナ(孔雀のポーズ)のことをハンサアーサナと呼ぶこともあるようですし、準備ポーズとして足が地面についている形をハンサアーサナと呼ぶこともあるようです。比較的新しく作られたポーズは、流派などによって呼び名が様々です。

マユラーサナ(孔雀のポーズ)

SO-HAM(ソーハム)瞑想のやり方

やり方にはいろいろなバリエーションがあるかと思いますので、ここに挙げるのはひとつの例です。

基本的には、マントラ瞑想とはいえSO-HAM(ソーハム)を「発音しないで頭の中で唱える」というやり方が用いられることが多いです。

SO-HAM(ソーハム)を発音しない。効果はあるのか?

発音しなくても効果があるのか?と思うかもしれません。

たとえば好きな人に良い言葉をかけられる想像をしたとき、良い気持ちになりますね。

逆に、過去に悪い言葉をかけられた記憶を呼び起こしてしまって、そのときと同じ嫌な気持ちになってしまう人も多いかもしれません。

このように、人は明確にイメージすることで、実際に「経験」したのと同じように(あるいはそれ以上に)脳に変化が現れます。

思考にもそういった力がありますので、ついついふだん考えてしまっているコトにも、注意を向けるようにしましょう。

発音しないからこそ、普段の生活に溶け込ませられる

いろいろな瞑想法やマントラ(真言)がありますが、SO-HAMは呼吸と共に簡単に行える上に、意味としても非常に重要なものとされています。

吸うときにSO、吐くときにHAMを唱えるようにイメージするというのがSO-HAM瞑想ですが、じつは意識をしていなかったとしても、生まれたときからずっと呼吸とともにSO-HAMを唱え続けていたのだ、と考えることもできます。

人間は一日に平均2万回ほど呼吸しますが、一日に2万回、SO-HAMを唱えている。生まれたときからずっと「私は”それ”である」と知っていて数億回も唱え続けているというわけです。

それはこじつけっぽいなぁと思うかもしれませんが、それだけSO-HAMは身近で大事なマントラととらえて、これからは意識的に実践してみるのも良いかもしれません。

すぐに忘れてしまいがちな本来の「私」を、ひとつの呼吸で、すぐに思い出すことができるようになります。

SO-HAM(ソーハム)瞑想の基本的なやり方

まずは基本的なやり方です。

1)どんな姿勢でも、行うことができます。あぐらで座っていても、椅子で座っていても、立っていても、歩いていても構いません。

2)気持ち良い程度に呼吸を長く深くし、呼吸に合わせてSO-HAMを頭の中で唱えます。吸う息でSoooooo(ソーーーーー)吐く息でHammmmm(ハンーーーーー)と唱えているようにイメージします。mはムというよりは、こもったンに近い音で、口の形はウではなく閉じているイメージです(発音はしません)。あまり無理に長い呼吸にする必要はありません。

3)2〜3分ほど続けます。気持ち良く続けられそうであれば、5分、10分など少しずつ時間を長くしていきます。

※SoとHamを逆の呼吸で行っている例もあるようですが、上記のようにSoで吸う・Hamで吐くが一般的のようです。まずはこのやり方で練習して、自分の感覚で気持ち良いやり方を見つけると良いかと思います。

背骨に意識を通すやり方

背骨に意識を通し、姿勢改善や自律神経を整える効果も強まります。

1)どんな姿勢でも、行うことができます。あぐらで座っていても、椅子で座っていても、立っていても、歩いていても構いません。

2)気持ち良い程度に呼吸を長く深くし、呼吸に合わせてSO-HAMを頭の中で唱えます。吸う息でSoooooo(ソーーーーー)吐く息でHammmmm(ハンーーーーー)と唱えているようにイメージします。

3)息を吐ききったときに骨盤底に意識を置き、吸う息でSoooooo(ソーーーーー)の音のイメージとともに背骨を通って意識を集中するポイントを上へ移動させていきます。吸いきったときに頭頂に意識を置きます。

4)息を吐き始めたら、Hammmmm(ハンーーーーー)の音のイメージとともに背骨を通って意識を集中するポイントを下へ移動させていきます。吐ききったときに骨盤底に意識を置きます。

