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「知識」を深めるための4ステップ

「知識」を深めるための4ステップ

本当に価値のあることは、言葉では表せない。

「分かったつもり」で済ませていませんか?

ヨガや禅で教えていることはとてもシンプルです。
小奇麗な本がたくさん出版されていますが、その真髄は文字で表すとほんの数文字かもしれません。
ネットで調べても簡単に知ることができるでしょう。

では例えば、「呼吸が大事」という知識を得た場合。
「ふーんそうか」「そんなん知ってるよ」と分かったつもりになって、なにも実践しないか、ネットで調べた呼吸法を数回試してみた結果「これは自分には合ってない」「これは効果がないことが分かった」とやめてしまう人がとても多いのではないでしょうか。

もったいない!

知識を深める4ステップ

「知識」を現代風に4段階にしてみると、以下のような段階になります。

1)ネットで検索してすぐに得られるもの
2)古くから重んじられている聖典や口伝から得られるもの
3)自分で実験・経験して得られるもの
4)繰り返し経験して直感として得られるもの

1)ネットで検索してすぐに得られるもの

某知恵袋やまとめサイト、ネットで検索してすぐに得られる情報の浅さや不確かさには、そろそろウンザリしている人も多いことでしょう。

分かったつもりになる以前に、正しいことすら得られていないのに満足している場合も多いですね。

2)古くから重んじられている聖典や口伝から得られるもの

ヨガや仏教やキリスト教など、古くから重んじられている教えには聖典が存在します。宗教というだけで毛嫌いする日本人も多いかと思いますが、世界中で多くの人々が古くから拠り所している教えには、たくさんの真理がつまっていると考えるのが自然です。
正しいことでなければ、時を越えて伝えられることなく、捨てられるか書き直されていくでしょう。

「今週のベストセラー」のような新書から得られる最先端の知識が重要ではないというわけではありません。
不易流行」という禅語が表すように、時が経っても変わらない真理と、最先端の知識をバランスよく取り入れるのが良いでしょう。

とはいえ、古くから伝わっているものは、シンプルさを重視して抽象的に書かれていたり、逆にたくさんの例え話がありすぎて解釈が分かれたり、読み解くのが難しいことが多いですね。ヨーガスートラ(超シンプル)とバガヴァッド・ギーター(例え話満載)はそれらの良い例です。
そのため、読んではみたものの具体的になにをしたらいいか分からなくて、投げ出してしまうことも多いでしょう。

3)自分で実験・経験して得られるもの

本当に大切なのは、ここから先です。
真理というものは、文字にまとめるととてもシンプルですが、それを言葉として知っただけではほとんど意味がありません。

それを日常で実践するにはどうしたらいいか、実践したらどんなメリットがあるのか、そこまで詳しく書いてくれている聖典はありません。それは文字では書き表せないことだからです。
それを体感することを導いていくのが「師」の役割ということです。

たとえばヨガインストラクターが使う言葉は、「光の粒が体のすみずみに行き渡るように空気を吸い込みます」というようにイメージを用いたりするので、時にはとても分かりにくいかもしれません。それでどんなメリットがあるの?と感じることもあるでしょう。
本当に価値のあることを得てもらうために、ヨガインストラクターがしているのは言葉としての知識を授けることよりも「経験を導く」ことです。

ただ、「良い」かどうかを判断するのは自分の感覚です。すべてを鵜呑みにせず、「良い」と思ったことを信じてしばらく続けてみるようにしてください。

4)繰り返し経験して直感として身につくもの

長年繰り返してきて、とくに意識せずにできていること。
たとえばブラインドタッチなど、どのキーをどの指で打つか、最初は知識として習いますが、慣れてきたらそれを知識として活用している人はほとんどいませんね。

ここまで来ると、言葉としての知識はほとんど不要ということになります。
つまりは言葉として伝えることも難しい、故に経験無しでマネすることも難しい
ネットで得られる知識にくらべて、どれほど価値のあることでしょうか。

ただ、自己流で深めていった場合、ここで身についていることには、多分に「癖」も含まれます。
マインドフルネスで言うところの「自動操縦」。意識せずに行っていると、癖は悪化していきます。

ブラインドタッチはうまくできていたとしても、眼や肩や首、腕や手首などに、余計な力が思いっきり入っていませんか?
癖が悪化すると、病気として現れます。

なるべく早い段階から、良い師を見つけて癖を直してもらうのが良いでしょう。
私もたくさんの癖を見つけては手放し、を繰り返していますので、できることなら小学生くらいからヨガをしていたかったですね。。。

今持っている知識に執着しない

一段階深い知識を得るためには、時に下の段階の知識は邪魔になることもあります。
不要な知識に執着しないこと。

「ネットにこう書かれてたからずっと信じてたんだけど、自分で何度も試してみたらこうだった。」
食生活などについても、昨日まで正しいとされていたことがいきなりひっくり返ることもあります。

ただ、まずは知識がなければ、それが正しいかどうかを試してみることもできません。

また、試してみるための知識、というものも必要でしょう。
深い知識を得るための知識は、一時は必要ですが、いずれ不要になります。
「ヨガもいずれ不要になるでしょうね」と私もよく言っています。

そして知識を手放したとき、智慧が現れる

智慧は知識のように身につくのでなく、元々備わっているものです。
邪魔しているものを手放した時に現れてきます。

人間は知識が発達したから、勘が鈍ったと言われます。
情報が得られなかった時代には、自分の勘が命に関わっていたわけですが、いまは自分の体に関する情報ですらお医者さん頼りになって、健康の異常を察知する感覚が鈍ってしまっているわけですね。

無意識の動きこそが、一番バランスを正してくれます
なので、完成形を知っているがゆえにそこを目指して痛くなるまでヨガポーズをするのは×です。気持ち良いと思える形でキープするほうが効果は高いのです。

じゃあ知識は元々必要ないの?

人間は好奇心を持って、いろいろ試行錯誤して迷いながら生きていくように作られているのだと思います。これに関しては答えは「神のみぞ知る」というところでしょうが、
「知識を得たい」というのは人間の本質であると思います。

なので、不要なたくさんの知識に惑わされず手放しながら、価値のある知識を得ていき、時には「価値がある」と思っていた知識にすら執着せず、それも手放して智慧が現れるのを待つ、といった姿勢が必要でしょう。
このような姿勢を身につけるために、瞑想は良い練習になります。
≫マインドフルネス瞑想について

その過程において、やはり浅い知識で分かったつもりにならず「経験」することが大事です。
でも時間や頭の余裕がない!という方も多いことでしょう。
まずは何か不要な習慣がないか、探して手放してみるところから。そのための整理整頓のコツもまた必要な知識であり、いずれ不要になる知識ですね。

男性ヨガインストラクター 高橋陽介の写真

by 高橋陽介

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