重力の中で直立するために、私達は骨をつくった。
骨がない状態で、肉の塊を重力の中に置いたら、ぐしゃっとつぶれてしまう。
地を這うように生きていくなら、それでもいいだろう。
それでも骨をわざわざつくったのだから、「重力に対して、なるべく垂直に立ちたい」という明確な意志が感じられる。
進化論には諸説あれど、生物の中で人間は最も垂直に立ったり坐ったりできるというのは、その垂直度合いが「進化」を表しているのかもしれない。
頭蓋骨はどうだろうか。
脳を保護するためにつくられたようにも思われるが、脳の各部位を「適切な形・配置に整える」ためにあるようにも思える。
頭蓋骨で囲わない状態で脳を重力の中に置いたら、これもぐしゃっとつぶれてしまう。脳幹など下方の重要な部分が、機能しなくなってしまうかもしれない。
これは頭蓋骨だけでなく体全体の骨も、そのような「適切な形・配置に整える」という意志で並べられているようにも思える。
たとえば小腸や大腸は、背骨の支えによって見事な立体を描いている。
意志を通しやすいため私達は筋肉を主体に考えてしまいがちだが、体を支えている主体は骨である。
経絡は骨に沿って流れていると考える人もいる。
私達は明確な意志を持って、この体の形をデザインしたのだ。
骨の美しい配置を、思い出してみよう。
疲れにくい効率的な体の使い方を思い出せるはず。