5)2〜3分ほど続けます。気持ち良く続けられそうであれば、5分、10分など少しずつ時間を長くしていきます。

クンダリーニヨーガの行法として行うやり方

サティヤナンダ氏のクンダリーニヨーガの行法の中に、SO-HAMを用いた行法があります。

参考:クンダリニーヨーガ(クンダリニーヨガ)の研究まとめ

ただ、こちらは一連の行法のなかのひとつであり、断片的にこれだけを実践するためのものではありませんので、ここで詳しく紹介することはやめておきます。

サティヤナンダ氏のクンダリーニヨーガの行法を示した「クンダリニー・タントラ」を読んでいく連載記事を書きましたので、気になる方は参考にしてみてください。

参考:「クンダリニー・タントラ」をこれから読む方へ、目的別・読み進め方

画像出典:KUNDALINI TANTRA p.179

「瞑想」の意味と始め方・続け方

ヨーガにおける「瞑想」とは、なにかに集中することを、努力なく自然に絶え間なく続けられるようになった状態を示します。

参考:「集中」と「瞑想」の比較

その集中する対象として、「呼吸」や「姿勢」が用いられることもありますし、SO-HAM(ソーハム)のように音に出さないマントラ(アジャパジャパ)が用いられることもあります。

集中する最適な対象は、人それぞれ、状態によって異なります。SO-HAM(ソーハム)瞑想が気持ち良いと思うのであれば、比較的いつでも行える瞑想法ですし、しばらく続けてみると良いでしょう。

なにかに集中をしているときは、雑念が消えているはずです。

雑念にまどわされないように、切り替えがうまくなると、たとえば必要以上にネガティブに考えてしまう・過去にこだわってしまうといった思考の癖にとらわれることなく、物事をありのまま落ち着いて観ることができるようになります。

集中する対象は、「自分を高めてくれるもの」が良いでしょう。対象が今の自分に合っていないなと思ったら、変えていけば良いと思います。

参考:瞑想・マインドフルネス入門

SO-HAM(ソーハム)マントラの音に関する考察

「音」にはそれだけで様々な意味と効果があります。SO-HAMという音にはどんな意味があるのか、ヨーガの行法やヨーガ以外の理論と、私の体感をあわせて考察してみたいと思います。

ちょっと難しい・あやしい話にもなってきますので、ソーハム瞑想のやり方だけ知りたかった方や初心者の方は、ここからは読まなくても構いません。

Sの音の効果

Sssss(スーーーー)という音、正確には前歯を空気が通り抜ける無声音ですが、この音はクンダリーニを呼び起こす音としても知られています。

用語辞典:クンダリーニ
用語辞典:チャクラ

音がなぜチャクラなどに関係するのかと疑問に思うかもしれませんが、すべてのものは固有振動数を持っていて、その音を鳴らせば共鳴振動するため、特定の音に反応して脳の部位や内分泌腺や臓器などが活発に動き始めるというのは、十分に考えられることです。逆に、不快な音を聞いて頭の働きが鈍る、ということのほうが身近にあるかもしれません。良い音を聞くと、それだけで脳の働きは良くなったりします。

前歯で発せられる音は、脳に近い部分というのもあり、Sssssの音が脳幹付近に影響を与えている可能性はあるかと思います。

Oの音の効果

Oooooo(オーーーー)という音は、最重要のマントラOMにも含まれている音です。

たとえばフランクリンメソッドでは、Oの音を出すことは骨盤底から頭頂までの空間を震わせてリラックスし、呼吸を深めるために重要なエクササイズになるとしています。

参考:「骨盤力 フランクリンメソッド」エリック フランクリン (著), ディスマー ゆかり (翻訳)

たしかに、オーという口の形をして発音をすると、骨盤底と頭頂に刺激があるというのは体感できます。

そして骨盤底に関わるということは生殖器の働きやオーガズムなどにも関係していて、性感が高まると「オー」に近い声を発することが自然に導かれる(逆も然りで、オーの音で性感が高まる)といったことが起こり得ます。

頭頂と骨盤底を結びつけるという意識が高まるので、中央のスシュムナーナディの通りを良くするためにも重要な音ではないかと思われます。

また、サマエル・アウン・ベオール氏の理論では、Oの音は心臓のチャクラを呼び覚ますマントラであるとされています。

参考:「ロゴス・マントラ・テウルヒア」サマエル・アウン・ベオール (著)

HAM(HUM)の音の効果

HAMの唱え方としては、HAAAAAAAAAMのようにアで伸ばすやり方と、HAMMMMMMMのようにム(ン)で伸ばすやり方が考えられますが、ソーハム瞑想においてはムで伸ばすほうが多いかと思います。

