梵:कोष koṣa
英:container, pocket
日:鞘、入れ物
コーシャの意味
コーシャとは、人間の存在を構成する複数の体(層・鞘)。
人間は物質的な体だけではなく、いくつかの微細な体を持っていて、それぞれが機能を果たしながら存在している。
5つのコーシャ(パンチャコーシャ)
多くのヨーガ哲学において、人間の体は以下の5つの層(パンチャコーシャ)に分かれていると定義される。
- アンナマヤコーシャ(食物鞘)
- プラーナマヤコーシャ(生気鞘)
- マノーマヤコーシャ(意思鞘)
- ヴィグニャーナマヤコーシャ(理知鞘)
- アーナンダマヤコーシャ(歓喜鞘)
一般に「自分」だと思いこんでいる「肉体」は、アンナマヤコーシャであり、最も粗大(粗雑)な層である。
どの順番で「内側」とするかは、捉え方によって異なる。
- 物理的な大きさとしてはアンナマヤコーシャが最も内側で、アーナンダマヤコーシャが全てを包んでいるとされることが多い。
- アートマン(Atman・最も奥にあるもの・真我)に最も近い層という捉え方では、アーナンダマヤコーシャが最も内側であるが、アートマンがすべてを包んでいると捉える場合もある。
コーシャとシャリーラの対応関係
コーシャは、3つのシャリーラや神智学で定義される各体との対応関係を言及されることもある。
コーシャとシャリーラは、下記のような対応関係となる。
- ストゥーラ・シャリーラ(粗大身):アンナマヤコーシャ(食物鞘)
- スークシュマ・シャリーラ(微細身):プラーナマヤコーシャ(生気鞘)・マノーマヤコーシャ(意思鞘)・ヴィグニャーナマヤコーシャ(理知鞘)
- カーラナ・シャリーラ(原因身):アーナンダマヤコーシャ(歓喜鞘)
コーシャと神智学の微細身の対応関係
A・E・パウエル氏による「神智学大要」の中では、コーシャと神智学による各体を下記のように対応させている。
- アンナマヤコーシャ:肉体
- プラーナマヤコーシャ:プラーナ
- マノーマヤコーシャ:下位精神と欲望
- ヴィグニャーナマヤコーシャ:上位精神
- アーナンダマヤコーシャ:ブッディ
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