セルフケアやヨーガの勉強などのために、私が読んできた書籍を紹介していきます。
今回は、「ヨーガとこころの科学: マインドその神秘さとコントロール法/スワミ シバナンダ (著)」です。
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簡単に言うと、どんな本?
現代ヨガの主流な流派の一つであるシヴァナンダヨガで著名なスワミ・シヴァナンダ(シバナンダ)氏による、「心」について解説した本です。
インドに古来から伝わる様々な学説を交え、元々医師であったシヴァナンダ氏の経験を込めて書かれていて、難解な部分も多いですが、ひとつのテーマについて数行の端的な文章で綴られているので、読み進めて行きやすい構成になっています。
マインドのコントロール法と聞くと「洗脳…?」と発想してしまう日本人も多いかもしれませんが、そのための本ではありません(それにもつながる理論は多数含まれてはいますが)。主に自分のこころをうまくコントロールするための原理や技法を学べる本となるかと思います。
シヴァナンダ氏は、私が連載記事として書いていた「クンダリニー・タントラ」の著者であるサティヤナンダ氏の師匠です。シヴァナンダ氏自身もクンダリニーヨーガについての本を出版していて、こちらは無料でWebに公開されています。以下の記事で紹介しています。
参考:「クンダリニーヨーガ/シヴァナンダ(著)」の目次構成と特徴
用語:シヴァナンダ
用語:サティヤナンダ
どんな人にオススメ?
瞑想を実践している人、ハタヨーガ・クンダリニーヨーガを実践している人や、「心」「意識」といった人間の本質に関わることについて知りたい人には、多くのヒントが込められている本かと思います。この本では、「心」を物質のように捉え、客観的にいろいろな視点から観ながら、その構造や性質を解説しています。
インド哲学には主流な6つの学派があり、またインドには「聖典」とされているものもたくさんあり、それらを研究してきたシヴァナンダ氏による様々な視点からの「心」の捉え方が示されています。インド哲学に興味のある人には、その一端に触れることができるかと思います。
ヨーガではコーシャやシャリーラといった微細身の概念があり、神智学ではアストラル体・メンタル体・コーザル体といったものが出てきますが、この本では神智学で使われている用語も用いて心と各微細身の関係について端的に説明されています。神智学とヨーガの関係に興味のある人にも参考になるかと思います。
ヨーガのゴールであるサマーディに至るには様々な道があり、チャクラ・ナディ・クンダリニーといったものを用いたハタヨーガの道、深い瞑想によって至るラージャヨーガの道、ただブラフマンのみに関心を向けるヴェーダーンタ派の道など、バガヴァッドギーターでクリシュナがアルジュナに教えていたように、シヴァナンダ氏も人それぞれに合った道を示しています。ヨガを実践してきた中で、あるいは今まで生きてきた中で、この道は自分に合っているのか?と迷いが生じてきた人には、ヒントが得られるかもしれません。
私個人の読んだ時期・感想
私がこの本を購入したのは、インドに行く前にシヴァナンダヨガについて調べていた時期だったようです。
シヴァナンダヨガに関する本としては、最初にRYTを検討していたときに購入した「ヨーガ 本質と実践」を持っていたのですが、私は何か流派やメソッドを深く調べようと思ったときはその提唱者自身の著書を読んでみたいと思うので、あまり何も考えずにシヴァナンダ氏の本を検索してレビューの良かったこの本を選んだ気がします(正確にはシヴァナンダヨガは弟子のヴィシュヌデヴァナンダ氏によって作られたと知り、後で「The Complete Illustrated Book of Yoga(英語版)」を読みました)。
最初に読んだときは、とても難解でわからない部分が多かったのですが、彼が「レギュラリティ(規則正しさ)」を重視しているということや、一日のうち◯時間をアーサナ・◯時間を瞑想・◯時間を聖典の研究に費やしなさいといった例が出ていたりしたのは、自分の実践を深める上で参考になりました。
またそのころ私はヨーガスートラ・ハタヨーガプラディーピカー・バガヴァッドギーターの研究などは断片的に行っていたのですが、どうも色々な道がありすぎてまだヨーガというものがわかっていなかった時期でした。
そんな時期に、この本を見つけられたのは心強く感じました。どうやらこのシヴァナンダという人は膨大なインドの叡智を、比較的偏りのない視点で、しかも医師としてのバックグラウンドもありながら研究されてきた人らしいので、私も研究を進めていく中でこの本は度々参考にすることができそうだと思えました。
実際ようやく内容が理解できてきたのは、ヨーガスートラ(サーンキャ哲学)・ハタヨーガ・クンダリニーヨーガや神智学について研究を深めた後です。まだまだ深く理解できていない部分もあり、今読んでもたくさん気づきがあります。
前項にも書きましたが、この本の大きな特徴として、一つのテーマについてほんの数行で端的に説明されているということです。パッとどこかのページを開いて見るだけで、一つのテーマについてすぐにヒントが得られます。シヴァナンダ氏にもし実際に質問しに行ったとしたら、このように端的に答えてくれていたのかもしれません。研究と経験の末に、知識を研ぎ澄ました上に現れるシンプルな表現のように感じます。
私もいろいろな課題を持った人たちに質問されますが、このようにシンプルに道を示してあげられれば良いなと、この本を読んだとき(7〜8年前)に思いました。今も研究を続け、磨き続けています。
ちなみに関連書籍の「ヨーガと空の科学」もシヴァナンダ氏自身の著書で、こちらも端的に様々なテーマについて解説されています。他に「ヨーガとからだの科学」「ヨーガといのちの科学」がありますが、これらはシヴァナンダ氏自身ではなく弟子による著書で、私は今のところ読んでいません。
「ヨーガとこころの科学」の目次
- 第一部 心とは何か
心は存在する
心と体
プラーナ・クンダリニー・チャクラほか - 第二部 心はこう働き、こう欺く
心の機能
三つのドーシャ〈病素〉がある
知覚の理論
印象
思考と想像
思考が世界をつくる
思考のパワー
欲望
愛憎
沈黙と内省ほか - 第三部 心をどうコントロールするか
心を支配する方法
精神集中
瞑想
瞑想中の体験と障害
サマーディほか - 付記 サイキック・パワーの偉力
「ヨーガとこころの科学」の購入先
Amazon
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