Aの音は、サマエル・アウン・ベオール氏の理論では、肺のチャクラを目覚めさせるマントラであるとされます。インドのチャクラ理論にはあまりでてこないチャクラです。また、Aもまた性感に関係のある音であると思います。

Mの音は、男性では前立腺、女性では子宮のチャクラに関係のある音であるという考え方があります。これらもやはり性に大きく関係する部分です。

HAMというマントラとしては、喉のチャクラ(ヴィシュッダまたはヴィシュッディ)を目覚めさせるビージャマントラとして用いられます。

一方、HUMとした場合は、これはOMが一連のマントラの頭に唱えられるのと同じように、最後に加えられることが多い言葉となります。代表的なものとしては、Om Mani Padme Hum(オーム マニ パドメ フーム)というマントラがあります。HUMも様々な意味で用いられるようですが、邪を祓う・焼き尽くすといった意味で用いられることが多いようです。

SO-HAM瞑想として通常の意識の置き方としては、前述のように背骨を通って骨盤底から頭頂までのエネルギーラインを、呼吸に応じて上下させるというのが良いかと思いますが、Aの音・Mの音・HAMのビージャマントラをそれぞれ特定の部位に意識を集中して唱えると、それぞれ異なる効果もあるでしょう。

性とマントラの関係

音について考えていくと、マントラは性にも非常に関係しているのではないかということが見えてきます。

これらの音を実際に性行為の際に用いることもできますし、性行為を禁じられていた僧侶たちはマントラを使ってオーガズム(あるいは性行為よりも強い感覚)を得ていたとも考えられます。

なにやら、いかがわしい話にもなってきますが、こういったものからも目をそらさず、人間の本質を考えていくと良いでしょう。

声・音と感覚の関係

性感に限らず、気持ち良いと思ったときや何か特別な感覚を得たとき、「ああ」とか「おお〜」とか、人や動物は自然に声を発します。

その声自体にも意味があり、声が感覚を呼び覚ますことも十分にありえることで、そのように感覚と音は深くつながっていると考えられます。

声や音は、触ったり食べたりして得られる一般的な感覚だけではなく、超感覚と言ってしまうとあやしくなりますが、そういった特殊な感覚を起こすような可能性もあるのだと思います。

マントラの扱い方

マントラのようなコトバ・音は、性や内分泌や脳の働きといった肉体的なもの・精神的なものまで含めて、人間の本質にとても大きく関わっていると考えられます。

テキトーに唱えるだけでも、音としての効果は”現れてしまいます”。SNSに投稿する際など、コトバを発するときは、細心の注意が必要です。

しっかり意識的に音を用いることができるようになれば、身体の動きや思考だけでは得られなかった様々な効果が得られるようになっていきます。

繊細な感覚を持って、マントラを扱うようにしましょう。

ちょっとしたSO-HAM(ソーハム)の活用法

ブラフマンとか難しい話は置いておいて、「私は”それ”である」の”それ”を「理想的な自分」としてとらえてみると、SO-HAMが日常的に役立つかもしれません。

人間は思考の癖が強く、変わろうと思っても、すぐにまた「いつもの」自分に戻ってしまいます。

気づきを常に働かせていれば、本当に行きたい方向へ行けるはずなのですが、なかなか癖は手強く、すぐに忘れてしまいます。

手強い引力から逃れるには、本来自分はどうなりたいのかというのを「なるべく常に」覚えている必要あります。

なるべく常に、思い出すために、SO-HAMはとても良い働きをしてくれます。

私は本来このような(理想的な)人間であり「そのように」振る舞うのだということを祈ってSO-HAMを唱えると、それを自然に導いてくれるような気がします。

もしやせたいのなら、やせている自分らしく振る舞う必要があります。でもすぐに忘れて、いつものお菓子を食べてしまいます。

姿勢の良い自分をつくりたいけれど、脊柱起立筋を使って・腸腰筋と腹横筋を使って…と細かいことを覚えていようとすると、思い出すのが難しくなります。

忘れてしまったとき、いつもの自分に戻ってしまいそうなとき、呼吸とともにSO-HAMを唱えてみると、自然にやるべきことを思い出させてくれるかもしれません。

男性ヨガインストラクター 高橋陽介の写真

高橋陽介

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