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ジャーヌシルシャーサナ(片脚前屈)のバリエーション

ジャーヌシルシャーサナ(片脚前屈)のバリエーション

「支配する」ではなく、「解放する」あるいは「一体となる」という姿勢で

坐位の片脚前屈ポーズ、ジャーヌシルシャーサナ

椅子生活に慣れている現代人にとっては、太もも裏・お尻が固くてこのアーサナが難しいことも多いかと思います。

いきなり深く行おうとしても怪我をしてしまったり、腰を丸める形で続けているとヘルニアになってしまったりすることもあるので、正しく少しずつ深めていくのが良いでしょう。

柔軟性に合わせて行えるバリエーションを、いくつか紹介します。

この記事の目次

まず、骨盤を立てて長座の姿勢をとる

ヨガの前屈は、骨盤を前傾していく動きです。

前屈に入る前に、骨盤が後ろに倒れてしまっていると、腰を丸めてしまうだけで、前屈は深まりません。

まずは膝が曲がっても良いので、骨盤を立てて長座の姿勢をつくることを心がけてみましょう。壁を背にして練習するのも良いでしょう。

≫ダンダーサナ(長座)

ジャーヌシルシャーサナの基本的なやり方

1)長座(ダンダーサナ)で座ります。膝が曲がっていても構いませんので、骨盤が後ろに倒れないようにします。

2)左右のお尻がズレないように、右脚をしっかり曲げて足を引き寄せ、膝を外に倒します(股関節を外回し)。

3)吸いながら、少し上を見上げて胸の前を伸ばし、腰を反らします(骨盤を前傾)。

4)吐きながら、背骨と太もも裏を伸ばして前屈していきます。1呼吸ずつ、前屈を深めていきます。気持ち良い範囲で、5〜15呼吸ほどキープします。

5)アーサナから抜けるときは、吸いながら上半身を持ち上げて、一度吐いてリラックス。長座にもどり、逆側も同様に行います。

柔軟性に応じたジャーヌシルシャーサナのバリエーション

前屈でストレッチされるのは主に下記2つ。

  • 背中
  • 太もも裏(ハムストリングス・大臀筋)

本当はこのどちらも伸ばしたいところですが、柔軟性が足りないうちは、どちらにフォーカスするかを考えて形を変えると良いでしょう。

あとは、曲げている側の脚も重要です。

  • 膝を曲げる
  • 股関節を外回しする

太もも前の筋肉(大腿四頭筋)が硬い場合などで、膝がしっかり曲げられていないと、かかとと骨盤の間に隙間ができます。

その形で無理に股関節を回そうとすると、膝が保護されず、膝を痛めることがあります。

大腿四頭筋を伸ばすには、割座や正座を練習すると良いでしょう。

≫ヴィラーサナ(割座)

股関節を外回しする柔軟性が足りず膝が浮いてしまう場合は、下に畳んだバスタオルなどを敷いておきます。

股関節の外回しを深めるには、パワンムクターサナ1に含まれているハーフバタフライなどが有効です。

≫ヨガの準備運動・パワンムクターサナ1

背中を伸ばす

背中を「伸ばす」という言葉を聞いた時、

  • まっすぐ伸ばす
  • 丸める

どちらを思い浮かべますか?

背中の長さだけで言えば、丸めるほうが長くなります。しかし伸ばすと言うとまっすぐなイメージもあります。

言葉だけに頼ってしまうと、全く別の伝わり方をしてしまう。そんな顕著な例でもあります。

どのような背骨の使い方がいいのか、いろいろな説があり、それぞれに効果があるのだと思います。

ただ、悪い例としては、

  • ×首が前にでていて胸が極端に丸まっている(いわゆる猫背)
  • ×骨盤の前傾が足りず、腰が極端に丸まっている

といったように、一箇所に負担が集中するような形で続けていると、ヘルニアになってしまうこともありますので、背中を丸めて伸ばす際も全体で長〜いCの字を描くように使うのが良いでしょう。

