ヨーガスートラを私なりに読み進めていくシリーズ。
英訳出典:http://yogasutrastudy.info/
サンスクリット語辞書:http://spokensanskrit.org/
訳者の略称は下記の通りです。
[SS]: Swami Satchidananda
[SV]: Swami Vivekananda
Sutra 1.5 心の作用には5種類ある
वृत्तयः पञ्चतय्यः क्लिष्टाक्लिष्टाः॥५॥
vr̥ttayaḥ pañcatayyaḥ kliṣṭākliṣṭāḥ ॥5॥
(読み)ヴルッティヤハ パンチャタイヤハ クリシュタアクリシュターハ
(訳)心の作用には5つの種類があり、それらの中には苦(煩悩)を伴うものと、伴わないものがある。
[SS]: There are five kinds of mental modifications which are either painful or painless.
[SS訳]: 心の作用には5つの種類があり、それらの中には苦を伴うものと、伴わないものがある。
[SV]: There are five classes of modifications, (some) painful and (others) not painful.
[SV訳]: 心の作用には5つの種類があり、いくつかは苦を伴い、それ以外は苦を伴わない。
Sutra 1.6 心の作用の分類
प्रमाणविपर्ययविकल्पनिद्रास्मृतयः॥६॥
pramāṇa viparyaya vikalpa nidrā smr̥tayaḥ ॥6॥
(読み)プラマーナ ヴィパリヤヤ ヴィカルパ ニドラー スムルタヤーハ
(訳)それらは、正知・誤解・言葉による錯覚・睡眠・記憶である。
[SS]: They are right knowledge, misconception, verbal delusion, sleep and memory.
[SS訳]: それらは、正知・誤解・言葉による思い違い(妄想・錯覚)・睡眠・記憶である。
[SV]: (These are) right knowledge, indiscrimination, verbal delusion, sleep, and memory.
[SV訳]: それらは、正知・無分別・言葉による思い違い(妄想・錯覚)・睡眠・記憶である。
解説・考察
ヨーガによって手放したい「心の作用」は5種類あり、それらは全て苦(煩悩)を伴うものかと思いきや、苦を伴わないものも含まれると言われます。
「苦を伴うもの」はよろこんで手放したいところですが(それすら難しいという人も多いですが)、「苦を伴わないもの」となると、本当に手放していいのかな?と不安になり、執着が生まれることでしょう。
とくに1.6節で最初に挙げられている「正知」にいたっては、様々な情報が入り乱れるインターネット社会では、正しい知識を得ることすら難しいのに、苦労して得た正しい知識すらも執着せずに最終的には手放すべしということです。
どんな知識よりも、全て手放したときに現れる、本来私達が持っている「智慧」のほうがよっぽど価値があるということです。
人はたしかに、頭でっかちになって了見が狭くなるという状態に陥りがちです。
「地頭が良い」という人は、必ずしも「知識が多い」わけではないですね。
とはいえ、道を進んでいくためには、その足がかりとなる知識が必要です。
ヨガのポーズや哲学などは、そういった役割を果たすのではないかと思います。
以前、そんなテーマの記事を書きました。
道を進むことができたら、いずれはそういった知識も必要なくなる、ということです。
5つの作用については、次に続くスートラで説明されます。
≫ヨーガスートラ解説 1.7-1.8
≪ヨーガスートラ解説 1.3-1.4