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ヨガやその他の技法を、治療や予防のために活用することを考える

ヨガを続けていると、自分の健康課題もいろいろと解決してきた。

そして自分のレッスンでは、体の悩みなどを聴きながら、人それぞれ異なった課題を解決するために、ヨガだけでなくアーユルヴェーダや気功などいろいろな理論を取り入れていくようになっていった。

いろいろな病気を治してしまう先生の整骨院に通っていたこともあり、体を整えればほとんどの病気は予防・治療できるのではないかという予測はあった。

しかし、「他人に整えてもらう」だけでは、根本的にはなおらないものもある。それが「癖」であり、それは体だけでなく、心あるいは「意識」の使い方も重要である。

私がやっていることもお医者さんに近いが、医者よりも、整骨院の先生よりもさらに根本的なところへ切り込み、病気など不調の原因となっている癖を自分自身で気づいてなおしていくセルフケアを目指している。

根本的な意識を変えることは、他人の力では不可能であり、自分自身で気づかなくてはならない。ただ、気づきを導くヒントを出すことはできる。そのために、人それぞれその瞬間に合った、質のいいヒントを出せるようにしていこう。

いつの間にかそういった方向性で進んでいくようになり、それに向けて必要なものから、いろいろなワザや知識を身につけていくことにした。

まず、同じようにヨガを治療などに用いている人々はいるのだろうか。下記の本を読んでみた。

「メディカルヨガ―ヨガの処方箋」ティモシー マッコール (著)

なんとも欧米っぽい切り口の本、写真も欧米人ばかりだ。しかし、なかなか刺激的な本だった。

糖尿病や鬱病など、現代でも治療の難しい病気に対してヨガをどのように用いて結果を出してきたかという事例がいくつも載っていた。

かなり太った女性が、調整されたヨガポーズを行っている写真なども載っていた。よくある美しいインストラクターがポーズをとっているキラキラしたヨガ本とは全く異なる系統の本だ。

実際、私のところにもいろいろな症状を持った人が来る。その人にあった技法を提案するために、この本もいろいろと参考になった。

さて、整骨院の先生の技を思い返してみると、基本的には背骨周りをぐいぐいと整えている。それによっていろいろな病気が治っていくのだから不思議だった。おそらく物質的な肉体以外にも、気の流れなども扱っていたのかもしれないが、そのあたりについて深めていくのはまだ後の段階である。

ひとまず「ゆがみ」を整えるという点、それもセルフケアとして整えるという上で、ヨガはどの程度有効なのか。という観点で、下記の本を読んでみた。

「理学療法士が教える! ヨーガでゆがみを探して、調整する セルフ・メンテナンス・ワークブック」中村尚人 (著)

私自身も左右のバランスがとても悪い部分もあり、少しずつ整えてきたが、現在でもまだ結構差はある。

骨の配置をただ直せばいいというわけでもなく、体の使い方の癖を直す必要がある。長年使ってきた体の使い方を手放すというのは難しいことだが、それでも意識していればちょっとずつ確実に直っていく感覚はあった。

ヨガは、マッサージ屋に通うのとは違って、そういった根本的な癖を直すためのヒントになる。

アーサナを行うときは、体中に意識を通して行ったほうが効果的である。どこかのゆがみを直そうとすると、ほかのところにゆがみが現れる。直すなら、全体を見なければならない。

しかしゆがみが見つかったら、それを直すためには、アーサナを行うだけではなくて、ピンポイントなストレッチや筋肉トレーニングによって改善することもできる。

私はヨガに限らずそういったいろいろな手法を使ってきたが、この本もその発想に近く、理学療法士の方(いまではかなり有名な)が書いていることもあり、リハビリなどでも用いられているであろう様々な手法が使われていて、参考になった。

またその他で近いものとしては、「ヨーガ療法」というもので治療を行っている人々もいるらしい。

「実践 ヨーガ療法 (GAIA BOOKS)」木村 慧心 (著)

欧米へ伝えることを目的としているのか、いろいろなテクニックを英語名でまとめているようだった。

治療の過程をうまいことテンプレート化して「学問」としてまとめようとしている意図を感じたが、私の短い経験ですらとてもいろいろな人が訪れてくれているので、そううまく定式化できるだろうか?と感じた。

私も、自分のやっていることを系統的にまとめて、そのやり方を教えられるようにしようと試みたことはあったが、いまのところは難しく、まとめきれていない。

そういえば整骨院の先生も、結局弟子はとらなかった。経験や感覚など、簡単に伝えられるものではないのだ。

しかし、個別のケースにおける処方などはいろいろと参考になった。

そしてヨーガ療法の源流に近いところには、クヴァラヤーナンダ氏がいる。

「ヨーガ・セラピー」スワミ クヴァラヤーナンダ (著), S.L. ヴィネーカル (著)

現代ヨガの歴史を調べていくと、たびたびクヴァラヤーナンダ氏の名前は出てくる。

心を扱う古典ヨーガの技法、ハタヨーガの浄化法、現代ヨガにも用いられるアーサナなど、いろいろなところからワザを集めて治療に使っていたようだ。

こんな重要人物が、現代ではとてもマイナーな存在になっている。いや、メジャーだから正しいというわけではないが。

弟子のひとりとされるクリシュナマチャリア氏は現代ヨガの父とされる重要人物である。華やかなエクササイズ中心となってしまった現代ヨガに違和感を持っていた私は、これらの人物たちをいろいろ調べていくことになる。

 

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