太もも裏を伸ばす

太もも裏をストレッチすることに集中するのであれば、背中はまっすぐにしたまま骨盤を前傾させていくのが良いでしょう。

「顔を足に近づけよう」ということだけを目指すと、背中を丸めるだけになってしまうことが多くなります。

太もも裏にストレッチを感じることができれば、膝は曲がった状態から始めて構いません。

手が足にとどくようであればしっかり持ち、足は遠くへ、手は引き寄せるようにして引っ張り合いながら膝を伸ばしていくことを目指します。

手が足にとどかないようであれば、ベルトやタオルなどを足にひっかけて、引っ張り合う力をつくりだします。

この場合は、柔軟性が足りなくても、ベルトを持つ長さを変えることで膝を伸ばすことができますので、なるべく膝を伸ばして行ってみるようにしましょう。

アシュタンガヨガにおけるジャーヌシルシャーサナA〜C

アシュタンガヨガでは、曲げている脚の置き方によって、A〜Cのバリエーションがあります。

≫アシュタンガヨガ(ハーフプライマリー)のポーズ内容・順番

ジャーヌシルシャーサナA

曲げた膝を後ろに引き、骨盤はナナメ前を向きます。股関節を外回ししてアーサナに入り、アーサナ中は内回しして抵抗する力を加えながら前屈します。

≫ジャーヌシルシャーサナAの解説

ジャーヌシルシャーサナB

曲げた脚のカカトの上に骨盤底で座ります。アーサナに入る際は股関節を内回し(スネが床のほうを向く)して、アーサナ中は外回しして抵抗する力を加えながら前屈します。

≫ジャーヌシルシャーサナBの解説

ジャーヌシルシャーサナC

曲げた側の足を垂直に立てる形です。股関節を大きく外に回してアーサナに入り、アーサナ中は内回しをして抵抗する力を加えながら前屈します。

≫ジャーヌシルシャーサナCの解説

その他の関連ポーズ

≫パリヴリッタジャーヌシルシャーサナ

前屈を深める上での心構え

ドイツ人のグレゴール・メーレ氏の本に書かれていた一説が印象的でした。

西洋文化とは、自然の姿を支配し抑制するように仕向けられている。自然より自分自身を高く位置づけているのである。これは、イスにすわるという習慣にも反映されている。地より高く、地から離れた状態なのである。アジアなど西洋以外の多くの文明では、人は地面の上にすわっていた。これは、人類は自然の一部であり自然の所有者ではないという見解に対応したものである。その上、地面にすわることによって股関節は開かれるのである。

椅子生活を広めた西洋人の立場から、このような見解が述べられているのは説得力があります。

現代人にとって、前屈を難しくしてしまった原因である「椅子」。椅子は、地面より高いところに坐って自然を支配しようとする人間の姿勢の象徴であると言います。このような意識で実践していても、前屈は深まりません。

そしてさらに強い前屈のポーズであるクールマーサナ・スプタクールマーサナなどを行うには、より謙虚な気持ちが必要であると述べられています。

≫クールマーサナ(亀のポーズ)

地べたに坐って、自然と一体となる気持ちで、あぐらや正座で生活していれば、股関節もハムストリングスも固くはならないはずです。

前屈を深めようとした場合、体を「支配しよう」という気持ちで無理やりハムストリングスを伸ばそうとしてしまうと、いつまでも深まらず、怪我につながってしまうこともあります。

ヨガの教えでは、体も心も「自分」ではなく「自然界の一部」とされています。

≫ヨーガスートラ解説 1.3-1.4 〜真我はただ世界を観ている〜

支配するのではなく、執着という壁を取り去って「解放する」、あるいは自然界と「一体となる」という姿勢で臨むことで、体は「自然に」動くようになっていくのだと思います。

参考文献

男性ヨガインストラクター 高橋陽介の写真

高橋陽介

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