股関節周りの柔軟性を高め、脚の側面を通る経絡を刺激する陰ヨガポーズ。
陽ヨガの練習に入る前の準備ポーズとしても効果的です。
陰ヨガのポーズに入る際のポイント
陰ヨガのポーズは、深部まで動かすために1〜5分程度キープします。そのため、不快感や雑念がある状態でポーズに入らないように、ポーズに入る際の姿勢が重要です。
少しでも痛みのあるところや、長時間キープできなさそうな不安な場所がある場合は、クッション・タオル・ボルスター・ブロック・ベルトなどのプロップス(補助器具)を使って、アプローチしたい場所に重力がうまく働くような姿勢を整えます。
プロップスの使い方は、下記のバリエーションの項で挙げていますので、自分の状態に合わせていくつか組み合わせてみてください。
「いろいろ道具を使って準備がめんどくさいので陰ヨガが嫌い!」という人もいますが、この過程がとても大切なので、不安のない状態でポーズに入っていけるようにしっかり準備をしましょう。
陰ヨガをスタジオなどで教わる場合は、体の状態に合わせて、プロップスをどう使ったらいいかということをアドバイスしてもらうのが良いでしょう。
姿勢が整ったら、なるべく余計な力を抜き、重力に身を任せて、体の変化を観察します。
深まってきたら、状況に応じてプロップスを外したりして調整しても良いでしょう。
バタフライ(陰ヨガ)の主な効果
バタフライ(陰ヨガ)の禁忌・注意点
椎間板ヘルニアや背中の筋肉を痛めている場合や、股関節や仙腸関節付近を痛めている場合は、下記のバリエーションをいくつか組み合わせて気持ち良い形を探してみてください。
バタフライ(陰ヨガ)のやり方
1)両方のお尻を均等に床におろして坐り、膝を曲げて足裏同士をくっつけて足の側面を床に置き、脚がひし形になるようにします。上半身を前に倒したときにちょうど顔が足の上にくるように、ひし形の形を調整します。
2)吐きながら、背中全体が伸びるように自然に前屈し、顔を足の上に乗せます、肘をすねの外側の床に下ろして手は合掌します。この形で、もし痛みがある場所や長時間キープできなさそうな場所があれば、下記のバリエーションを試してください。
3)形が定まったら、力を抜き、重力にまかせて股関節が開いていく(膝が床に向かい、背中の力が抜けて前屈も深まっていく)のを感じながら、1〜5分間キープします。
4)吸いながらゆっくり起き上がって、脚を前に伸ばして少し揺すってから、手を背中側に置いて状態を支えて楽な姿勢をとります。栄養が股関節や脚全体に行き渡るイメージをしながら、少し休みます。
バリエーション
足の位置のバリエーションと効果
足の位置によって、効果が変わってきます。足を遠くに置くとハムストリングスのストレッチ効果が高まり、足を近くに置くと内転筋のストレッチ効果が高まります。
背中が丸くなりすぎないような、今の状態に適した足の位置を見つけて、重力をうまくつかって深められるようにしましょう。
股関節の柔軟性が十分でない場合
- 膝が浮きすぎる場合はたたんだタオルかクッションを下に入れます。
- 肘が床につかない場合は、下にクッションなどをいれます。
- 顔が足につかない場合はクッションなどを足の上に乗せ、その上に顔を乗せます。
背中・背骨・仙骨周辺に痛みがあり前屈出来ない場合
- 前屈せずに背中をまっすぐ立てておきます。
- 手をお尻の後ろに置いて背中を後ろに傾けて楽な姿勢をとります。
- 背中を床かボルスターの上におろして、仰向けのバタフライ(スプタバッダコーナーサナ)を行います。
関連する陽ヨガポーズ
- 蓮華座・半蓮華座を使うポーズが苦手な場合、股関節周りの力を抜くためにバタフライは良い練習ポーズになります。
- バッダコーナーサナ(合蹠のポーズ)の練習になります。
- スプタクルマーサナの練習になります。
柔軟性を高めるためには、力を使う「陽」のアプローチと、力を抜く「陰」のアプローチの両方を用いると効果的です。
股関節を動かすポーズの多い陽ヨガ、アシュタンガヨガのカウンター(バランスを取るための、反対側の練習)としても有効です。
陽のヨガをやっていると、「ポーズができるようになりたい!」という執着が生まれてしまうことがあります。そういったときに自分を見つめ直して陰ヨガを行うと、「自然に任せて深めていく」ということの重要さに気づくきっかけにもなります。
アーサナ名の表記バリエーション
【日】バタフライ
【梵】-
【英】Butterfly