片脚を割座にして前屈するポーズ、トリアンガムカエーカパーダパスチモッターナーサナ(ティリヤンムカエーカパーダパスチモッターナーサナ)。
トリ「3」、アンガ「分かれた」、ムカ「向かって」、エーカ「1」、パーダ「脚」、パスチマ「西」、ウッターナ「強く伸ばす」の意味。長い長い。日本語にすると「3方向に手脚を伸ばした片脚前屈ポーズ」です。
「ティリヤンムカイカパダパスチモッターナーサナ」など、日本語でも英語でも結構異なる表記が用いられるややこしい名前のポーズですが、形はシンプルです。
ポーズに入る際とポーズ中の股関節回旋の方向については混乱しやすいので、ジャーヌシルシャーサナAのコツに関する記載を参考にしてください。
アシュタンガヨガのプライマリーシリーズ、坐位の片脚前屈ポーズの2番目に出てきます。
この記事の目次
トリアンガムカエーカパーダパスチモッターナーサナの主な効果
- 股関節内旋の柔軟性UP(曲げた脚)
- 太ももの前側(大腿四頭筋)のストレッチ(曲げた脚)
- ハムストリングス・大臀筋ストレッチ(伸ばした脚)
- 腸腰筋強化
- 足首矯正
- 腰痛の緩和
トリアンガムカエーカパーダパスチモッターナーサナの禁忌・注意点
ハムストリングスの柔軟性が足りない場合は、伸ばしている側の脚の膝を曲げるなどして調整します。
曲げている側の脚の股関節の柔軟性が足りない場合は、坐骨をブロックの上にのせて、曲げている側の足はブロックの横に置くような形で、高さをつくって前屈します。
足首や膝、太ももの筋肉を痛めている場合は避けましょう。
妊娠中の方は、お腹を太ももにおしつけないように角度を調整します。
トリアンガムカエーカパーダパスチモッターナーサナのやり方
1)長座(ダンダーサナ)で坐ります。左右のお尻をそろえたままで、右脚を曲げて足首をまっすぐのばしながら足をお尻のすぐ横に置き、右脚だけ割座の形にします。
2)体が左側に倒れやすいので、右脚のスネと足首の外側のラインに体重を乗せ、右股関節を外回しするようにします。上半身の体側は右側が縮まないようにしながら、両体側を均等に伸ばして肋骨を持ち上げ背骨を伸ばします。
3)吐きながら、強くお腹を引き入れて左脚へ向かって前屈します。左足首は90°に曲げて、足の人差し指と膝は真上を向いている状態を保ちます。両手で左足をつかみます。深められる場合は、両手のひらを足裏と同じ方向へ向け、伸ばしている脚側の手(左手)の手首を右手でつかみます。
4)ポーズ中は、右足の甲で床を押して足首をまっすぐ伸ばし、股関節を外回しし続けます。5呼吸キープ。
5)吸いながら起き上がり、逆側も同様に行います。
トリアンガムカエーカパーダパスチモッターナーサナを深める方向性
- 曲げている脚は、膝をしっかり曲げ、足首を真っすぐ伸ばして、お尻を床におろし、割座を深める。
- 前屈を深める。
トリアンガムカエーカパーダパスチモッターナーサナのコツ・練習法
左右差が出やすいので、慎重に観察しながら行う
まずヴィラーサナ(割座)をしてみて、左右の脚が同じようになっているかどうかをチェックしてみましょう。
- 足首の向き
- 膝の向き
- 骨盤の向き
- 左右のお尻の位置
座り仕事で股関節が固まっている人にとっては、かなり左右差の出やすいポーズなので、慎重に左右の差をチェックして、均一にできるように練習していきます。
練習を重ねて左右差が整うころには、歩き方も美しく、下半身のめぐりもとても良くなっているはずです。
ただ脚をたたんでいるだけでなく、股関節の回旋をしっかり意識する
割座に入るとき、股関節は少し内に回っています。そのため、お尻の外側や内部にある、外回しに関わる筋肉は適度に伸びているように意識します。
股関節の柔軟性が足りない場合は、足首や膝をひねらないように、坐骨をブロックや畳んだブランケットやクッションなどの上にのせて坐り、だんだん高さを減らしていくように練習します。
膝が痛い場合のコツ
割座をすると膝が痛い場合、過剰に負担がかかっていたり伸ばされすぎている筋肉があり、偏った使われ方をしているかもしれません。
まず股関節を引き込むような意識を常にしながら、全体の筋肉を平等に意識しながら慎重に行うようにしてみましょう。
以下の記事も参考にしてみてください。
参考:あぐら・蓮華座・割座をしたり歩いたり走ったりするときに、膝の内側が痛いときのヒント
割座は、ながらヨガでもできるので、テレビなどみながらでも深めることができます。その際も、股関節を引き込み、全体の筋肉を意識しながら、お尻周りの力を適度にリラックスしておくようにすると、効果が出やすく痛みが出にくい形で深めていくことができます。
アシュタンガヨガの他の片脚前屈ポーズとの関係性
トリアンガムカエーカパーダパスチモッターナーサナは、割座が深く組めていないうちは他の片脚前屈ポーズに比べて重力が使いにくいので、しっかり腹筋を使ってお腹を細く引き入れて前屈を深めます。
アシュタンガヨガにおける前後のポーズ、アルダバッダパドマパスチモッターナーサナとジャーヌシルシャーサナAは股関節を逆回しする前屈ポーズなので、合わせて練習していくと、自然と前屈も股関節も柔らかくなっていくような順番になっています。
アジャスト例(インストラクター向け)
- お尻が浮かないように、背中側に座り、骨盤を左右から両手で支えてサポートする。
- 足首が曲がっている場合は、まっすぐ後ろへ伸びているように修正する。
- かかととお尻の側面の間に隙間がある場合は、膝をしっかり曲げるように指示し、股関節を外回しする(お尻をしめる方向)ように、太ももを手で外方向へ回すように導く。
シークエンス例
- アシュタンガヨガのプライマリーでは、アルダバッダパドマパスチモッターナーサナ(股関節外回し)の後にトリアンガムカエーカパーダパスチモッターナーサナ(股関節内回し)を行い、ジャーヌシルシャーサナA(股関節外回し)へつなぎます。順番に行うことで、股関節を効果的に柔軟にしていきます。
- 仰向けになって、アルダスプタヴィラーサナ(半分の仰向けの割座)の形にすると、太もも前のストレッチに効きます。
アーサナ名の表記バリエーション
【日】トリアンガムカエーカパーダパスチモッターナーサナ、ティリヤンムカエーカパーダパスチモッターナーサナ、ティリヤンムカエーカパーダパスチモッターナアーサナ、ティリヤンムカイカパダパスチモッターナーサナ、トリアンガムカエーカパーダパスチモッターナアーサナ、ティリヤンムカイカパダパスチモッターナアーサナ
【梵】Trianga Mukhaikapada Paschimottanasana, Tiryan Mukha Eka Pada Paschimattanasana
【英】Intense Three-Limb Stretch