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ヨガの歴史、インドのヨーガについて本格的に調べ始める

RYTの講座で習ったヨガや、街のヨガスタジオで習っているヨガは、主にアメリカを経由して伝わってきた「現代ヨガ」がベースになっている。

これはこれで、エクササイズとして非常に洗練されたものだ。しかし、どうも違和感がある。

現代ヨガについて調べるキッカケの一つになったのは、ヨガイベントに行ってみたことかもしれない。

ヨガイベントというのは、フェスのような感じで会場内にいくつかのスペースがあり、業界では有名と言われる先生たちが各スペースでそれぞれレッスンを行っているというものである。

そこでは、聞いたことのなかったいろいろな「◯◯ヨガ」を掲げた人たちが、キラキラしたエクササイズの場を演じていた。

人気の先生のクラスは、狭い空間にマットを敷き詰めて行われていた。

たしかにそれぞれの◯◯ヨガはそれなりに練り上げられたエクササイズだった。体を動かすことは気持ち良かったが、空間としては違和感のカタマリだった。そして最後は、野外でDJが音楽を流しながらヨガ。

これはこれで、いいのだ。イベントとしては私もそれなりに楽しかった。

違和感はありつつ、いろいろと収穫もあった。

現代ヨガには、私の知らない◯◯ヨガがたくさんあるようだ。一体そういうヨガはどうやって生まれてきたのか?

調べてみれば、ほとんどのヨガは最近作られたものだった。しかもビジネスの匂いがぷんぷんする。

ただ起源が古ければ良いというわけではない。新しいものは現代人に合っているかもしれない。しかし、どれが「正統派」なのかということぐらいは把握しておきたい。

正統派のヨガとはなんだろう、と考えたとき、「インド発祥かどうか」というところをポイントに置くことにした。

ヨガは禅・仏教などと同じくインドから生まれたというのは分かっていたが、一体どんな歴史をたどってきたのかということは、このときはほとんど知らなかった。

ひとまずざーっと歴史がわかる本などはないだろうかと思い、下記の本を読んでみた。

「図説ヨーガ大全」伊藤 武 (著)

マルマヨーガの本で出会った伊藤武氏の「ヨーガ大全」。大全というからには歴史がわかるのだろうと思って読んでみたが、これはなかなか癖のある刺激的な本だった(いい意味で)。

たとえば、ヨーガスートラが示すラージャヨーガ(王のヨーガ)は、「ヨーガの中の王」という意味ではなく「忙しい王様でもできる、簡単なヨーガ」である…といった、世間の定説とは全く異なる説を紹介していた。

他にも、自身がインドを旅して得たであろう独特な視点でヨーガの歴史を切り開いていて、とても興味深かった。

ヨーガの歴史については仏教とヨーガの関係、とくに密教との関係について詳しく述べられていた。このあたりは後にさらに詳しく研究することになる。

そしてヨーガにおける医学・生理学の考え方などについても述べられていて、その中でクンダリニーやチャクラといったものが強調されており、一番興味が向いたのはこの部分である。

どうやらインドのハタヨーガというものは、クンダリニーやチャクラを扱うものらしい。現代ヨガでは、ほとんど聞かない概念である。

これらの言葉は、むかーし見たマンガの聖闘士星矢のポセイドン編で出てくるクリュサオルのクリシュナが言っていたのでなんとなく知っていた。クンダリニーが目覚めるとめっちゃ強くなるが、最後はチャクラが並ぶ縦のラインをぶった切られて倒されるインド人。クリシュナという名前は、バガヴァッドギーターに出てくる重要人物である。

さて、「クンダリニーヨーガ」というものがあるらしいので、ひとまず目についた本を読んでみることにした。

「クンダリニーヨーガ」成瀬 雅春 (著)

この著者の方は、空中浮揚する人のようだった(!)。だいぶキワドイところまで来てしまったものだ、と思いながら読んでみたが、その行法の中には聞き慣れたものも多かった。アーサナやバンダやプラーナーヤーマ、マントラといった、現代ヨガでも断片的に用いられているものが複合的に組み合わされている行法だった。

とんでもない人かと思いきや、いろいろなインドのハタヨーガの古典からの引用が書かれていて、とても真面目に研究されているようだった。

とはいえ書き方はとてもマーケティングを意識した啓発本ぽい印象を受けてしまったので(編集の仕方のせいかもしれない)、実際にお会いしてみたいという気にはならなかったが、ハタヨーガあるいはクンダリニーヨーガについて調べていく良いキッカケとなった。

現代ヨガがベースにしたといわれる「ハタヨガ」というものは、実際どんなものだったのだろう。どうやらクンダリニーやチャクラといったものが鍵になっているようで、現代ヨガとはかなり異なるものだったのではないか?

「クンダリニーヨーガ」については、そういう名前の決まった流派があるわけではないようだった。調べてみると、本当に様々な「クンダリニーヨーガ」がある。現代ヨガとは異なり、結構異様な感じのものが多い。なるほど、このあたりがインドっぽいヨガなのだろうか?

後にインドの先生に教わったところによれば、「ほとんど全てのクンダリニーヨーガは、ビジネスだよ」ということだった。本当に目覚めている人は、そう簡単には見つからないということなのだろう。

この時点では、まだクンダリニーやチャクラについてそこまで深く切り込むことはしなかったが、どうやらいままで実践してきたアシュタンガヨガ(アシュタンガ・ヴィンヤサ・ヨガ)は、インドから生まれたもののようだったので、このままもう少しアシュタンガヨガを深めていこうと思った。

 

(次)ナディ・チャクラと経絡・経穴の関係性を探り、東洋医学を深める

(前)ヨガやその他の技法を、治療や予防のために活用することを考える

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